どこの家庭の冷蔵庫にも1本は入っているであろう牛乳。スーパーに行くと様々な種類の牛乳が並んでいるな。牛乳には様々な栄養素が含まれていて、その特徴を利用した加工品も多い。チーズやバター、アイスクリームなんかがあるな。

乳製品というと買ってくるものというイメージがありますが、家でも作ることができる。ネットには色々なレシピが出ているし、酪農家などが料理教室で教えていることもある。今回は牛乳と乳製品を科学の視点から学んでいく。解説はお菓子作りが趣味の元家庭教師リケジョ、たかはしふみかがします。

ライター/たかはし ふみか

国立大工学部化学系院卒のリケジョ。お菓子作りが趣味の化学系だが材料も薬品もこぼす残念女子。クリスマスやバレンタインデーにはチーズケーキや生クリームがたっぷり入ったガトーショコラを作る。

牛乳とは

牛乳には色々な種類があり、栄養素が含まれています。牛乳にどんな種類があるかから確認していきましょう。

牛乳について規定している牛乳乳製品統計調査規則によると牛乳は「直接飲用に供する目的又はこれを原料とした食品の製造若しくは加工の用に供する目的で販売する牛乳、成分調整牛乳及び加工乳」とされています。実は牛から絞られた乳そのままのものを牛乳というわけではありません。

ホルスタインやジャージー種などの乳牛から搾乳され、処理される前の乳を生乳(せいにゅう)と呼びます。そしてこの生乳に均質化(ホモゲナイズ)処理と加熱殺菌したものを牛乳と呼ぶのです。牛乳にレーザーポインターを向けると、光の通り道がくっきりと見ます。これは均質化された脂肪の粒子によってチンダル現象(コロイド粒子によって光が散乱する現象)が起きているからです。

チンダル現象ってなんだっけ?という人にはこちらの記事がおすすめ。

牛乳の分類

〇〇牛乳として販売されいているのは牛乳特別牛乳成分調整牛乳低脂肪牛乳無脂肪牛乳加工乳乳飲料の7種類です。これらは生乳の使用割合100%で乳脂肪(牛乳に含まれる脂肪)や無脂乳固形分(牛乳から水と乳脂肪分を除いたタンパク質、乳糖、ミネラル、ビタミンなど)の量が異なっています。

無調整乳

生乳に含まれる成分を調整していない牛乳を無調整乳といいます。成分を調整していないため、牛乳の味が季節によって異なるのでのが特徴です。牛が脂肪のもととなる繊維質が少ない牧草を食べる夏場は味が薄く、逆に干し草を食べる冬場は濃厚な牛乳となります。

牛乳

生乳100%を均質化し、加熱殺菌したもの

特別牛乳

特別に許可受けた施設で飲み作られた、普通の牛乳より濃厚なもの

調整乳

生乳から乳成分の一部を除去したものを調整乳と言います。

成分調整牛乳

成分の一部を除去したもの

低脂肪牛乳

乳脂肪分が0.5~1.5%に調整されたもの

無脂肪牛乳

乳脂肪量が0.5%未満のもの

添加した添加した牛乳乳

先に紹介した無調整乳、調整乳は生乳100%です。一方、生乳に乳製品や水、その他のものを添加した生乳100%ではない製品もあります。

\次のページで「牛乳の成分」を解説!/

加工乳

生乳に乳製品を加えたもので、無脂乳固形分が8%以上

乳飲料

生乳や乳成分に乳製品以外のものを加えたもので乳固形分3%以上、コーヒーや果汁を加えたカフェラテやイチゴ牛乳などがある

また乳製品にはバター、チーズ、ヨーグルト、れん乳、粉乳などが含まれます。

牛乳の成分

image by PIXTA / 20321391

100gの牛乳には次の栄養が含まれています。(日本食品標準成分表2015年版(七訂)参照)

