

『維摩経』で、「悟りの境地に達するにはどうすればよいか」と問われた文殊菩薩は「高原には蓮華は育たず、泥だらけの低湿地の中にこそ花は咲く」と答える。つまり「煩悩(ぼんのう)にまみれて苦しんだ人のほうが、悟りへの道は近い」ということだぞ。
「朱に交われば赤くなる」の英訳
次は英語で「朱に交われば赤くなる」をどのように表現するか見ていきましょう。
「He that touches pitch shall be defiled.」
英語にも「朱に交われば赤くなる」と同じ意味のことわざがあります。
「touch」は「触れる」「さわる」という意味。「タッチ」で日本語にも溶け込んでいますね。「pitch」は「野球の投球」や「音の高低」という意味がありますが、同じつづりで「タールを蒸留した後に残る黒色のかす」を意味する言葉でもあります。「defile」は「汚す」「汚染する」という意味です。
「He that touches pitch shall be defiled.」は、「タールに触れるものは必ず汚れてしまう」、つまり「朱に交われば赤くなる」という意味ですよ。

朱色は、英語では「vermilion(バーミリオン)」という。「vermilion」は朱色の顔料の原料となる「辰砂」「硫化水銀」という意味もある。形容詞としては「朱の」「朱色の」、他動詞としては「朱に染める」という意味だ。「vermilion ink-pad」は「朱肉」だぞ。
「朱に交われば赤くなる」を使いこなそう!
この記事では、「朱に交われば赤くなる」の意味や語源を調べ、例文や類義語などを解説しました。
朱とは赤い顔料のこと。朱が付着するとたちまち赤い色に染まることから、「朱に交われば赤くなる」は「人は周囲の影響を受けやすく、交際する友人によって、善悪どちらにも感化される」ことを表現します。どうせ影響を受けるなら、良い影響を与えてくれる人とお付き合いしたいものですね。