この記事では「一石二鳥」について解説する。

端的に言えば「一石二鳥」の意味は「一つの事をして二つの利益を得ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意なぼすこを呼んです。一緒に「一石二鳥」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「一石二鳥」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一石二鳥」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を押さえていきましょう。

「一石二鳥」の意味は?

「一石二鳥」の意味を辞書で調べると次のようになります。

1.一つの事をして二つの利益を得ること。一挙両得。

出典:大辞林第三版(三省堂)「一石二鳥」

私たちの生活の中では、何か一つの目的のために行動を起こしたら、図らずも元の目的とは別の目的も一緒に達成してしまうようなことがあります。これが「一石二鳥」という状態です。

健康診断でお医者さんから体重を落としなさいと言われたので健康管理を始めたら、体重が落ちて健康になり、スマートな体型が得られ、急にモテるようになり、食べ過ぎなくなったので食費が減った、などという一つのきっかけに対して、たくさんの利点が生まれることもありますね。そのため、最近では、「一石二鳥」からの造語で「一石三鳥」「一石四鳥」などという使われ方をすることも増えてきています。

「一石二鳥」の語源は?

「一石二鳥」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

「一石二鳥」は、17世紀のイギリスのことわざが語源です。「一つの石で二羽の鳥を殺す」ということわざなのですが、言葉の通り、「一羽の鳥に当てようと石を投げたら、思いがけず二羽の鳥に当たって、二羽捕まえることができた。」というお話が元になっています。

このイギリスのことわざを日本語に訳し、漢字を当てはめたのが「一石二鳥」です。

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「一石二鳥」の使い方・例文

では、私たちの生活の中で「一石二鳥」がどのように使われるのか、例文を見ていきましょう。

1.人に会うのが嫌で、苦手な早起きをしてランニングをしていた。人に会うこともなく、快適にランニングを続けていたら、いつの間にか苦手だった早起きも得意になってしまった。まさに一石二鳥だ。

2.体の弱い弟は数年前から空手を習い始めた。体が強くなるようにと父が勧めたのだが、数年経った今では、体つきもしっかりし、さらに気持ちも強くなった。弟にとっては、一石二鳥だろう。

「一つの行動に対して二つの利益を得ること」という意味の「一石二鳥」ですが、使い方に一つポイントがあります。それは、「得た利益が偶然であること」。元々、一羽の鳥に当てようとした石が、偶然二羽の鳥に当たって捕まえることができ、ラッキーだった、というお話が語源ですから、狙って二つの利益を得ようとしたときには、あまり使うべきではないかもしれませんね。

近年では、あまり「偶然」というところには重点を置くことはなく、狙って得た利益も「一石二鳥」と表現してしまうことも多いですが、知っておきたいポイントでしょう。

「一石二鳥」の類義語は?違いは?

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「一石二鳥」と似た意味を持つ言葉を探してみました。どんなものがあるのか、早速見ていきましょう。

「一挙両得」

「一挙両得」は、「一つのことをすることによって二つの利益を得ること」という意味の四字熟語です。「一石二鳥」とまったく同じ意味に見えますよね。同じ意味のように見える「一石二鳥」と「一挙両得」ですが、しっかりとした違いがあるんです。

「一挙両得」を漢字通りに解釈すると、「自分の考えを一つ実行して、二つの利益を得る」という意味になります。「一石二鳥」は、「偶然投げた石が二羽の鳥に当たって得をする」でした。利益を得たのが、偶然なのか、計画通りなのか、というのが二つの間にある大きな違い。

「予期せぬ利益」と「計画通りの利益」、「一石二鳥」の方がラッキーだと感じるのは、私だけでしょうか。

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「一粒で二度おいしい」

慣用句のように使われている「一粒で二度おいしい」。好きな歌手のイベントに出かけたらゲストでさらに自分の好きな歌手が登場した、というような、「一つのことで二倍得をする」ときに使われます。実はこの言葉、慣用句やことわざではありません。

元は、あるお菓子のキャッチコピーでした。アーモンドグリコです。甘いグリコの中に、さくっとしたアーモンドがあって、大人でも食べやすいグリコを宣伝するために考えられたものだそう。「一つのものを食べたのに、二つの味が楽しめてお得」という、こちらも「一石二鳥」と同じような意味です。

元々は商品のキャッチコピーだった「一粒で二度おいしい」ですが、いつの間にか言葉だけが一人歩きするようになり、現在では慣用句のように使われるようになっています。私自身も、この言葉の語源については知らなかったので、てっきり慣用句だと思い込んでいました。

「一石二鳥」の対義語は?

