
1~2族と12~18族に属する「典型元素」を元研究員がわからりやすくわかりやすく解説
周期表の中央部分(3 族~ 11 族)が遷移元素で、外側部分(1 族 2 族と 12 族~ 18 族)が典型元素であり、その両者は化学的特徴が大きく異なるんです。
今回は「典型元素」と「遷移元素」の違いと「典型元素」の 12 族~16 族の特徴について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に解説していきます。
- 1.周期表と元素
- 1-1.周期表と電子
- 1-2.最外殻に入る電子の数と遷移元素
- 1-3.遷移元素と最外殻電子
- 2.典型元素と遷移元素
- 2-1.典型元素の特徴
- 2-2.遷移元素の特徴
- 3.第 12 族「亜鉛族」の元素
- 3-1.第 12 族元素の特徴
- 4.第 13 族「ホウ素族」の元素
- 4-1.第 13 族元素の特徴
- 5.第 14 族「炭素族」の元素
- 5-1.第 14 族元素の特徴
- 6.第 15 族「窒素族」の元素
- 6-1.第 15 族の元素の特徴
- 7.第 16 族「酸素族」の元素
- 7-1.第 16 族元素の特徴
- 典型元素とは 1 族 2 族と 12 ~ 18 族に属し基本的には同族で化学的性質が似ている元素のこと
この記事の目次

ライター/wing
元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!
1.周期表と元素

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周期表は、なぜあのような隙間の空いた並び方になっていると思いますか?
それは電子配置で最外殻に入っている電子の数を縦に揃えたいから、こういう並びになっているのです。
では、ここから原子の構造と電子殻についておさらいしましょう。
1-1.周期表と電子
陽子と中性子が集まって構成している原子核の周りを、とても小さなマイナスの電荷をもつ電子が飛び周っています。この電子は決められた部分を飛んでいて、その空間のことを電子殻と言うのです。
電子は内側から入ることが決まっていて、一番内側の殻から順番に、K 殻、L 殻、M 殻…と名付けられていて Q 殻まであります。それぞれの電子殻には入ることができる電子の数が決まっていて、K 殻は 2 個、L 殻は 8 個、M 殻は 18 個というようにだんだんと多くなりますが、重要なのは L 殻より外側は最外殻に入っている電子の数は 8 個で安定化するということです。
周期表では最外殻に入っている電子の数が同じ元素が縦に並んでいます。そして、最外殻に入っている電子の数が同じという事は、化学結合できる電子の数が同じという事で、化学的性質がよく似ているのです。
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1-2.最外殻に入る電子の数と遷移元素
周期表を思いついたメンデレーエフを悩ませたのが、遷移元素と呼ばれる現在は周期表の中央部分( 3 族~ 11 族)に配置されている元素です。メンデレーエフは、元素を原子番号順に並べると周期的に性質が似ている元素が繰り返し出てくるという事を発見したことで、周期表を思いつきました。
というのも、当時はまだ電子の存在が明らかにされていなかったからです。それなので、最外殻に入っている電子の数と化学的性質のつながりを見つけることはできませんでした。
メンデレーエフがなぜ遷移元素の存在について悩んだかというと、遷移元素は原子番号が増えても性質が変わらず周期的に似ている元素が出てくるという法則に当てはまらなかったからです。周期表を発表した時、メンデレーエフは遷移元素を欄外にまとめていました。そのくらいよくわからない元素だったのです。
ではなぜ遷移元素はメンデレーエフが発見した法則に当てはまらなかったのでしょうか?
1-3.遷移元素と最外殻電子
電子は通常内側の電子殻から先に入っていきます。そのため原子番号が増えると、最外殻に入っている電子の数が増えていくはずです。しかし、遷移元素は原子番号が増えて電子の数が増えても、最外殻に入っている電子の数が変わりません。
なぜなら、遷移元素の電子は内側の電子殻が埋まる前に外側の電子殻に入ってしまうことがあるのです。遷移元素は最外殻に入っている電子の数が 1 ~ 2 個で、どの遷移元素も似ている性質を持っています。
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