エネルギー:67kcal

水分: 87.4g

タンパク質:3.3g

脂質:3.8g

炭水化物:4.8g

ミネラル

 カリウム:150mg

 カルシウム:110mg

 マグネシウム:10mg

 リン:93mg

ビタミン

 ビタミンA:83μg

 ビタミンB1:0.04mg

 ビタミンB2:0.15mg

 ビタミンC:1mg

 ビタミンE:0.1mg

コレステロール:12㎎

以外にもカルシウムよりカリウムが多いのですね。コップ1杯(200g)の牛乳を飲めば成人が一日に必要なカルシウムの約1/3をまかなうことができます。他にもビタミン類が豊富なのにカロリーが低く、ダイエットにもおすすめです。

タンパク質とはどんな栄養素?

タンパク質といえば肉や魚を思い浮かべる人も多いでしょう。タンパク質は脂質、糖質とあわせて三大栄養素と言われています。タンパク質によって筋肉や臓器が作られているのです。

牛乳に入っているタンパク質は主にカゼインで、約80%を占めているます。

タンパク質の変性

image by PIXTA / 48824622

お肉を焼くと色が変わる、卵を焼くとかたまり牛乳を加熱すると膜を張る。これらはタンパク質が熱によって状態が変わったために起きていて、これをタンパク質の変性といいます。熱だけでなく㏗の変化でも変性は起きるのです。

ちなみに牛乳を熱して膜が張る現象もタンパク質の変性の一種で、これをラムスデン現象といいます。豆乳を熱すると膜が張って湯葉ができるのも同じ原理です。

\次のページで「スーパーに並ぶ乳製品の作り方」を解説!/

スーパーに並ぶ乳製品の作り方

お店で売られているバターやチーズを作る時の工程をご紹介します。

バターの作り方

食パンや洋食の風味づけに欠かせないバター。バターは次のようにつくります。

image by Study-Z編集部

牛乳の栄養が濃縮されたチーズはピザやチーズフォンデュなどに欠かせない食材です。チーズは通常、次のような手順で作られます。

image by Study-Z編集部

\次のページで「家で作る乳製品」を解説!/

家で作る乳製品

牛乳の成分やタンパク質の変性や市販の乳製品の作り方が分かったところでいよいよ、おうちで簡単にできるバターとチーズの作り方のご紹介です。

ペットボトルで作るバター

用意するものは動物性生クリーム(乳脂肪分が高い(40%以上)もの)、好みで塩少々、そしてきれいに洗った ペットボトルです。あれ?牛乳からは作れないの?と思われるかもしれません。市販の牛乳は最初に説明したように細かく均一化されています。そのため、うまくバター粒の結晶が集まらないのです。

冷やした生クリームをペットボトルに入れ、上下に振ってしっかりと攪拌します。途中温まってしまったら氷水で冷やすのが上手に作るコツです。30分ほど振るとバターが固まりますしっかりと攪拌するに大きめのペットボトルを使いましょう。

家で簡単チーズ

鍋で牛乳をふつふつと泡が出るまで温めます。温まったら火を止めてレモン汁か酢を加えましょう(牛乳100mlに対して小さじ1程度)。すると豆腐状になった固体と水分に分離します。ザルにキッチンペーパーか布巾を引いて鍋の中身を流して水けをきるとカッテージチーズの出来上がりです。このろ過した液体はホエーなので飲んでみてください。

また、同じようにヨーグルトの水けをきると、手軽にフレッシュチーズが楽しめます。

日本最古のチーズ?蘇

蘇とは乳を煮詰めて作られた長期保存できる乳製品です。記録によると飛鳥時代や平安時代から食べられているようで、歴史の授業で聞いたことのある人もいるでしょう。蘇は牛乳を焦げないよう気をつけながら粘りが出るまでようひたすら煮て作ります。牛乳と鍋があればできネットに再現レシピ掲載されているので、興味がある人はチャレンジしてみるといいでしょう。

