元素が並んでいる周期表ってみたことあるか?

高校で化学を学ぶ時に「水兵リーベボクの船…」って元素を覚えるよな。元素は数々発見されていたが、規則性を見つけ周期表の形に並べたのが、ロシアの化学者「メンデレーエフ」なんです。

今回は「メンデレーエフ」の発見と「周期表」について、化学実験を生業にしてきたライターwingと一緒に解説していきます。

ライター/wing

元製薬会社研究員。小さい頃から化学が好きで、実験を仕事にしたいと大学で化学を専攻した。卒業後は化学分析・研究開発を生業にしてきた。化学のおもしろさを沢山の人に伝えたい!

1.メンデレーエフと周期表

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ロシアの化学者メンデレーエフは元素について考えるうちに、夢の中で周期表を思いついたと言われています。たくさんある元素をなぜあの順番で並べたのでしょう。なぜあのような形をしているのでしょうか。

それは原子の構造さらには電子配置と大きな関係があります。ではまず、メンデレーエフが元素に規則性があることを発見した所からお話していきましょう。

1-1.偉大な化学者メンデレーエフ

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кабинет академика Михаила Михайловича Шульца - фото любезно передано мне в собственность вдовой М.М.Шульца Ниной Дмитриевной Шульц., パブリック・ドメイン, リンクによる

1869年ロシアの化学者ドミトリ・メンデレーエフが、それまでに発見されていた63種類の元素で周期表を作りました。

メンデレーエフは元素について20年以上も考察していましたが、ある日夢の中で元素が原子番号の順番に並んでいる表を見たことで、原子番号の順番に元素を並べると化学的特徴が周期的に繰り返されることを思いついたと言われています。

メンデレーエフはすぐに学会で元素の周期性について発表しましたが、当初はすごい発見だと認められることはありませんでした。しかし、メンデレーエフの周期表は新しい元素が発見されるたびに脚光をあびていきます。

なぜなら、メンデレーエフは、当時発見されていた63種類以外に未発見の元素があると考え、その個所を空欄にして周期表を作っていたからです。メンデレーエフの予想通りの元素がいくつも発見され、メンデレーエフも周期表も認められるようになっていきました。

1-2.周期表と原子の構造

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周期表の元素の並び方と密接に結びついているのが、原子の構造と電子配置です。まず原子の構造についておさらいしましょう。

原子は、プラスの電荷をもっている「陽子」と電気的に中性な「中性子」、その外側を回っているマイナスの電荷をもつ「電子」で構成されています。質量は陽子が 1 、中性子が 1 、電子がほぼ 0( 1 / 1840 )です。

では、改めて周期表を見てみましょう。周期表では元素は原子番号順に並んでいます。原子番号というのは原子の中の何の数だったでしょう?原子番号というのは、原子に含まれる陽子の数です。

原子番号が1つ大きくなると陽子の数が1つ増えるという事は、質量も大きくなります。さらに陽子の数が増えるという事は中性子と電子の数も増えるという事です。

1-3.周期表と電子配置(1)

1-3.周期表と電子配置(1)

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周期表を見てみると、水素とヘリウムの間が大きく開いていることに気づくでしょう。これは電子配置と大きな関係があります。

その関係について学ぶために、電子配置についてもおさらいしましょう。陽子と中性子が集まって構成している原子核の周りを、とても小さな電子が飛び周っています。この電子は決められた部分を飛んでいて、その空間のことを電子殻というのです。

電子殻は、一番内側の殻から順番に、K 殻、L 殻、M 殻…と名付けられていて Q 殻まであります。それぞれの電子殻には入ることができる電子の数が決まっていて、K 殻は 2 個、L 殻は 8 個、M 殻は 18 個というように、内側から「 n 番目の殻に入ることができる最大の個数 = 2n2 個」となっているのです。

