この記事では「順風満帆」を勉強していきます。

ところでこの「順風満帆」を読むことができるか?「じゅんぷうまんぱん」と読むんです。聞いたことはありますが、自信がなくて使ったことがない、そんな人も多いでしょう。「順風満帆」とは、ずばり物事が順調に進むことの例えです。

正しく自信を持って使えるように、「順風満帆」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/スヨメナ

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「順風満帆」の意味や由来は?

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誤読の多い四字熟語「順風満帆」。ここでは、言葉の正しい意味と由来をしっかり抑えましょう。

読み間違いに注意!正しくは「じゅんぷうまんぱん」

「順風満帆」は「ジュンプーマンパン」と読みます。「帆」は、「帆を上げる」「帆を張る」など、「ホ」と読むことが多いので、「満帆」を「マンホ」や「マンポ」と間違えやすいです。四字熟語「順風満帆」の場合は、「〜マンパン」と発音しますので十分注意しましょう。

「順風満帆」の意味は「順調に進んでいること」

まずは辞書で意味を確認してみましょう。

追い風に帆を上げて出帆すること。物事が順調に進むこと。

出典:あすとろ出版(現代言語研究会)「順風満帆」

「順風満帆」の意味は、”物事が順調に進んでいること”です。例えば、「家庭も仕事も順風満帆に見えますね」という場合、「家庭も仕事も順調に進んでいるように見えますね」という意味になります。ポジティブな意味合いの四字熟語ですね。

由来は「追い風を受けて船が進む」様子から

一つずつ漢字を見ていくと、由来がわかります。

まず「順」ですが、「順番」や「順序」の意味にあるように、筋道のとおりに進んでいくことです。つまり「順風」とは、進む方向に吹く風、言い換えると"追い風"になります。つぎに「満帆」ですが、「満」は、動詞「満たす」「満ちる」です。「帆」は、進むために船の風を受けるための船具ですので、「満帆」とは、帆を風で満たすこと、つまり、"帆をいっぱいに張ること"を表しています。

船に乗っているとき、追い風で帆をいっぱいに張っている船の様子は、船が向かうべき方向へ順調に進んでいるということです。なんとなくイメージできるのではないでしょうか。

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「順風満帆」の使い方は?例文も

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「順風満帆」の意味がわかったところで、使い方を解説します。

「順風満帆」を使った例文をチェック!

いくつか「順風満帆」を使った例文に触れていきましょう。

1.人生70年。思えばこれまで順風満帆に過ごしてきたものだ。
2.先生がこれから順風満帆な人生を送れるように願っています。
3.現在のプロジェクトも無事受注してもらえたし、順風満帆だ。

いずれもポジティブな意味合いで、「順調」と言い換えができる例文です。「順風満帆」は、船が追い風を受けて進んでいく例えなので、「順調」よりもスケールが大きい言葉だとわかりますね。そのため、”人生”と相性が良く、一緒に使われることが多いです。例文2は、わたしが前の日本語学校を退職する際に、実際に中国人の学生から言われました。”順風満帆”は、中国でも有名な言葉みたいですね。

「順風満帆」と似たような意味を持つ言葉は?

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「順風満帆」と似たようなポジティブな言葉があるので、一緒に覚えてしまいましょう。

「万事順調」:すべてのことが調子良く進んでいる

「万事順調」は「ばんじじゅんちょう」と読みます。「万事」は「全部のこと」、「順調」は「調子が良い様子、問題のないさま」であることから、”すべてのことが調子良く進んでいる”の意味です。

「順風満帆」は、一つの物事に使うことができますが、「万事順調」は「万事」が「全部のこと」を意味しているため、自分にまつわるすべて(例えば、仕事に恋愛、学校も何もかも)がうまくいってないと使いづらいかもしれませんね。

\次のページで「「万事如意」:すべてのことが思った通りになる」を解説!/

「万事如意」:すべてのことが思った通りになる

「万事如意(ばんじにょい)」は、中国の言葉で”すべてのことが思った通りになる”という意味で使われています。「万事」は「全部のこと」、「如意」は「思ったとおりになる」の意味です。中国では新年の挨拶でも使われれることがあり、”今年もいい年になりますように”といったニュアンスもあります。「順風満帆」の類義語の一つです。

「一路順風」:物事が順調に進むこと

「一路順風」は「いちろじゅんぷう」と読みます。「一路」が「ひたすらに」という意味で、「順風」は「順風満帆」と同じ「追い風」です。したがって、「一路順風」は、”物事が順調に進んでいること”を表します。「順風満帆」とほぼ同義の言葉です。

「順風満帆」とは反対の意味を持つ言葉は?