「一石二鳥」の対義語についても見ていきましょう。

「二兎追うものは一兎をも得ず」

「二つのことを成そうとしても、結局どちらもうまくいかないこと」という意味のことわざです。偶然の行動で二倍の利益を得る「一石二鳥」とは、真逆の意味となりますね。このことわざも英語のことわざを語源としており、その点でも「一石二鳥」の対義語にふさわしい言葉でしょう。

「一石二鳥」の英訳は?

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語源の項目でお話したとおり、「一石二鳥」は英語のことわざを元にした四字熟語ですから、きちんとした英訳があります。早速見ていきましょう。

「kill two birds with one stone」

「一つの石で二羽の鳥を殺す」という英語のことわざです。日本では「一つのことをして二つの利益を得る」という意味合いが強いですが、海外での解釈としては、「一つの行動で二つの問題を解決する」という意味で使われることもあるそう。

日本語の「一石二鳥」は形容詞的に使われることが多いですが、英語の「kill two birds with one stone」は動詞として使われるので、日本語に正しく訳すと「一石二鳥をする」「一挙両得する」となります。日本語では動詞として使うことがあまりないので、私はこの訳があまりしっくりこないと感じました。

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「一石二鳥」を使いこなそう

ここまで「一石二鳥」の基本的な内容、関連する語句について見てきました。「一つの行動によって偶然にも二つの利益を得る」という意味の言葉でしたが、実際私たちの生活では、なかなかないことですよね。「計画的に動いて二つの利益を得る」という意味の「一挙両得」の方が、まだ自分の身にも起こってくれそうな印象を受けました。中国の故事や書物が語源となることが多い四字熟語の中で、英語のことわざが語源になった「一石二鳥」は少し珍しいですので、覚えておくとちょっとした話のタネになりそうですよ。

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【四字熟語】「一石二鳥」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「一石二鳥」について解説する。

端的に言えば「一石二鳥」の意味は「一つの事をして二つの利益を得ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

学習塾経営者で国語が得意なぼすこを呼んです。一緒に「一石二鳥」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ぼすこ

国立大学教育学部卒業後、学習塾を経営。読書好きが高じて蓄えた幅広い知識と、得意教科である国語力で、四字熟語をわかりやすく解説していく。

「一石二鳥」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一石二鳥」の意味や語源・使い方など、基本的な内容を押さえていきましょう。

「一石二鳥」の意味は?

「一石二鳥」の意味を辞書で調べると次のようになります。

1.一つの事をして二つの利益を得ること。一挙両得。

出典:大辞林第三版(三省堂)「一石二鳥」

私たちの生活の中では、何か一つの目的のために行動を起こしたら、図らずも元の目的とは別の目的も一緒に達成してしまうようなことがあります。これが「一石二鳥」という状態です。

健康診断でお医者さんから体重を落としなさいと言われたので健康管理を始めたら、体重が落ちて健康になり、スマートな体型が得られ、急にモテるようになり、食べ過ぎなくなったので食費が減った、などという一つのきっかけに対して、たくさんの利点が生まれることもありますね。そのため、最近では、「一石二鳥」からの造語で「一石三鳥」「一石四鳥」などという使われ方をすることも増えてきています。

「一石二鳥」の語源は?

「一石二鳥」の意味を確認したところで、次にその語源についても見ていくことにしましょう。

「一石二鳥」は、17世紀のイギリスのことわざが語源です。「一つの石で二羽の鳥を殺す」ということわざなのですが、言葉の通り、「一羽の鳥に当てようと石を投げたら、思いがけず二羽の鳥に当たって、二羽捕まえることができた。」というお話が元になっています。

このイギリスのことわざを日本語に訳し、漢字を当てはめたのが「一石二鳥」です。

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