この記事では「喜怒哀楽」について解説する。

端的に言えば喜怒哀楽の意味は「人間の様々な感情」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

活字好き家系出身の森野みどりを呼んです。一緒に「喜怒哀楽」の意味や語源、類語などを見ていきます。

ライター/森野みどり

編集者の叔母、子ども文庫を主宰する母を持ち、本に囲まれて育ったwebライター。英語圏在住9年目。

「喜怒哀楽」の意味と語源、例文

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「喜怒哀楽」の意味

それでは早速「喜怒哀楽」(きどあいらく)の意味を、辞書で確かめてみましょう。

喜びと怒りと悲しみと楽しみ。人間のさまざまな感情。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「喜怒哀楽」

「喜怒哀楽」という言葉は、文字通り喜び、怒り、悲しみ、楽しみという人間の持つ基本的な感情と、それ以外の色々な感情をも表すのですね。「かなしい」の漢字に、「悲」でなく「哀」が使われていますが、両者の違いはなんだろうという疑問が湧きませんか?次でご説明しましょう。

「悲しい」と「哀しい」に明確な使い分けはないですが、「悲」は常用漢字です。一方、「哀」は常用漢字登録されているものの、「かなしい」というよみが常用漢字表外音訓、つまり公用文で「哀しい」を「かなしい」と読ませることはできないというルールになっています。

「悲」という漢字は、「心を左右に引き裂く」を意味する象形文字です。上の部分が左右に分かれるさまを表し、その下に心が来るので、理解しやすいでしょう。

「哀」は「死者ための衣服の襟元」と「口」から成る象形文字です。これが転じてかなしい、切なさやいたたまれなさを含むような他人へ向けた感情を表し、詩的、文学的な表現で多く使われます。

「悲」よりも「哀」の方が、より深みや奥行きのある感情を含むのですね。

では、「喜怒哀楽」の語源はどのようなものなのでしょう。

「喜怒哀楽」の語源

「喜怒哀楽」は儒学の四書(ししょ)(大学・中庸・論語・孟子)の一つ、『中庸』(子思著)の初めにある次の言葉に由来します。

喜怒哀樂之未發。謂之中。

これは、「人間が持つすべての感情(喜怒哀楽)が生まれる前の状態を「中」と呼ぶ。この「中」は宇宙原理の根本を指し、最も基本的な原理である」という意味です。「喜怒哀楽」はこの言葉に由来するとされています。

\次のページで「「喜怒哀楽」の例文」を解説!/

「喜怒哀楽」の例文

次に、「喜怒哀楽」の例文を見ながら、使い方を確認しましょう。

・喜怒哀楽、出来ることなら「喜」と「楽」を数多く味わいたいものだ。

・彼が喜怒哀楽を表さないのは知っているが、それでももう少し反応を示してくれればいいのにと思ってしまう。

・喜怒哀楽が激しいと言えばマイナスに聞こえるかも知れないが、彼女は感情豊かで周囲を楽しませる才能があるのだ。

・喜怒哀楽がコントロールできないのも困るが、喜怒哀楽の感じられない無表情にも困惑させられる。

・三姉妹の中で、喜怒哀楽をあらわにするのは彼女だけだった。

「喜怒哀楽」以外の感情とは?

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「喜怒哀楽」が人間の持つ基本的な感情であることは分かりました。では、それ以外に人間はどのような感情を持つでしょうか。

「六情」

一般的な感情の分類として、「六情」があり、喜怒哀楽に「」と「」が加わって六つです。

「五情」の定義

中国の伝統医学の基本的な概念に「五行説(ごぎょうせつ)」があります。これは人の体を含めた自然界のすべての事象を「木」「火」「土」「金」「水」の五つの概念で考えるものです。このバランスを取ることで健康体を目指すというのが「五行説」。人間の感情もこの五つの要素に分類できるとするのが「五情(ごじょう)」で、それぞれ下記のような対応関係にあるとされます。

「木」:

「火」:

「土」:(=考え

「金」:

「水」:

心の健康を保つためには、これらの感情のバランスを取ることが大切です。

\次のページで「「三字経(さんじきょう)」の定義」を解説!/

「三字経(さんじきょう)」の定義

「三字経」は、「百家姓(ひゃっかせい)」、「千字文(せんじもん)」と並ぶ中国の伝統的な子どものための学習書です。儒教、経典(仏教の教え)の基本的な考えや常識、歴史、学習の重要性などを説いています。この中に見られるのが、次の一文です。

曰喜怒、曰哀懼、愛悪欲、七情具

これは、人間には「」、「」、「」、「」、「」、「」、「」の七つの情があることを説明しています。

・「」とは、恐れること、びくびくすること、の意味です。

チャールズ・ダーウィンの定義

イギリスの自然科学者で、進化論の確立者でもあるダーウィンは、人が感情を持つのはなぜかという問いに初めて向き合った研究者でもあります。彼は、人間が「悲しみ」「幸福」「怒り」「軽蔑」「嫌悪」「恐怖」「驚き」という七つの基本的感情を普遍的に持ち、文化による違いはなく、どのような文化的背景を持っていても、感情を表現する方法は同じであると考えました。

言葉が通じなくてもコミュニケーションが成立するのは、相手の表情や仕草から、感情を読み取ることができるおかげなのですね。飛行機で偶然、となり合った人とただ微笑みを交わし合うことで安心感を与え合うことが出来ることを思うと、ダーウィンの説にうなづけるのではないでしょうか。

