この記事では「我田引水」について解説する。

端的に言えば我田引水の意味は「他人のことは考えず、自分の利益のために行動・発言すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「我田引水」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして5年間勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「我田引水」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「我田引水(がでんいんすい)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「我田引水」の意味は?

「我田引水」には、次のような意味があります。

他人のことを考えず、自分に都合がいいように言ったり行動したりすること。
自分に好都合なように取りはからうこと。自分の田んぼにだけ水を引き入れる意から。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「我田引水」

非常にシンプルな意味合いを持つことが分かりますね。我田(自分の田んぼ)引水(水を引く、導く)という漢字の通り、自分の田んぼに優先して水を通し、利益を得ようとしている様子を指しているのです。また、自分を第一に考える姿勢から、他人のことを考慮しないというニュアンスも含まれます。つまり、自分勝手な行動や発言に対して用いられる四字熟語なのです。

ちなみに「我田引水(がでんいんすい)」は全て音読みなので、読み方に注意しましょう。

「我田引水」の語源は?

次に「我田引水」の語源を確認しておきましょう。

みなさんは田んぼ道を通ったことはありますか?細長いあぜ道が続き、近くからは水の音が聞こえてくる、そんなのどかな景色を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

日本では弥生時代、もしくはそれ以前から米作りが行われていた歴史があります。農家たちは各々の田を所有していましたが、水を供給する水路は共用でした。そのため代表者が管理を行っていたのですが、あるとき目先の利益に目がくらみ、自分の田に真っ先に水が行き渡るように操作してしまいます。

「我田引水」は、このように他の人々が困るにも関わらず、貴重な水を独占するような行動をとったことから生まれた四字熟語だったのです。周囲を困らせてでも利益を優先するとは...何とも自分勝手な行いとしか言いようがありませんね。

\次のページで「「我田引水」の使い方・例文」を解説!/

「我田引水」の使い方・例文

「我田引水」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

1.「我田引水」な振る舞いを続ければ、彼女は周囲の信頼を失ってしまうだろう。
2.順番を抜かしたり、ルールを自分に都合の良いように変えることは「我田引水」である。
3.みんな疲れているにも関わらず、観たいドラマがあることを理由に彼一人だけが早退してしまった。その分の仕事を放置された同僚たちは「我田引水」な彼の行動にうんざりした。

例文のニュアンスの通り、「我田引水」は悪い意味合いで用いられることがほとんどです。自分勝手な行動や発言に対して「それは我田引水である」「我田引水な〜だ」ということができます。

我田引水な振る舞いに実際に遭遇したくはありませんが、例文や語源からニュアンスをしっかりと掴んでおきましょう。

「我田引水」の類義語は?違いは?

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それでは次に「我田引水」の四字熟語の類義語を確認しましょう。

「手前勝手」「自分勝手」

「手前勝手(てまえがって)」とは自分の都合ばかり優先して考える・行動することを指す四字熟語です。

熟語を分解して簡単に確認しましょう。「手前」とは自分自身、「勝手」とは都合良く振る舞うわがままな様子を表します。たとえば「使い勝手の良い本棚」は、使う上での都合が良いことから「使いやすい」というわけです。

また、「自分勝手(じぶんかって)」も「手前勝手(てまえがって)」と同様の意味をもつ四字熟語として使われています。読み方に注意して、この機会に一緒に覚えておきましょう。

\次のページで「「私利私欲」」を解説!/

「私利私欲」

「私利私欲(しりしよく)」とは自らの利益や欲求を満たすために行動することを表す際に用いられる四字熟語です。

「私」が二回使われていますが、こちらは「私的な、個人的な」という意味合いで使われています。つまり「私利私欲」は個人の利益や欲望のかたまりともいえるでしょう。一般的に「私利私欲に目がくらむ」「私利私欲を満たす」のように動詞と一緒に使われます。もちろん、良い意味合いで使われることはほとんどありません。

「我田引水」の対義語は?

それでは次に「我田引水」の対義語を確認しましょう。

「自他共栄」

「自他共栄(じたきょうえい)」とは自分と他者が共に助け合いながら繁栄を目指すという意味をもちます。

自分のため、相手のため、そのどちらか一方のためだけに頑張るのではなく、互いに助け合い切磋琢磨することで、組織や社会全体が発展していくという信念に基づいた言葉です。日本の柔道教育者であった嘉納治五郎が残した言葉として知られています。「自他共栄」精神の人々が集まれば、全体としての満足感や幸福度が底上げされ、皆で喜びを共有できるのかもしれません。

「我田引水」の英訳は?

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最後に「我田引水」の英訳を確認しましょう。

「selfish」

「我田引水」を最もシンプルに英語で表現するのが "selfish" です。

selfishは「わがままな、自己中心的な」という意味合いをもつ形容詞で、「我田引水」と同様に、自分勝手な行動や発言に対して使うことができますよ。ちなみに "self" は「自分自身」や「本性・私欲」を意味し、"ish" には「〜のような、〜な傾向がある」という意味があります。

\次のページで「「我田引水」を使いこなそう」を解説!/

1. selfish behavior
我田引水な振る舞い

2. It may look selfish if you don't share any ideas with your team.
もしあなたがアイデアをチームと共有しなければ、自分勝手に見えるかもしれないね。

「我田引水」を使いこなそう

この記事では「我田引水」の意味・使い方・類語などを説明しました。

以前、筆者は田んぼ道を通って通勤していたことがあるのですが、季節ごとに変化を見せる景色や、水田に光が差して綺麗だったことを覚えています。「我田引水」は田んぼの水問題から生じた四字熟語でしたが、現代で生活する上でも、自分の言動が周囲に迷惑を与えていないか客観視することは大切ですよね。漢字から読み取れるニュアンスや、歴史的背景を知ることで言葉の面白みは倍増します。ぜひ楽しみながら学び続けていきましょう。

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【四字熟語】「我田引水」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「我田引水」について解説する。

端的に言えば我田引水の意味は「他人のことは考えず、自分の利益のために行動・発言すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「我田引水」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして5年間勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「我田引水」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「我田引水(がでんいんすい)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「我田引水」の意味は?

「我田引水」には、次のような意味があります。

他人のことを考えず、自分に都合がいいように言ったり行動したりすること。
自分に好都合なように取りはからうこと。自分の田んぼにだけ水を引き入れる意から。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「我田引水」

非常にシンプルな意味合いを持つことが分かりますね。我田(自分の田んぼ)引水(水を引く、導く)という漢字の通り、自分の田んぼに優先して水を通し、利益を得ようとしている様子を指しているのです。また、自分を第一に考える姿勢から、他人のことを考慮しないというニュアンスも含まれます。つまり、自分勝手な行動や発言に対して用いられる四字熟語なのです。

ちなみに「我田引水(がでんいんすい)」は全て音読みなので、読み方に注意しましょう。

「我田引水」の語源は?

次に「我田引水」の語源を確認しておきましょう。

みなさんは田んぼ道を通ったことはありますか?細長いあぜ道が続き、近くからは水の音が聞こえてくる、そんなのどかな景色を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。

日本では弥生時代、もしくはそれ以前から米作りが行われていた歴史があります。農家たちは各々の田を所有していましたが、水を供給する水路は共用でした。そのため代表者が管理を行っていたのですが、あるとき目先の利益に目がくらみ、自分の田に真っ先に水が行き渡るように操作してしまいます。

「我田引水」は、このように他の人々が困るにも関わらず、貴重な水を独占するような行動をとったことから生まれた四字熟語だったのです。周囲を困らせてでも利益を優先するとは…何とも自分勝手な行いとしか言いようがありませんね。

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