この記事では「白河夜船」について解説する。

端的に言えば白河夜船の意味は「熟睡すること、知ったかぶり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

活字好き家系出身の森野みどりを呼んです。一緒に「白河夜船」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/森野みどり

編集者の叔母、子ども文庫を主宰する母を持ち、本に囲まれて育ったwebライター。英語圏在住9年目。

白河夜船の意味と語源、例文

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それでは早速「白河夜船」(しらかわよふね)の意味を、辞書で確かめてみましょう。

「白河夜船」の意味

1. 熟睡していて何も知らないこと。何も気がつかないほどよく寝入っているさま。

2. 知ったかぶり。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「白河夜船」

「白河夜船」の字面から、「熟睡すること」、「知ったかぶり」という意味は予想できないですね。まずは「白河」と「夜船」に分けて意味を確認してみましょう。

白河」とは京都市左京区を流れる川のことで、白河流域の地名にもなっています。

夜船」は夜間、航行する船のこと。江戸時代、伏見京橋と大阪八軒屋館を夜に運行した船との説もあるようです。

これでもまだ、「白河夜船」がなぜこのような意味になったのか、想像もつきません。それでは次に、語源を見てみましょう。

「白河夜船」の語源

諺(ことわざ)。知ったかぶりをすること、または、ぐっすり眠り込んで、何が起こったか知らないことのたとえ。京都の白河(一説に、船の通れない谷川の名ともいう)のことを聞かれた人が、地名とは知らずに川の名と勘違いして、夜船で通ったから知らないと答えたため、京都見物に出かけたという嘘(うそ)がばれてしまった、という話に基づく。

出典:日本大百科全書(ニッポニカ)(小学館)「白河夜船」

これでやっと「白河夜船」の意味の説明がつきましたね。白河と聞けば確かに、川のことかと勘違いしてしまってもおかしくありません。ちょっと知ったかぶりをしてしまったせいで、四字熟語にまでされてしまったご本人はお気の毒な気もしますが、ユーモラスな由来を持つ言葉ではありますね。

「白河夜船」の例文

次に、「白河夜船」を含む例文で、使い方を確認してみましょう。

・昨日は疲れのあまり、目覚ましにも電話の音にも気がつかず、白河夜船の高いびきだった。

・寝ている間に地震が起きようが、近所に消防車が何台来ようが、いつも白河夜船で全く気がつかない。

・海千山千の自慢話が多いが、実のところは白河夜船、気づいてないのは本人ばかりだ。

・白河夜船を指摘されるほど、きまりの悪いことはない。

・「知ってるフリ」ではなく、「白河夜船」と言ってくれた彼女には心から感謝している。

大項目「白河夜船」の類語

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「白河夜船」の「熟睡する」の意味の類語には、「ぐっすり眠る」、「快眠」、「泥のように眠る」などが挙げられます。

知ったかぶり」の意味の類語は、「認識不足」、「見栄」、「知識がない」などです。それぞれの例文を確認しましょう。

「熟睡する」の意味の類語例文

・夜はぐっすり眠り、昼間は適度に身体を動かす、それが健康の基本である。

快眠するために、寝具はもちろん寝室の照明や香り、温度管理に気を配っている。

・猛暑の中、連日の肉体労働から解放された彼は今、泥のように眠っている。

「知ったかぶり」の意味の類語例文

\次のページで「大項目「白河夜船」の対義語」を解説!/

・最初に認識不足を認めてさえいれば、ここまで苦しい立場に立たされずに済んだものを。

・そうは言っても、誰にでも時々は見栄をはりたい場面があるものなんだよ。

・むしろその分野に関しては知識がないと言った方が、信頼を得ることが出来るのだ。

大項目「白河夜船」の対義語

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次に、「白河夜船」の対義語にはどのようなものがあるか、見てみましょう。

熟睡する」の意味の対義語には、「不眠不休(ふみんふきゅう)」や「夜(よ)を徹して」の他、あまり目にしたことがないかも知れませんが、「輾転反側(てんてんはんそく)」(意味は悩みや心配のために眠れず、何度も寝返りを打つこと)などがあります。