そして重要なのが、入ることができる最大の個数がいくつであっても、L 殻より外側は最外殻に入っている電子の数は 8 個で安定化します。

\次のページで「1-4.周期表と電子配置(2)」を解説!/

1-4.周期表と電子配置(2)

1-4.周期表と電子配置(2)

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電子配置について学んだところで、再び周期表を見てみます。すると、原子の最外殻に入っている電子数(価電子と言います)が等しいものが縦に並んでいることに気づくでしょう。

周期表を縦に見ていくと、一番左側の1 族は価電子を 1 個持つ原子が並んでいます。同様に 2 族は価電子が 2 個、第 3 族から第 12 族を飛ばし(遷移元素と12族は価電子の数が違うので)、13 族は価電子が 3 個です。※遷移元素については3-2.で解説します。

そして、一番右側の 18 族は最外殻に入っている電子の数がヘリウムは 2 個それ以外は 8 個で安定していることが分かるでしょう。

余談ですが、最外殻に入っている電子の数が満席の時は価電子の数は 0 と表現します。なぜなら、価電子には他の元素と化学結合できる電子の数という意味もあるからです。

水素が 1 族でヘリウムが 18 族なのは、電子配置の一番内側である K 殻に入ることができる最大の個数が 2 個しかなく、価電子の数が同じ(18 族は最外殻が満席で安定している)元素を縦に配列したいので、このような配置になっています。

価電子数が少なければ電子を失いやすく価電子数が多ければ逆に電子をひきつけやすくなるのです。前述しましたが、価電子の数は化学結合できる電子の数でもあり、原子の性質を決めるとても大きな役割を持っています。

2.周期表の見方と覚え方

2.周期表の見方と覚え方

image by Study-Z編集部

周期表と原子の構造と電子配置の関係がわかったので、次は周期表の見方についてお話しましょう。周期表の横の行を第〇周期縦の列を第〇族といいます。

先ほども触れましたが、「縦に並んでいる元素=同じ族」の元素は同族元素と呼び、価電子の数が同じなので化学的性質がよく似ているのです。

2-1.原子番号順の覚え方

冒頭でも「水兵リーベ…」と出しましたが、原子番号が小さい元素は頻繁に出てくるので、覚えておくと便利です。ここでは原子番号 1 番の水素から原子番号 20 番のカルシウムまでの覚え方の一例をご紹介します。

すい(H)へい(He)リー(Li)ベ(Be)ぼ(B)く(C)の(N O)ふ(F)ね(Ne)

な(Na)まが(Mg)ある(Al)シッ(Si)プ(P)ス(S)クラ(Cl)アー(Ar)ク(K)か(Ca)

語呂合わせなので意味はありませんが、無理やりストーリーを作るなら

「リーベという名前の水兵さんが、ボクの船だよと船を見せてくれました。生(魚?ビール?)があると船に乗せてもらったら、遠くから別の船(シップス)が近づいてきたのです。かなり遠いから確信は持てないけど友達のクラアークかもしれないな?」

という感じでしょうか?

2-2.同族元素の覚え方

周期表について学んだ皆さんは「なぜ原子番号順に覚えるんだろう?縦の列に並んでいる仲間が似ている性質を持っているのなら、縦の列で覚えればいいのに。」と思われたことでしょう。

そうなんです。性質が似ているものを一括りに覚えたほうが役に立ちますよね。それなので、同族元素を覚える語呂合わせもご紹介しましょう。

同族元素のことは他でくわしく解説しますが、特に重要なのが第 1 族(水素を除きアルカリ金属といいます)、第 2 族(ベリリウムとマグネシウムを除きアルカリ土類金属)、第 17 族(ハロゲン)、第 18 族(希ガス)です。

では覚え方の一例をご紹介します。

第 1 族 アルカリ金属(水素は違うけれど第 1 族なので一緒に覚えます)
ハイで(H)リッチ(Li)な(Na)彼らから(K)ルビーを(Rb)せしめて(Cs)フランスへ(Fr)