牛乳がバターになる秘密

栄養満点で冷蔵庫に常備されている牛乳。牛乳や生クリームがあれば家でも簡単にバターやチーズ、アイスクリーム、さらには歴史の教科書に出ている蘇も作ることができます。特にアイスクリームはチョコやコーヒーなどのフレーバーも作ることができ、本格的な味を市販品よりも安く楽しめますよ。

料理は突き詰めると科学現象です。調理の作業には科学的根拠があり、化学の知識がわかると料理がもっと楽しむことができます。最近は料理を科学の視点から見る本や、科学の知識を取り入れた調理法を紹介する本も多いので、興味がある人はぜひ読んでみてください。

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化学理科生活と物質

牛乳はなぜバターになる?食べ物の科学を元家庭教師が5分でわかりやすく解説

どこの家庭の冷蔵庫にも1本は入っているであろう牛乳。スーパーに行くと様々な種類の牛乳が並んでいるな。牛乳には様々な栄養素が含まれていて、その特徴を利用した加工品も多い。チーズやバター、アイスクリームなんかがあるな。

乳製品というと買ってくるものというイメージがありますが、家でも作ることができる。ネットには色々なレシピが出ているし、酪農家などが料理教室で教えていることもある。今回は牛乳と乳製品を科学の視点から学んでいく。解説はお菓子作りが趣味の元家庭教師リケジョ、たかはしふみかがします。

ライター/たかはし ふみか

国立大工学部化学系院卒のリケジョ。お菓子作りが趣味の化学系だが材料も薬品もこぼす残念女子。クリスマスやバレンタインデーにはチーズケーキや生クリームがたっぷり入ったガトーショコラを作る。

牛乳とは

牛乳には色々な種類があり、栄養素が含まれています。牛乳にどんな種類があるかから確認していきましょう。

牛乳について規定している牛乳乳製品統計調査規則によると牛乳は「直接飲用に供する目的又はこれを原料とした食品の製造若しくは加工の用に供する目的で販売する牛乳、成分調整牛乳及び加工乳」とされています。実は牛から絞られた乳そのままのものを牛乳というわけではありません。

ホルスタインやジャージー種などの乳牛から搾乳され、処理される前の乳を生乳(せいにゅう)と呼びます。そしてこの生乳に均質化(ホモゲナイズ)処理と加熱殺菌したものを牛乳と呼ぶのです。牛乳にレーザーポインターを向けると、光の通り道がくっきりと見ます。これは均質化された脂肪の粒子によってチンダル現象(コロイド粒子によって光が散乱する現象)が起きているからです。

チンダル現象ってなんだっけ?という人にはこちらの記事がおすすめ。

牛乳の分類

〇〇牛乳として販売されいているのは牛乳特別牛乳成分調整牛乳低脂肪牛乳無脂肪牛乳加工乳乳飲料の7種類です。これらは生乳の使用割合100%で乳脂肪(牛乳に含まれる脂肪)や無脂乳固形分(牛乳から水と乳脂肪分を除いたタンパク質、乳糖、ミネラル、ビタミンなど)の量が異なっています。

無調整乳

生乳に含まれる成分を調整していない牛乳を無調整乳といいます。成分を調整していないため、牛乳の味が季節によって異なるのでのが特徴です。牛が脂肪のもととなる繊維質が少ない牧草を食べる夏場は味が薄く、逆に干し草を食べる冬場は濃厚な牛乳となります。

牛乳

生乳100%を均質化し、加熱殺菌したもの

特別牛乳

特別に許可受けた施設で飲み作られた、普通の牛乳より濃厚なもの

調整乳

生乳から乳成分の一部を除去したものを調整乳と言います。

成分調整牛乳

成分の一部を除去したもの

低脂肪牛乳

乳脂肪分が0.5~1.5%に調整されたもの

無脂肪牛乳

乳脂肪量が0.5%未満のもの

添加した添加した牛乳乳

先に紹介した無調整乳、調整乳は生乳100%です。一方、生乳に乳製品や水、その他のものを添加した生乳100%ではない製品もあります。

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