周期表で縦に並ぶ「同族元素」を元研究員がわかりやすく解説
3.アルカリ土類金属
周期表で左から 2 番目の列である、第 2 族をアルカリ土類金属といいます。
アルカリ土類金属はベリリウムとマグネシウムを除く原子番号 20 の Ca(カルシウム)、原子番号 38 の Sr(ストロンチウム)、原子番号 56 の Ba(バリウム)、原子番号 88 の Ra(ラジウム)です。
3-1.なぜベリリウムとマグネシウムはアルカリ土類金属に入れられないの?
アルカリ土類金属はアルカリ金属と似ていて、単体は常温でも水と反応する、炎色反応を示すという特徴があります。しかしベリリウムとマグネシウムの単体は常温の水と反応せず、炎色反応を呈しません。
原子のサイズが小さいためにカルシウム以下の元素と違う挙動を示すと考えられるため、アルカリ土類元素とは分けているのです。ベリリウムとマグネシウムを一つのグループにしてマグネシウム族と表すこともあります。
3-2.アルカリ土類金属の特徴
アルカリ土類金属は最外殻に電子を 2 個持っており、2 価の陽イオンになりやすい元素です。そしてアルカリ金属と同様に反応性が高く、常温の水と反応し水酸化物をつくります。空気中でも反応してしまうストロンチウムとバリウムは単体を石油中に保存することを覚えておきましょう。
また、アルカリ金属と同様にそれぞれに炎色反応を呈します。
ではそれぞれの炎色反応の色を見ていきましょう。
Ca(カルシウム) オレンジ色
Sr(ストロンチウム) 真紅色
Ba(バリウム) 黄緑色
Ra(ラジウム)赤紫色
4.ハロゲン
周期表で右から 2 番目の列である、第 17 族をハロゲンといいます。
ハロゲンは原子番号 9 の F(フッ素)、原子番号 17 の Cl(塩素)、原子番号 35 の Br(臭素)、原子番号 53 の I(ヨウ素)、原子番号 85 の At(アスタチン)です。
4-1.ハロゲンの特徴
ハロゲンは最外殻に入っている電子の数が 7 個で、あと 1 個電子があれば安定した電子配置になれるので、相手の電子を奪う力がとても強力です。ということは、相手を強力に酸化する酸化剤となりますね。
強力に相手の電子を奪うということは、細菌などを死滅させるのに有効で、殺菌剤として市販されているものの中に含まれています。なぜ電子を奪われると菌が死んでしまうかというと、電子を奪われると化学変化しそれまでの役割を果たせなくなるからです。塩素が入った台所用漂白剤やヨウ素が入ったうがい薬はご家庭でもお使いかもしれません。
ハロゲンの酸化力は原子番号が小さいものほど強いです。
そして、ハロゲンの単体は全て色があり、毒性があります。
ハロゲン単体の色と常温常圧での状態についてまとめてみましょう。(1 族 2 族と違って炎色反応の色ではないのでご注意ください。)
F2(フッ素) 淡黄色 気体
Cl2(塩素) 黄緑色 気体
Br2(臭素) 赤褐色 液体
I2(ヨウ素) 黒紫色 固体
At(アスタチン)は放射性元素で安定同位体が存在せず、1 族のフランシウムと同様に半減期が短いため、あまりよくわかっていません。単体は黒色固体と推定されています。
5.希ガス
周期表で 1 番右の列である、第 18 族を希ガスといいます。
希ガスは原子番号 2 の He(ヘリウム)、原子番号 10 の Ne(ネオン)、原子番号 18 の Ar(アルゴン)、原子番号 36 の Kr(クリプトン)、原子番号 54 の Xe(キセノン)、原子番号 86 の Rn(ラドン)です。
5-1.希ガスの特徴
周期表の一番右側にある希ガスは、最外殻に電子が定員いっぱいに入っています。原子1つだけで安定しているため、水素や酸素のように2個集まって分子を作らず、1つだけの原子の形で浮いているのです。(単原子分子といいます。)
安定した電子配置になりたくて電子を渡したり奪ったりする他の族と違い、他の元素と反応しにくいという事が希ガスの重要な特徴です。希ガスは安定しているので、人体に入っても体内で反応することがないため害はありません。そして、反応しにくい=燃えにくいのでヘリウムガスは気球や飛行船にも使われています。
希ガスは単原子分子で空気中にごくわずかに気体で存在しているのです。そして、真空管に入れて放電するとそれぞれ色を呈します。
希ガスの放電時の色をまとめましょう。
He(ヘリウム) 黄色
Ne(ネオン) 赤橙色
Ar(アルゴン) 青紫色
Kr(クリプトン) 黄緑色
Xe(キセノン) 青緑色
Rn(ラドン)は放射性元素で安定同位体が存在せず、半減期が短いため、これもあまりよくわかっていません。希ガスなので電子配置としては安定ですが、原子核が不安定で、放射線を出して別の元素に変化してしまうのです。
同族元素とは最外殻に入っている電子の数が同じで化学的性質が似ている元素のこと
同族元素とは周期表で縦に並ぶ元素のことで、(典型元素では)最外殻に入っている電子の数が同じ元素であり、化学的性質が似ている元素です。
化学反応は電子のやり取りで起こるので、最外殻に入っている電子の数が同じということは、その元素の化学的性質を左右するとても大きな要因になります。
同族元素の中でも特に重要なのが、第 1 族のアルカリ金属、第 2 族のアルカリ土類金属、第 17 族のハロゲン、第 18 族の希ガスです。
わたしたちの生活は常に元素と共にあります。それぞれの特徴を覚えておくと、化学の勉強だけでなく、様々な現象を深く知る事に繋がるはずです。