この記事では、四字熟語「自画自賛」について解説する。
「自画自賛」はあんまりいい意味で使われないよな。漢字だけみると、『自分の絵画を自分で褒める』ってことだから、必ずしも悪いことではないような気がしますが。言葉の意味や使われ方の背景を知れば、そのあたりの答えがわかるかもしれない。
今回は自惚れ屋のライターであるぷーやんを呼んです。大得意だっていう「自画自賛」の意味と使い方について、説明してもらう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。自分の書いた文章を自画自賛し、何度も読み返しては悦に入る井の中の蛙な側面を持つ。

「自画自賛」の意味から押さえよう!

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それではさっそく「自画自賛」の意味について、辞書と例文でみていきましょう。

「自画自賛」を辞書でみてみよう!

辞書を用意する前に、「自画自賛」の読み方を確認しておかなければなりませんね。「自画自賛」は「じがじさん」と読みます。辞書にはどんなふうに書いてあるでしょうか。

[名](スル)
1自分の描いた画に、自分で賛を書くこと。自画賛。
2自分のした行為を自分で褒めること。自賛。手前味噌 (てまえみそ) 。
[補説]「自我自賛」と書くのは誤り。
出典:大辞泉(小学館) 「自画自賛」

1の意味にある『賛を書く』とは、東洋画の習慣です。絵画を鑑賞した人が作品に賛辞を書き加え、その賛辞も含めて作品と見る習わしがあるそう。その賛辞を自分で書いてしまうことを例にして、「自画自賛」は2の意味で使われる言葉です。

「自画自賛」の使い方を例文でみてみよう

辞書引きの次は、例文で「自画自賛」の使い方を押さえていきます。

1.彼は自画自賛が多くて人の話をちゃんと聞かないので、一緒にいてつまらない。
2.自画自賛もいいが、他人からの指摘を謙虚に受け入れられなくては、それ以上の成長は見込めない。
3.あの人のやっていることは一見人助けに見えるが、自画自賛して自分を保つためにやっているにすぎない。

いずれの例文でも、ネガティブな意味合いで使われています。「自画自賛」してばかりの人は、自分の世界をそれ以上広げられないばかりか、周囲の人をうんざりさせてしまうことも。気をつけたいものですね。

\次のページで「「自画自賛」の類義語3選!」を解説!/

「自画自賛」の類義語3選!

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桜木先生のおっしゃる通り、類義語や対義語を知ることは、言葉の理解と正確な使い回しに有意義です。「自画自賛」について、まずは類義語からみていきましょう。

自慢:自分で自分を褒めて誇ること

この意味の通りに、普段から使われている言葉ではないでしょうか。「慢」の字には、「おごり高ぶる」「ほかを軽んじる」という意味があります。

手前味噌(てまえみそ):自分で自分を褒める

「手前」は一人称(自分)のことですね。昔は味噌を自家製している家庭が多く、手前の作った味噌を自慢しあったことがこの言葉の語源です。

意気揚々(いきようよう):得意げな様子

「積極的な気持ち」の「意気」と「得意げ」の「揚々」が合わさった言葉。得意げで満足そうな態度を表現していますので、「自画自賛」と似ていますね。

「自画自賛」の対義語はなにがある?

類義語に続いて、「自画自賛」の対義語をみていきましょう。ここでは3つご紹介します。

卑下:自分を下品で劣ったものだと見下す

「卑」の字には、「こころが欲にまみれてあさましい」や「下品」という意味があります。自分をこきおろす様子は、「自画自賛」の対極にあると言えるでしょう。

自嘲:自分には値打ちがないと軽んじる

自分をばかにする「自嘲」は、先述の「卑下」よりはマイナスの度合いが弱い言葉ですね。しかし自分をプラス評価する「自画自賛」とは、「卑下」と同様に反対の意味だと言えます。

\次のページで「自己批判:自分の誤りを批判する」を解説!/

自己批判:自分の誤りを批判する

心理学的に「自己批判」は、「自分が自分であること(アイデンティティ)」を否定するこころの在り方と捉えられています。「批判」は第三者的な視点で行われるものですので、「自己批判」は「客観的にみて自分は悪い」と思うこと。

自分視点で自分を振り返る「反省」とは違い、「自己批判」が過剰になることは、どこか危うさが感じられますね。実際に「自己批判」は、うつ病の発症とも関係すると考えられています。

「自画自賛」は英語ではなんという?

「自画自賛」の類義語と対義語をみてきました。さらに言葉の意味を補完するために、英語訳もご紹介します。

sing one's own praise:自画自賛する

「praise」は「賞賛」という意味の単語です。したがって「sing one's own praise」を直訳すると、「ある人が自分自身を賞賛する」となります。つまり「自画自賛する」ということですね。

blow one's own horn:自分自身でラッパを吹く

「blow」は吹く、「horn」は楽器のホルン(ラッパ)です。したがって「blow one's own horn」は、「自分自身でラッパを吹く」という意味の慣用句に。これがなにを意味するかですが、海外の映画などで王様がお城に戻ったときなどに、ラッパを吹いて出迎えているシーンを見たことがないでしょうか。「自分自身でラッパを吹く」ということはすなわち、「自分を偉い人として歓迎する」ことを示します。

self-admiration:自画自賛

「admiration」は「称賛」や「感心」ですので、「self-admiration」は「自分自身の称賛」すなわち「自画自賛」と訳されます。

「自画自賛」する人の心理と対策

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自分に自信を持つことは決して悪いことではありませんが、「自画自賛」してばかりであるのは考えもの。そういう人の相手は多大な労力をともないますので、嫌われてしまいやすいでしょう。この記事の最後に「自画自賛」をしてしまう心理と、そうした人への対応について一考してみます。

なぜ「自画自賛」してしまうのか?

