この記事では「疑心暗鬼」について解説する。

端的に言えば疑心暗鬼の意味は「猜疑心があると何もかもが疑わしく思えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

難関高校受験専門の学習塾講師を10年経験したwhite-sugarを呼んです。一緒に「疑心暗鬼」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/white_sugar

文系中心に5教科オールラウンダーとして難関校専門学習塾講師を10年務めた後、引退。開成高校、筑波大学付属駒場高校を筆頭に早慶附属・系属高校など首都圏最難関クラスの高校合格者を多数輩出。

「疑心暗鬼」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「疑心暗鬼」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「疑心暗鬼」の意味は?

「疑心暗鬼」には、次のような意味があります。

疑いの心があると、なんでもないことでも怖いと思ったり、疑わしく感じることのたとえ。疑いの深さからあらぬ妄想にとらわれるたとえ。疑いの心をもっていると、いもしない暗闇くらやみの亡霊が目に浮かんでくる意から。▽「疑心」は疑う心。「暗鬼」は暗闇の中の亡霊の意。「疑心暗鬼を生ず」の略。「暗」は「闇」とも書く。

出典:新明解四字熟語(三省堂)「疑心暗鬼」

一度疑い始めると、何でもないことまで疑問や不安を感じたり、恐ろしくなってくることのたとえ。

出典:四字熟語辞典(学研)「疑心暗鬼」

「疑心」に関しては引用元の辞典にあるとおりです。仏教用語では「仏の教えに疑問を持つ」という意味もあります。「暗鬼」については暗闇の中にいる幽霊という意味で、日本で想像されるあの角の生えた「鬼」ではありません。中国では死霊や死者の魂のことを「鬼」と表記します。日本語では「幽鬼」にこの使い方の名残が見えますね。

暗い夜道を一人で歩いていて心細くなってくるとちょっとした物音や影にも怯えてしまう、悪いことが起こってしまうのではないかと身構えてしまいます。ここから周囲に対する疑念に縛られてしまい、必要以上に疑り深くなることも意味するようになるのです。

「疑心暗鬼」に囚われると、周囲のせっかくの忠告すら自分への罠だと思ってしまうなど、視野が狭くなってしまいますね。せっかくの忠告を敵意だと思われるのであれば、人の心は離れていくでしょう。「疑心暗鬼」の塊になってしまうと、孤立を深めることになります。

「疑心暗鬼」の語源は?

次に「疑心暗鬼」の語源を確認しておきましょう。紀元前に書かれた「列子」。13世紀に林希逸という人がその注釈を書いているのですが、その一節が由来となっています。本文の引用と、要約を掲載しますね。

諺曰、疑心生暗鬼也。心有所疑、其人雖不竊鈇、而我以疑心視之、則其件件皆可疑。「ことわざによれば、疑心は暗鬼を生ずと言います。ある人がまさかりを盗んでいないのが事実だとしても、疑う心を持ったままその人を見るのならば疑わしいと思えてくるのです」というような意味です。

\次のページで「「疑心暗鬼」の使い方・例文」を解説!/

「疑心暗鬼」の使い方・例文

「疑心暗鬼」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.用心深いのは結構だが、「疑心暗鬼」に陥ると足元をすくわれるぞ。
2.不幸なことが重なってしまい、彼女は今「疑心暗鬼」の塊だ。
3.ネットで誹謗中傷していたのが親友だとわかったときは、「疑心暗鬼」になってしまい、すべての人が怖くなりました。
4. 「疑心暗鬼」に駆られた結果、暴言を吐き続けた彼は友人を全て失った。

些細なことでも疑う、恐怖心を感じることから、周囲を信頼できないという内に籠った心理状況を表すこともあります。

「疑心暗鬼」の類義語は?違いは?