第 2 族 アルカリ土類金属(ベリリウムとマグネシウムは違うけれど第 2 族なので一緒に覚えます)
ベー(Be)マグに(Mg)カ(Ca)ストロの(Sr)バ(Ba)ラを(Ra)

第 17 族 ハロゲン
ふっ(F)くら(Cl)ブラ(Br)アイ(I)あたたかい(At)

第 18 族 希ガス
へん(He)ね(Ne)ある(Ar)栗(Kr)着せた(Xe)ラン(Rn)

再びになりますが、語呂合わせなので意味はないです。好きなように覚えやすい語呂合わせを考えてもいいですね。

\次のページで「3.周期表のその他のグループ分け」を解説!/

3.周期表のその他のグループ分け

周期表は、縦に見ることで、化学的性質がよく似ている元素を見つけられることを学びました。その他にも共通の性質や特徴を持った元素をグループに分けることができます。

まず、金属元素と非金属元素にグループ分けをしてみましょう。

3-1.金属元素と非金属元素

3-1.金属元素と非金属元素

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金属元素は元素全体の約 80 % ほどです。金属元素の単体は金属光沢があり、熱や電気を伝えやすいという性質を持っています。また、周期表で左下にある元素ほど陽イオンになりやすい性質が強いです。

対して非金属元素は常温常圧で固体や気体の単体が多いという特徴があります。そして単体は熱や電気を伝えにくいです。また、周期表で右上にある元素ほど(希ガスは除く)陰イオンになりやすいという性質もあります。

金属元素と非金属元素のグループ分けは、化学結合を考えるときに便利なので、大体こんな形だったかなと覚えておきましょう。

3-2.典型元素と遷移元素

3-2.典型元素と遷移元素

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典型元素は 1 ~ 2 族と 12 ~ 18 族の元素の事で金属元素と非金属元素が約半分ずつ含まれています。同族元素どうしは価電子数が同じなので、化学的特徴はよく似ているのです。

対して、遷移元素は 3 ~ 11 族の元素を指していて、すべて金属元素になります。価電子数は 1 個か 2 個であり、同周期の隣り合う元素と化学的性質が似ていることが多いです。

「典型」元素は今までお話してきたルールに従っていると考えていい元素で、「遷移」元素はそのルールに従っていない元素と考えていいでしょう。

「メンデレーエフ」が考えた「周期表」とは元素を性質ごとに分類しわかりやすくしたもの

周期表は元素を原子番号順に並べて周期的に表れる特徴が似ている元素を縦に並べたものです。

周期表はロシアの化学者メンデレーエフが発表しました。当初はあまり価値を認められませんでしたが、メンデレーエフが予想した元素が発見されるたびに、注目されるようになっていくのです。

周期表は電子配置を考えたときに、価電子の数が同じ元素が縦に並ぶように配置されています。価電子の数は化学結合できる電子の数なので、原子の性質を決めるとても大きな役割を担っているのです。

元素を覚えるときは、原子番号順の他に、同じ特徴を持つ同族元素もまとめて覚えておくと役に立ちます。

さらに金属元素と非金属元素の分け方を知っておくと、化学結合考えるときに便利になり、遷移元素と典型元素の分け方を知っておくと、価電子の数を考えるときに便利です。

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化学

元素に規則性を見つけたメンデレーエフの周期表をわかりやすく元研究員が解説

1-4.周期表と電子配置(2)

1-4.周期表と電子配置(2)

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電子配置について学んだところで、再び周期表を見てみます。すると、原子の最外殻に入っている電子数(価電子と言います)が等しいものが縦に並んでいることに気づくでしょう。

周期表を縦に見ていくと、一番左側の1 族は価電子を 1 個持つ原子が並んでいます。同様に 2 族は価電子が 2 個、第 3 族から第 12 族を飛ばし(遷移元素と12族は価電子の数が違うので)、13 族は価電子が 3 個です。※遷移元素については3-2.で解説します。