多少「自画自賛」することは、誰にもあるもの。しかし、四六時中「自画自賛」する人には、心理面に次のような課題があるといえるでしょう。

\次のページで「「自画自賛」ばかりの人への対応方法をご提案!」を解説!/

・自己評価は高いが、他人に認められるかどうかには自信がない。
・他人と自分を比べてしまう。
・被害者意識が強い。
・人の気持ちを考えられない。

これらの課題から、「自画自賛」が過ぎる人は次のような考えに縛られているのではないでしょうか。すなわち、『自分の考えは正しいので、みんなこうあるべき』と思っており、『ほかの人よりも自分は優れている』と考えています。

そして自分の考え通りに人が動かないと、『自分のほうが正しいのにみんなが聞く耳を持たない』『社会はおかしい』と被害者意識にさいなまれることに。

そんな状態のなかでも自分を保つため、見た目や学歴など表面的な部分で自分が勝てるところを血眼で探したり、過去の自分の成功体験をいつまでも自慢したりします。あるいはどこかで聞いたようなテンプレ的な人助けを、自分のステータスのためにやることもあるでしょう。しかし他人の気持ちや本当に必要としていることなどは考えられないので、そのような人助けも独りよがりでしかありません。

「自画自賛」ばかりの人への対応方法をご提案!

先述のような「自画自賛」する人には、以下のような対応がおすすめ。

・話し半分に聞いてあまり近づかない。
・同意しないで、無関心を貫く。
・わざと身の丈に合わないことをやらせて未熟さを思い知らせる。
・相手の自慢話を冗談のように扱う。

まとめると「自画自賛」の内容を軽くあしらって、『あなたは私になんの影響も与えません』という姿勢をみせることです。

「自画自賛」はするもされるもほどほどに

この記事では「自画自賛」について、言葉の意味を類義語や対義語などの関連語とともに解説しました。記事の最後では「自画自賛」し過ぎてしまうケースについて、心理と対応策の案を示しています。

『「自画自賛」し過ぎてしまう心理』で挙げた課題は、子どものときから成長していく過程で愛情をあまり受けられなかったり、認めてもらえなかったりした場合に陥りやすい思考のクセでもあるでしょう。ある意味気の毒ではありますが、だからと言って「自画自賛」の自慢話を受け入れなければならない理由にはなりません。はっきりと拒絶してあげることが、結果として当人のためになることもあります。

この記事が「自画自賛」の理解に役立ちましたら幸いです。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
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国語言葉の意味

嫌われやすい「自画自賛」の意味って?類語から例文・対義語・英語訳までwebライターがわかりやすく解説!

この記事では、四字熟語「自画自賛」について解説する。
「自画自賛」はあんまりいい意味で使われないよな。漢字だけみると、『自分の絵画を自分で褒める』ってことだから、必ずしも悪いことではないような気がしますが。言葉の意味や使われ方の背景を知れば、そのあたりの答えがわかるかもしれない。
今回は自惚れ屋のライターであるぷーやんを呼んです。大得意だっていう「自画自賛」の意味と使い方について、説明してもらう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。自分の書いた文章を自画自賛し、何度も読み返しては悦に入る井の中の蛙な側面を持つ。

「自画自賛」の意味から押さえよう!

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それではさっそく「自画自賛」の意味について、辞書と例文でみていきましょう。

「自画自賛」を辞書でみてみよう!

辞書を用意する前に、「自画自賛」の読み方を確認しておかなければなりませんね。「自画自賛」は「じがじさん」と読みます。辞書にはどんなふうに書いてあるでしょうか。

[名](スル)
1自分の描いた画に、自分で賛を書くこと。自画賛。
2自分のした行為を自分で褒めること。自賛。手前味噌 (てまえみそ) 。
[補説]「自我自賛」と書くのは誤り。
出典:大辞泉(小学館) 「自画自賛」

1の意味にある『賛を書く』とは、東洋画の習慣です。絵画を鑑賞した人が作品に賛辞を書き加え、その賛辞も含めて作品と見る習わしがあるそう。その賛辞を自分で書いてしまうことを例にして、「自画自賛」は2の意味で使われる言葉です。

「自画自賛」の使い方を例文でみてみよう

辞書引きの次は、例文で「自画自賛」の使い方を押さえていきます。

1.彼は自画自賛が多くて人の話をちゃんと聞かないので、一緒にいてつまらない。
2.自画自賛もいいが、他人からの指摘を謙虚に受け入れられなくては、それ以上の成長は見込めない。
3.あの人のやっていることは一見人助けに見えるが、自画自賛して自分を保つためにやっているにすぎない。

いずれの例文でも、ネガティブな意味合いで使われています。「自画自賛」してばかりの人は、自分の世界をそれ以上広げられないばかりか、周囲の人をうんざりさせてしまうことも。気をつけたいものですね。

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