インドの美学理論「ナヴァ・ラサ」

「ナヴァ・サラ」と呼ばれるインドの伝統的な美学理論では、基本的な感情を九つに分けています。

「シュリンガーラ」:恋愛感情

「ハースヤ」:滑稽な笑い

「カルナ」:悲しみ

「ラウドラ」:怒り

「ヴィーラ」:活力あふれる気持ち

「バヤーナカ」:おそれ

「ビーバッサ」:嫌悪

「アドブサ」:驚き

「シャーンタ」:平和

「喜怒哀楽」の類語

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それでは次に、「喜怒哀楽」の類語をご紹介しましょう。

「嬉笑怒罵(きしょうどば)」

あまり聞き慣れない四字熟語ですね。辞書を引いてみましょう。

感情のこと。

「嬉」は喜ぶこと。

「罵」は悪口を言うこと。

出典:四字熟語辞典オンライン(https://yoji.jitenon.jp)「嬉笑怒罵」

「嬉笑怒罵」の「嬉」を「喜」、「罵」を「悪」に置き換えると、「喜笑怒悪」。「喜怒哀楽」と見比べてみると、「哀楽」の部分が「悪笑」と対応していて、「楽」が「笑」とほぼ同じ意味だと捉えると、「哀」と「悪」の一文字だけが違っています。そう考えると「嬉笑怒罵」と「喜怒哀楽」は確かに、類語同士と言えそうです。

「喜怒哀楽」を使いこなそう

「喜怒哀楽」が人の持つ基本的な感情であることから始まり、人の感情の分類方法や、「喜怒哀楽」の類語について見てきました。中国やインド、イギリスでも人間の感情について古くから考えられてきたことを考えると、人間にとって感情がそれだけ重要なものであったことが分かります。「喜怒哀楽」、どんな感情にも善悪はありません。自分の中に生まれる時々の感情を大切に受け入れ、味わうことで、人生が豊かなものになるのではないでしょうか。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「喜怒哀楽」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「三字経(さんじきょう)」の定義

「三字経」は、「百家姓(ひゃっかせい)」、「千字文(せんじもん)」と並ぶ中国の伝統的な子どものための学習書です。儒教、経典(仏教の教え)の基本的な考えや常識、歴史、学習の重要性などを説いています。この中に見られるのが、次の一文です。

曰喜怒、曰哀懼、愛悪欲、七情具

これは、人間には「」、「」、「」、「」、「」、「」、「」の七つの情があることを説明しています。

・「」とは、恐れること、びくびくすること、の意味です。

チャールズ・ダーウィンの定義

イギリスの自然科学者で、進化論の確立者でもあるダーウィンは、人が感情を持つのはなぜかという問いに初めて向き合った研究者でもあります。彼は、人間が「悲しみ」「幸福」「怒り」「軽蔑」「嫌悪」「恐怖」「驚き」という七つの基本的感情を普遍的に持ち、文化による違いはなく、どのような文化的背景を持っていても、感情を表現する方法は同じであると考えました。

言葉が通じなくてもコミュニケーションが成立するのは、相手の表情や仕草から、感情を読み取ることができるおかげなのですね。飛行機で偶然、となり合った人とただ微笑みを交わし合うことで安心感を与え合うことが出来ることを思うと、ダーウィンの説にうなづけるのではないでしょうか。

インドの美学理論「ナヴァ・ラサ」

「ナヴァ・サラ」と呼ばれるインドの伝統的な美学理論では、基本的な感情を九つに分けています。

「シュリンガーラ」:恋愛感情

「ハースヤ」:滑稽な笑い

「カルナ」:悲しみ

「ラウドラ」:怒り

「ヴィーラ」:活力あふれる気持ち

「バヤーナカ」:おそれ

「ビーバッサ」:嫌悪

「アドブサ」:驚き

「シャーンタ」:平和

「喜怒哀楽」の類語

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それでは次に、「喜怒哀楽」の類語をご紹介しましょう。

「嬉笑怒罵(きしょうどば)」

あまり聞き慣れない四字熟語ですね。辞書を引いてみましょう。

感情のこと。

「嬉」は喜ぶこと。

「罵」は悪口を言うこと。

出典:四字熟語辞典オンライン(https://yoji.jitenon.jp)「嬉笑怒罵」

「嬉笑怒罵」の「嬉」を「喜」、「罵」を「悪」に置き換えると、「喜笑怒悪」。「喜怒哀楽」と見比べてみると、「哀楽」の部分が「悪笑」と対応していて、「楽」が「笑」とほぼ同じ意味だと捉えると、「哀」と「悪」の一文字だけが違っています。そう考えると「嬉笑怒罵」と「喜怒哀楽」は確かに、類語同士と言えそうです。

「喜怒哀楽」を使いこなそう

「喜怒哀楽」が人の持つ基本的な感情であることから始まり、人の感情の分類方法や、「喜怒哀楽」の類語について見てきました。中国やインド、イギリスでも人間の感情について古くから考えられてきたことを考えると、人間にとって感情がそれだけ重要なものであったことが分かります。「喜怒哀楽」、どんな感情にも善悪はありません。自分の中に生まれる時々の感情を大切に受け入れ、味わうことで、人生が豊かなものになるのではないでしょうか。

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