そして、一番右側の 18 族は最外殻に入っている電子の数がヘリウムは 2 個それ以外は 8 個で安定していることが分かるでしょう。

余談ですが、最外殻に入っている電子の数が満席の時は価電子の数は 0 と表現します。なぜなら、価電子には他の元素と化学結合できる電子の数という意味もあるからです。

水素が 1 族でヘリウムが 18 族なのは、電子配置の一番内側である K 殻に入ることができる最大の個数が 2 個しかなく、価電子の数が同じ(18 族は最外殻が満席で安定している)元素を縦に配列したいので、このような配置になっています。

価電子数が少なければ電子を失いやすく価電子数が多ければ逆に電子をひきつけやすくなるのです。前述しましたが、価電子の数は化学結合できる電子の数でもあり、原子の性質を決めるとても大きな役割を持っています。

2.周期表の見方と覚え方

2.周期表の見方と覚え方

image by Study-Z編集部

周期表と原子の構造と電子配置の関係がわかったので、次は周期表の見方についてお話しましょう。周期表の横の行を第〇周期縦の列を第〇族といいます。

先ほども触れましたが、「縦に並んでいる元素=同じ族」の元素は同族元素と呼び、価電子の数が同じなので化学的性質がよく似ているのです。

2-1.原子番号順の覚え方

冒頭でも「水兵リーベ…」と出しましたが、原子番号が小さい元素は頻繁に出てくるので、覚えておくと便利です。ここでは原子番号 1 番の水素から原子番号 20 番のカルシウムまでの覚え方の一例をご紹介します。

すい(H)へい(He)リー(Li)ベ(Be)ぼ(B)く(C)の(N O)ふ(F)ね(Ne)

な(Na)まが(Mg)ある(Al)シッ(Si)プ(P)ス(S)クラ(Cl)アー(Ar)ク(K)か(Ca)

語呂合わせなので意味はありませんが、無理やりストーリーを作るなら

「リーベという名前の水兵さんが、ボクの船だよと船を見せてくれました。生(魚?ビール?)があると船に乗せてもらったら、遠くから別の船(シップス)が近づいてきたのです。かなり遠いから確信は持てないけど友達のクラアークかもしれないな?」

という感じでしょうか?

2-2.同族元素の覚え方

周期表について学んだ皆さんは「なぜ原子番号順に覚えるんだろう?縦の列に並んでいる仲間が似ている性質を持っているのなら、縦の列で覚えればいいのに。」と思われたことでしょう。

そうなんです。性質が似ているものを一括りに覚えたほうが役に立ちますよね。それなので、同族元素を覚える語呂合わせもご紹介しましょう。

同族元素のことは他でくわしく解説しますが、特に重要なのが第 1 族(水素を除きアルカリ金属といいます)、第 2 族(ベリリウムとマグネシウムを除きアルカリ土類金属)、第 17 族(ハロゲン)、第 18 族(希ガス)です。

では覚え方の一例をご紹介します。

第 1 族 アルカリ金属(水素は違うけれど第 1 族なので一緒に覚えます)
ハイで(H)リッチ(Li)な(Na)彼らから(K)ルビーを(Rb)せしめて(Cs)フランスへ(Fr)

第 2 族 アルカリ土類金属(ベリリウムとマグネシウムは違うけれど第 2 族なので一緒に覚えます)
ベー(Be)マグに(Mg)カ(Ca)ストロの(Sr)バ(Ba)ラを(Ra)

第 17 族 ハロゲン
ふっ(F)くら(Cl)ブラ(Br)アイ(I)あたたかい(At)

第 18 族 希ガス
へん(He)ね(Ne)ある(Ar)栗(Kr)着せた(Xe)ラン(Rn)

再びになりますが、語呂合わせなので意味はないです。好きなように覚えやすい語呂合わせを考えてもいいですね。

\次のページで「3.周期表のその他のグループ分け」を解説!/

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