
端的に言えば「機が熟す」の意味は「よい時期になる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「機が熟す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく
現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。
「機が熟す」の意味は?
「機が熟す」には、次のような意味があります。
物事を始めるのにちょうどよい時期になる。
出典:大辞林 第三版(三省堂)「機が熟す」
「機が熟す」の「機」とは、事の起こるきっかけや機会を表す言葉です。また、「熟す」は「熟する」ともいい、 果実や作物が十分に実っていることを意味します。
これが転じて、物事が十分な状態になることを表すようにもなりました。
「機が熟す」の使い方・例文
「機が熟す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
機が熟すのを待っているのだと君は言うけれど、それとて自ずから限界というものがあるだろうに。
その外食チェーンの会長は、十分に機は熟したとして悲願でもあった東京進出にゴーサインを出した。
まだ機が熟したとは言えないのだから、焦らずにそのときが来るのを待っていればいいじゃないか。
果実や作物も、一般的にはその実が十分に熟すのを待ってから収穫を始めますよね。(もちろん、何事にも例外はつきものですが)
それと同様に、何か行動を起こす場合にも「時機」=「タイミング」というものが存在します。それは、事前の計画や根回しもそうですし、スタッフたちが持つ士気の高まりなどもそうです。
そういったものが十分でないのに気ばかり焦って慌てても、あまり良い結果に結びつくことがないのは必然でしょう。
「機」を用いた他の慣用句とは?
ここで少し寄り道をして、「機」を用いた他の慣用句も確認しておきましょう。まずは、次の例文を見てください。
原理原則を守るのはもちろん大切なことだが、機に臨みて変に応ずというのもときには必要だろう。
彼は本当に機を見るに敏というか、本当に商売に関していえば抜け目のない男だと断言できる。
一つ目の例文にある「機に臨みて変に応ず」というのは、時機やその場の変化に応じた適切な処置を施すことを意味する言葉です。四字熟語で「臨機応変」ともいいますね。
もう一方の「機を見るに敏」は、好機を見極めるのが素早い様子を表しています。チャンスをとらえるのが非常に巧みな様子が目に浮かぶ表現です。
いずれにしても、「機」は「時機」という意味でとらえておくのがよいでしょう。
「満を持す」
「満を持(じ)す」は物事が最高潮に達した後、その状態が維持されていることを意味します。最高の状態にあるということは、物事を成すのには絶好の機会だというわけです。
また、この慣用句は「登場」「発売」「発表」のように「世に出る」という意味合いを持った言葉たちとよく使われることを付け加えておきます。
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