国語言葉の意味

語源は教育係心得?「朱に交われば赤くなる」の意味・使い方・類義語などを日本放送作家協会会員がわかりやすく解説

「朱に交われば赤くなる」の類義語

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「朱に交われば赤くなる」と同じような意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「麻(あさ)の中の蓬(よもぎ)」:善人とつきあえば善人になる

「麻の中の蓬」は、蓬のように曲がりやすい草でも、まっすぐに育つ麻の中で育てば曲がらずに成長する、つまり「善人と交われば自然に感化されて、だれでも善人になる」という意味です。「麻に連(つ)るる蓬」ともいいます。荀子の『勧学』に載っている「蓬(よもぎ)麻中(まちゅう)に生(しょう)ずれば扶(たす)けずして直し」が語源です。

「水は方円(ほうえん)の器に随う」:善にも悪にも感化される

「方円」とは四角と円のこと。水は、容器が四角い形なら四角になり、円形なら円形になります。入れる器によってまったく別の形になりますね。「水は方円(ほうえん)の器(うつわ)に随(したが)う」は、「人間は、交友関係や環境しだいで、善にも悪にも感化される」という意味です。

語源は中国の詩人白居易(はくきょい)の「情(じょう)無き水は方円の器に任せ、繫(つな)がれざる舟は去住(きょじゅう)の風に随(したが)う」という一節ですよ。

「善悪は友による」:友だちしだいで善人にも悪人にもなる

「善悪は友による」「人はつきあう友だちしだいで、善人にも悪人にもなる」という意味です。「人は善悪の友による」ともいいますよ。良くも悪くも、いつも一緒に行動する友だちの影響は大きいようですね。

「朱に交われば赤くなる」の反対語

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「朱に交われば赤くなる」と反対の意味あいの言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

「泥中(でいちゅう)の蓮(はす)」:俗世に染まらず清らか

「泥中」は文字通り「泥の中」のこと。「蓮」はスイレン科の水生植物で、池や沼などで栽培され、泥の中で薄紅や白色の清らかな花を咲かせます。「泥中の蓮」「俗世にあっても清廉な人」や「汚れた環境でも、染まらず清らかで美しい」ことのたとえです。語源は『維摩経(ゆいまぎょう)』という大乗仏教の経典ですよ。

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