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「疑心暗鬼」の類語を四字熟語を中心にいくつか紹介していきましょう。

「窃鉄之疑」「窃鉄の疑い」

「疑心暗鬼」の出典とほぼ同じ故事に因みます。「ある人がまさかりをなくして山から帰ってきたが、隣家の子が犯人ではないかと疑った。言動全てが怪しく見える。しかし、まさかりが見つかると、途端にその子のことを盗みを働くようには思えなくなった」というものです。

「疑心暗鬼」は周囲の人間全員に対する疑念ですが、「窃鉄之疑」、「窃鉄の疑い」はある特定のひとりに対するもの、というのが違いでしょうか。

「呉牛喘月」

随分と難しい漢字ですね。「ごぎゅうぜんげつ」と読むんですよ。呉の牛は月を見て喘ぐというのが文字そのままの意味。何のことだかわかりませんので少し解説しましょう。

呉というのは中国に昔あった国で、南方に位置しとても暑い気候でした。その国の牛はギラギラと照り付ける太陽の熱で辛い思いをしていました。ですから、夜に月が昇るのを見ても太陽だと勘違いして、ぜいぜいはあはあと息が乱れてしまう、という故事に因んだ四字熟語です。

必要以上に怯えを感じる点が「疑心暗鬼」と似ていますね。一方で必要以上に警戒した結果「取り越し苦労に終わる」という意味も持っています。

\次のページで「「草木皆兵」」を解説!/

「草木皆兵」

「草木」とは見ての通り草や木、身近でありふれているものの例えです。「皆兵」全員兵士だ、という意味で国民皆兵という言葉を歴史で習った記憶がある人もいるかもしれませんね。

「草木皆兵」は敵兵の影に怯えるあまり、身の回りのなんでもないものさえ敵影だと思えてしまうような切羽詰まった心理状態を表します。「疑心暗鬼」と比べて恐怖心が勝っているニュアンスですね。

「疑心暗鬼」の対義語は?

今度は「疑心暗鬼」の対義語を学習しましょう。こちらも四字熟語を中心に紹介しますね。

「虚心坦懐」

「虚心坦懐」の「虚心」はわだかまりを持たず、寛容に受け入れる穏やかで広い心を意味します。「坦懐」はさっぱりとしたわだかまりのない心です。ほとんど同じ意味の言葉を重ねてできていますね。

「虚心坦懐」は先入観を持たずに素直に物事を受け入れられる態度やそういった心理状態を表します。ちなみに「坦」「担」と書くのが生徒さんによくみられる間違い。PCやスマホなら四字熟語として辞書登録されていますので心配ありませんが、手書きの時には注意してくださいね。

「明鏡止水」

「明鏡止水」は「めいきょうしすい」あるいは「めいけいしすい」とも読みます。「明鏡」とは一片の曇りもない鏡、「止水」はさざ波ひとつ立たずに静かに湛えられた水の意味です。

大変美しい情景が思い浮かびますね。熟語としての意味は邪念を抱かずに澄んだまっすぐな心を持つこと、またその様子です。日本武道の心構えとして説かれることもあるんですよ。

「安心立命」

「安心立命」は「あんしんりつめい」や「あんじんりゅうみょう」と読みます。後者は主に仏教用語です。「安心」は仏の教えに帰依し、心を穏やかに保つという仏教用語。「立命」は運命を天に任せるという儒教の用語に由来します。

わが身を天命に任せて心を落ち着かせること、何事にも動揺せずに落ち着いた態度で臨むという意味の四字熟語です。

「疑心暗鬼」の英訳は?

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「疑心暗鬼」を英語で表現すると、どうなるのか確認していきましょう。

「doubt」を使った表現

doubtは「訝しむ、怪しむ」という意味の単語です。doubtを使うと「疑心暗鬼」を何通りも表現できるので例文を使って確認していきましょう。

例文1はcan't help ~ingと組み合わせて「(したくもないのに)疑わざるを得ない」という意味を出しています。例文2のdoubtは名詞で、gnaw atは「~をかじる」という意味。「疑念が彼女をかじった」が直訳ですが「蝕んだ」と訳すとスマートな印象に。例文3は「疑念と恐怖でいっぱいになる」という表現方法をしています。

