この記事では、「一意専心」について解説する。
「一意専心」ってあんまり使う機会のない表現ですね。漢字からは感覚的に、何かに気持ちを集中している様子を想像しますが、実際のところはどうなんでしょうか。
今回はコンビニで弁当を買うだけなのに、いちいち悩んで決められないライター、ぷーやんを呼んです。盲目的に「一意専心」することは危険だ、なんて言い訳がましくうそぶいていたぜ。いったいどういうことなのか、言葉の意味や使われ方から順に説明してもらおうか。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。雑音や雑念に気を取られて、思考が散らかることがしばしばある。

「一意専心」の意味から押さえよう!

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それではさっそく「一意専心」の意味を、辞書と例文でご紹介します。

「一意専心」を辞書でみてみよう!

辞書で言葉を調べるためには、読み方を間違えないことが必須条件。「一意専心」は「いちいせんしん」と読みます。それでは、辞書で「一意専心」の意味をみていきましょう。

(副詞的に用いて)わき目もふらず心を一つのことだけに注ぐこと。「一意専心環境問題に取り組む」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「一意専心」

意識を統一してがんばっている、ということですね。「一意専心」の由来で有力な説は、古代中国の政治論書『管子』にある、『意を一にし心を摶らにし』です。この書の中では「一意専心」に集中すれば、遠くのものが近くに感じられるほど感覚が研ぎ澄まされると書かれています。

「一意専心」の使い方を例文でみてみよう

言葉の意味を辞書で押さえたら、次は例文で使い方をチェックしましょう。

1.一意専心に勉強に励んできた結果、共通試験でいい結果を得られ、大学の選択肢がひろがった。
2.突拍子もない夢も、足元のことから一意専心に着実に進んでいけば、気づけば目の前までたどり着いているものだ。
3.お客様のご意見・ご要望に一意専心・ひたむきに努力して、いつもお手頃な価格でお届けします。

夢や理想を大きく掲げることは大切なことです。しかしそれだけで終わらずに、大きな目標に向かうために今できることを見つけて、一意専心にやりつづけることが成功の秘訣

例文1と2は、そうしたことを示しています。しかしずっと遠くばかりを見ていると、現実とのギャップが目につきすぎて嫌になってしまうもの。夢は持ちつつも今できることにのみ集中するという、こころのバランスの取り方を身に付けたいものですね。

「一意専心」の類義語には何がある?

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言葉の意味の精確な把握には、類義語や対義語を知ることも重要です。「一意専心」についても、まず類義語からみていきましょう。

一心不乱:心を乱さずに一つのことに集中する

一度は聞いたことのある言葉ではないでしょうか。『一心不乱に○○する』のように使いますね。

猪突猛進:目標に向かってがむしゃらに進む

わきめもふらずに進む様を、イノシシがまっすぐ突進する姿に例えた言い方です。周囲を顧みない姿勢に、呆れて発せられることもしばしばですね。

無我夢中:心を奪われて我を忘れる

こちらも耳になじみのある表現ではないでしょうか。「無我」とは仏教用語で、すべてのものはなにかとのつながりで形作られており、独立して不変な『我は無い』ということ。そこから、自分を忘れて夢中になることを「無我夢中」と言います。

「一意専心」の対義語3選!

類義語の次は、対義語をみてみましょう。

\次のページで「右顧左眄(うこさべん):周囲を気にしてなかなか決断しない」を解説!/

右顧左眄(うこさべん):周囲を気にしてなかなか決断しない

「顧」は「過去を振り返る・気にかける」、「眄」は「ちらっと見る」という意味。右と左を入れ替えて、「左顧右眄」とも言います。右と左のどちらが先か、という問題は、世界的には右優位が多数派。しかし戦国時代以降の中国では、一時的に左優位の思想に傾いたそうで、「左顧右眄」はその名残であるというのが有力な説です。

狐疑逡巡(こぎしゅんじゅん):決心がつかずにぐずぐずする

狐が懐疑的である様子からできた言葉です。「しりごみする」という意味の「逡巡」は、ビジネスシーンにおいてしばしば見かける言葉ですので、覚えておくと役立ちますよ。

優柔不断:あれこれ悩んで決断が遅い

今回挙げた対義語の中では、もっともよく聞く言葉ではないでしょうか。「優柔」は考えがはっきりしていないことを表しています。

「一意専心」の英語訳は?

「一意専心」の類義語と対義語をご紹介してきました。これら以外にも、英語訳を知ることで言葉の意味がより深く理解できることがあります。「一意専心」の英語訳には、どのようなものがあるのでしょうか。

single-mindedly:ただ一つのことに熱心である

「ただ一つ」を意味する「single」と、「○○に熱心な」という副詞「mindedly」の組み合わせ。「ただ一つのことに熱心である」という意味になり、「一意専心」の英語訳として適しています。

wholeheartedly:心から

分解して考えると、「whole-heartedly(すべての-こころを持って)」となり、「心から」と和訳されます。「心の全部を一つのことに注ぎ込む」というニュアンスは、「一意専心」の英語訳にふさわしいでしょう。

\次のページで「「一意専心」のメリット・デメリット」を解説!/

「一意専心」のメリット・デメリット

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一点集中してものごとに取り組むことや、一つのことを長く根気よく続けることは、多くの方がいいことだと感じるのではないでしょうか。日本人はそうした傾向が強いようですが、たいていのものにはいい面と悪い面があるものです。「一意専心」についてはどうでしょうか?

「一意専心」をよしとするのは杓子定規?