「順風満帆」の反対の意味の言葉は何があるでしょうか。いくつか見ていきましょう。

「天歩艱難」:何をやってもうまくいかない

「順風満帆」の対義語の一つは、漢字表記が難しい「天歩艱難(てんぽかんなん)」です。「天歩」は、天運のこと。逆らえない運命のことですね。「艱難」は災難や苦労を意味します。つまり、「天歩艱難」とは、”何をやっても思いどおりにうまくいかない”の意味です。「順風満帆」とは違い、ネガティブな苦しい様子が浮かびます。

「波瀾万丈」:物事の変化の激しいさま

「波瀾万丈(波乱万丈)」は「ハランバンジョー」と読みます。「順風満帆」同様に、よく耳にすることがある四字熟語です。「波瀾」は揉め事など、移り変わりが激しいこと、「万丈」は、非常に高いことを意味します。したがって、「波瀾万丈」とは、”トラブルや試練が絶えず、常に変化の激しい波がある”という意味です。「波瀾万丈の人生」のように、人生を例える際によく用いられます

「紆余曲折」:物事がスムーズにいかないこと

「紆余曲折」は「ウヨキョクセツ」と読む四字熟語です。「紆余」は「道などが曲がりくねっていること」を意味し、「曲折」は文字通り「曲がったり折れたりしていること」を表しています。したがって「紆余曲折」は、「道などが複雑に入り組んでいる」ことから”物事が順調にいっていない様子”を表す言葉の一つです。こちらも「順風満帆」とは意味が対極にありますね。

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ついでにほかの誤読の多い四字熟語も確認しておこう!

「順風満帆」のように、日本語には熟語になると読みが変わる言葉があります。ここでは、誤読の多い四字熟語を3つほど確認していきましょう。

「一期一会」

「イッキイッカイ」と読みたいところですが、「イチゴイチエ」と読みます。意味は、「一生に一回だけの機会」のことです。「一期一会」は、往年の名作映画「フォレスト・ガンプ」の邦題にもなっています。

「老若男女」

「ロージャクダンジョ」とは読みません。「ローニャクナンニョ」です。「若」も「男」も常用の読みとは違いますね。意味は「すべての人」です。

「多士済々」

「タシサイサイ」と読み間違いやすいですが、「タシセイセイ」が正しい読み方になります。「多士」は「すぐれた人」、「済々」は「数が多いこと」を表しますので、「多士済々」は「すぐれた人たちが数多く揃っている様子」の意味です。

「順風満帆」の意味を理解して正しく使ってみよう!

この記事では「順風満帆(じゅんぷうまんぱん)」の意味や使い方・類語・対義語などを説明しました。「順風満帆」は、追い風を受けて船が進んでいく様子が由来となった、”物事が順調に進んでいる”という意味の四字熟語です。

人生は追い風だけでなく、時には向かい風が吹くこともあります。そのため、”人生は順風満帆だ”とはなかなか胸を張って言うことは難しいと思いますが、仕事や生活においては追い風に乗っていると感じるときはあるはずです。トラブルなく物事が思い通りに進んでいるときに「順風満帆」を使ってみてください。

その際には「帆」の読み方にご注意を。じゅんぷうまん”ぱん”です。

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国語言葉の意味

「帆」の読み方に注意!「順風満帆」の意味や使い方・類語・対義語など現役日本語教師がわかりやすく解説

この記事では「順風満帆」を勉強していきます。

ところでこの「順風満帆」を読むことができるか?「じゅんぷうまんぱん」と読むんです。聞いたことはありますが、自信がなくて使ったことがない、そんな人も多いでしょう。「順風満帆」とは、ずばり物事が順調に進むことの例えです。

正しく自信を持って使えるように、「順風満帆」の使い方や言葉の意味について、現役日本語教師のスヨメナと一緒に解説していきます。

ライター/スヨメナ

現役日本語教師。対面、オンライン問わず、世界中の国の人に日本語を教えている。ブログでも相手の立場に立って考え、わかりやすく発信していく。

「順風満帆」の意味や由来は?

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誤読の多い四字熟語「順風満帆」。ここでは、言葉の正しい意味と由来をしっかり抑えましょう。

読み間違いに注意!正しくは「じゅんぷうまんぱん」

「順風満帆」は「ジュンプーマンパン」と読みます。「帆」は、「帆を上げる」「帆を張る」など、「ホ」と読むことが多いので、「満帆」を「マンホ」や「マンポ」と間違えやすいです。四字熟語「順風満帆」の場合は、「〜マンパン」と発音しますので十分注意しましょう。

「順風満帆」の意味は「順調に進んでいること」

まずは辞書で意味を確認してみましょう。

追い風に帆を上げて出帆すること。物事が順調に進むこと。

出典:あすとろ出版(現代言語研究会)「順風満帆」

「順風満帆」の意味は、”物事が順調に進んでいること”です。例えば、「家庭も仕事も順風満帆に見えますね」という場合、「家庭も仕事も順調に進んでいるように見えますね」という意味になります。ポジティブな意味合いの四字熟語ですね。

由来は「追い風を受けて船が進む」様子から

一つずつ漢字を見ていくと、由来がわかります。

まず「順」ですが、「順番」や「順序」の意味にあるように、筋道のとおりに進んでいくことです。つまり「順風」とは、進む方向に吹く風、言い換えると”追い風“になります。つぎに「満帆」ですが、「満」は、動詞「満たす」「満ちる」です。「帆」は、進むために船の風を受けるための船具ですので、「満帆」とは、帆を風で満たすこと、つまり、”帆をいっぱいに張ること“を表しています。

船に乗っているとき、追い風で帆をいっぱいに張っている船の様子は、船が向かうべき方向へ順調に進んでいるということです。なんとなくイメージできるのではないでしょうか。

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