\次のページで「「Suspicion begets idle fears.」」を解説!/

1. I think him honest, but I can't help doubting his words.
彼は誠実だと思うのだけど、どうしても彼の言葉を疑ってしまうのよ。

2. When she saw him in the eye, the doubts gnawed at her.
彼の目を見た時、彼女は疑心暗鬼に陥った。

3. The villagers are filled with doubts and fears due to succession of murders.
村人たちは連続殺人事件のせいで疑心暗鬼になっている。

「Suspicion begets idle fears.」

suspicionは「疑念」や「疑心」、begetは「生じさせる」という動詞、idleは「無用な」、fearは「恐怖」です。「疑念はいらぬ恐怖を生み出す」と直訳できるので「疑心暗鬼を生ず」という一文をそのまま英訳するならこちらがピッタリ。

「疑心暗鬼」を使いこなそう

この記事では「疑心暗鬼」の意味・使い方・類語などを説明しました。あまりポジティブな意味ではないので使いどころを選びますが、由来や類語・対義語、英訳を知っていると一目置かれるでしょう。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「疑心暗鬼」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「草木皆兵」

「草木」とは見ての通り草や木、身近でありふれているものの例えです。「皆兵」全員兵士だ、という意味で国民皆兵という言葉を歴史で習った記憶がある人もいるかもしれませんね。

「草木皆兵」は敵兵の影に怯えるあまり、身の回りのなんでもないものさえ敵影だと思えてしまうような切羽詰まった心理状態を表します。「疑心暗鬼」と比べて恐怖心が勝っているニュアンスですね。

「疑心暗鬼」の対義語は?

今度は「疑心暗鬼」の対義語を学習しましょう。こちらも四字熟語を中心に紹介しますね。

「虚心坦懐」

「虚心坦懐」の「虚心」はわだかまりを持たず、寛容に受け入れる穏やかで広い心を意味します。「坦懐」はさっぱりとしたわだかまりのない心です。ほとんど同じ意味の言葉を重ねてできていますね。

「虚心坦懐」は先入観を持たずに素直に物事を受け入れられる態度やそういった心理状態を表します。ちなみに「坦」「担」と書くのが生徒さんによくみられる間違い。PCやスマホなら四字熟語として辞書登録されていますので心配ありませんが、手書きの時には注意してくださいね。

「明鏡止水」

「明鏡止水」は「めいきょうしすい」あるいは「めいけいしすい」とも読みます。「明鏡」とは一片の曇りもない鏡、「止水」はさざ波ひとつ立たずに静かに湛えられた水の意味です。

大変美しい情景が思い浮かびますね。熟語としての意味は邪念を抱かずに澄んだまっすぐな心を持つこと、またその様子です。日本武道の心構えとして説かれることもあるんですよ。

「安心立命」

「安心立命」は「あんしんりつめい」や「あんじんりゅうみょう」と読みます。後者は主に仏教用語です。「安心」は仏の教えに帰依し、心を穏やかに保つという仏教用語。「立命」は運命を天に任せるという儒教の用語に由来します。

わが身を天命に任せて心を落ち着かせること、何事にも動揺せずに落ち着いた態度で臨むという意味の四字熟語です。

「疑心暗鬼」の英訳は?

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「疑心暗鬼」を英語で表現すると、どうなるのか確認していきましょう。

「doubt」を使った表現

doubtは「訝しむ、怪しむ」という意味の単語です。doubtを使うと「疑心暗鬼」を何通りも表現できるので例文を使って確認していきましょう。

例文1はcan’t help ~ingと組み合わせて「(したくもないのに)疑わざるを得ない」という意味を出しています。例文2のdoubtは名詞で、gnaw atは「~をかじる」という意味。「疑念が彼女をかじった」が直訳ですが「蝕んだ」と訳すとスマートな印象に。例文3は「疑念と恐怖でいっぱいになる」という表現方法をしています。

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