「一意専心」している状態というのは、それ以外の選択肢を捨て続けている状態です。経済学には「機会費用」という概念がありますが、自分の行動の選択肢について、それぞれが自分にもたらす影響は一考しておくべきでしょう。

特に若いうちは自分の特性や、なにが自分にいい影響をもたらすかなどの判断がつきにくいもの。その状態で『自分にはこれしかない』と決めて「一意専心」することは、ほかの可能性が埋もれてしまう、危険なことでもあるのです。

「一意専心」と「臨機応変」

日本では終身雇用が一般的であったことや伝統・先例による判断を行うこと、画一的な学校教育や同調圧力の強さなど、みなで一つの方向にむかう文化があります。そのような姿勢は、共同体としての「一意専心」と言えそうですね。

この体制は型にはまれば非常に強力なのですが、リーダーシップが生まれにくくフットワークが重いというデメリットもあります。このことは昨今の変化が目まぐるしい社会において、日本が諸外国に取り残されている要因の一つと言えるでしょう。

一方で中国などでは、自律して自らの力を発揮することが共通の価値観としてあるそうです。その価値観のもとでは変化への対応が早く、個人個人のレベルが高まりやすく、終身雇用が一般的ではない臨機応変な文化が築かれます。

大事なのはバランス

近年の日本国内では、先例に倣う慣習や終身雇用などを見直す動きも出てきているように感じられます。人材の流動化はそれぞれの組織に新しい風を吹き込み、異なる知識や経験を触媒とした新しい考え方や価値観が生まれるでしょう

一方であまりに臨機応変に偏ってしまうと人も技術も定着せず、組織としての成長が停滞することも考えられます。組織が成長しなくなれば、その構成員である個人の成長が頭打ちになる可能性も。つまるところ、「一意専心」か「臨機応変」かという問題は、ほかの多くのことと同様にバランスが大切なのでしょう。

なにに「一意専心」するのか見極めが大事

この記事では「一意専心」について、包括的に意味を解説しました。また「一意専心」することの意義について、考察しています。

なにかに打ち込んでその道を極めることは、美徳であると語られることが多いでしょう。しかしそれは、本当に自分自身の意志と資質が噛み合ってこそ、幸せになれる道ではないでしょうか。なにごとも「一意専心」しなければ本質は見えませんが、『自分は何者か』がうっすらと見えるまでは、いろいろなことに手を出してみるのも大切なこと。

この記事が「一意専心」の意味を捉え、自分探しのサポートになりましたら幸いです。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
" /> 座右の銘にご用達!四字熟語「一意専心」の意味・使い方・類語・英語をwebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

座右の銘にご用達!四字熟語「一意専心」の意味・使い方・類語・英語をwebライターがわかりやすく解説!

この記事では、「一意専心」について解説する。
「一意専心」ってあんまり使う機会のない表現ですね。漢字からは感覚的に、何かに気持ちを集中している様子を想像しますが、実際のところはどうなんでしょうか。
今回はコンビニで弁当を買うだけなのに、いちいち悩んで決められないライター、ぷーやんを呼んです。盲目的に「一意専心」することは危険だ、なんて言い訳がましくうそぶいていたぜ。いったいどういうことなのか、言葉の意味や使われ方から順に説明してもらおうか。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。雑音や雑念に気を取られて、思考が散らかることがしばしばある。

「一意専心」の意味から押さえよう!

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それではさっそく「一意専心」の意味を、辞書と例文でご紹介します。

「一意専心」を辞書でみてみよう!

辞書で言葉を調べるためには、読み方を間違えないことが必須条件。「一意専心」は「いちいせんしん」と読みます。それでは、辞書で「一意専心」の意味をみていきましょう。

(副詞的に用いて)わき目もふらず心を一つのことだけに注ぐこと。「一意専心環境問題に取り組む」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「一意専心」

意識を統一してがんばっている、ということですね。「一意専心」の由来で有力な説は、古代中国の政治論書『管子』にある、『意を一にし心を摶らにし』です。この書の中では「一意専心」に集中すれば、遠くのものが近くに感じられるほど感覚が研ぎ澄まされると書かれています。

「一意専心」の使い方を例文でみてみよう

言葉の意味を辞書で押さえたら、次は例文で使い方をチェックしましょう。

1.一意専心に勉強に励んできた結果、共通試験でいい結果を得られ、大学の選択肢がひろがった。
2.突拍子もない夢も、足元のことから一意専心に着実に進んでいけば、気づけば目の前までたどり着いているものだ。
3.お客様のご意見・ご要望に一意専心・ひたむきに努力して、いつもお手頃な価格でお届けします。

夢や理想を大きく掲げることは大切なことです。しかしそれだけで終わらずに、大きな目標に向かうために今できることを見つけて、一意専心にやりつづけることが成功の秘訣

例文1と2は、そうしたことを示しています。しかしずっと遠くばかりを見ていると、現実とのギャップが目につきすぎて嫌になってしまうもの。夢は持ちつつも今できることにのみ集中するという、こころのバランスの取り方を身に付けたいものですね。

「一意専心」の類義語には何がある?

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言葉の意味の精確な把握には、類義語や対義語を知ることも重要です。「一意専心」についても、まず類義語からみていきましょう。

一心不乱:心を乱さずに一つのことに集中する

一度は聞いたことのある言葉ではないでしょうか。『一心不乱に○○する』のように使いますね。

猪突猛進:目標に向かってがむしゃらに進む

わきめもふらずに進む様を、イノシシがまっすぐ突進する姿に例えた言い方です。周囲を顧みない姿勢に、呆れて発せられることもしばしばですね。

無我夢中:心を奪われて我を忘れる

こちらも耳になじみのある表現ではないでしょうか。「無我」とは仏教用語で、すべてのものはなにかとのつながりで形作られており、独立して不変な『我は無い』ということ。そこから、自分を忘れて夢中になることを「無我夢中」と言います。

「一意専心」の対義語3選!

類義語の次は、対義語をみてみましょう。

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