知ったかぶり」の意味の対義語は、「造詣(ぞうけい)が深い」や「博識である」、「思慮深い」などです。

順に例文を確かめてみましょう。

「熟睡する」の意味の対義語例文

・インスピレーションを得た彼は、不眠不休で作品の完成を目指した。

夜を徹しての捜索のかいあって、彼の息子は無事に救出された。

・その日の出来事を振り返っては輾転反側して眠りにつけず、気がついたら夜が白み始めていた。

「知ったかぶり」の意味の対義語例文

・彼は美術に造詣が深く、特に現代アートに精通している。

・彼女は幅広い世代に人気があり、おまけに博識であることでも知られている。

・あの子はいつも思慮深く、全体を俯瞰する視点を持っていた。

\次のページで「「白河夜船」の英語表現」を解説!/

「白河夜船」の英語表現

最後に「白河夜船」の英語表現を確認しましょう。

「熟睡する」を英語で言うと、

sleep tight

sound asleep

deep sleep

などになります。

また、「知ったかぶり」はそのものずばりの表現があり、

know it all 

です。

「熟睡する」の意味の英語表現

・Good night, sleep tight.…お休みなさい、よく寝てね。

・Don’t wake her up she is sound asleep.…あの子はよく寝てるんだから起こさないで。

・I fell into a deep sleep as soon as I get in bed.…ベッドに潜り込むが早いか、深い眠りに落ちていた。

「知ったかぶり」の意味の英語表現

・Mike always acts like he knows it all.…マイクはいつも何もかもを知っているかのように振る舞う。

・There is nothing more irritating than talking with a know-it-all who tries to outdo everyone else all the time.…自分はなんでも知ってるんだという態度でいつも人を出し抜こうとする奴と話をすることほど、いらいらさせられることはない。

・Archie is such a know-it-all!…アーチーったら知ったかぶりなんだから!

「白河夜船」を使いこなそう

「白河夜船」の意味や由来、類語と対義語、英語表現をご紹介してきました。構成する四つの漢字からは思いもよらない意味の由来を楽しんでいただけたでしょうか。筆者は吉本ばななさんの作品でこの言葉を知ったのですが、正直なところこの記事を書くまで意味を知らずに来ました。当時、ちょっと辞書を引くのを怠らずにいれば、もっと味わい深かったのにと後悔しつつ、この機会に改めて読み返してみようと思わずにいられませんでした。睡眠がテーマと言える原作の不思議な味わいをそのまま生かしたような映画も気になります。読者の皆さまもよろしければ、ぜひどうぞ。

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国語言葉の意味

「白河夜船」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「白河夜船」について解説する。

端的に言えば白河夜船の意味は「熟睡すること、知ったかぶり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

活字好き家系出身の森野みどりを呼んです。一緒に「白河夜船」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/森野みどり

編集者の叔母、子ども文庫を主宰する母を持ち、本に囲まれて育ったwebライター。英語圏在住9年目。

白河夜船の意味と語源、例文

image by iStockphoto

それでは早速「白河夜船」(しらかわよふね)の意味を、辞書で確かめてみましょう。

1. 熟睡していて何も知らないこと。何も気がつかないほどよく寝入っているさま。

2. 知ったかぶり。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「白河夜船」

「白河夜船」の字面から、「熟睡すること」、「知ったかぶり」という意味は予想できないですね。まずは「白河」と「夜船」に分けて意味を確認してみましょう。

白河」とは京都市左京区を流れる川のことで、白河流域の地名にもなっています。

夜船」は夜間、航行する船のこと。江戸時代、伏見京橋と大阪八軒屋館を夜に運行した船との説もあるようです。

これでもまだ、「白河夜船」がなぜこのような意味になったのか、想像もつきません。それでは次に、語源を見てみましょう。

諺(ことわざ)。知ったかぶりをすること、または、ぐっすり眠り込んで、何が起こったか知らないことのたとえ。京都の白河(一説に、船の通れない谷川の名ともいう)のことを聞かれた人が、地名とは知らずに川の名と勘違いして、夜船で通ったから知らないと答えたため、京都見物に出かけたという嘘(うそ)がばれてしまった、という話に基づく。

出典:日本大百科全書(ニッポニカ)(小学館)「白河夜船」

これでやっと「白河夜船」の意味の説明がつきましたね。白河と聞けば確かに、川のことかと勘違いしてしまってもおかしくありません。ちょっと知ったかぶりをしてしまったせいで、四字熟語にまでされてしまったご本人はお気の毒な気もしますが、ユーモラスな由来を持つ言葉ではありますね。

「白河夜船」の例文

次に、「白河夜船」を含む例文で、使い方を確認してみましょう。

・昨日は疲れのあまり、目覚ましにも電話の音にも気がつかず、白河夜船の高いびきだった。

・寝ている間に地震が起きようが、近所に消防車が何台来ようが、いつも白河夜船で全く気がつかない。

・海千山千の自慢話が多いが、実のところは白河夜船、気づいてないのは本人ばかりだ。

・白河夜船を指摘されるほど、きまりの悪いことはない。

・「知ってるフリ」ではなく、「白河夜船」と言ってくれた彼女には心から感謝している。

大項目「白河夜船」の類語

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「白河夜船」の「熟睡する」の意味の類語には、「ぐっすり眠る」、「快眠」、「泥のように眠る」などが挙げられます。

知ったかぶり」の意味の類語は、「認識不足」、「見栄」、「知識がない」などです。それぞれの例文を確認しましょう。

・夜はぐっすり眠り、昼間は適度に身体を動かす、それが健康の基本である。

快眠するために、寝具はもちろん寝室の照明や香り、温度管理に気を配っている。

・猛暑の中、連日の肉体労働から解放された彼は今、泥のように眠っている。

\次のページで「大項目「白河夜船」の対義語」を解説!/

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