この記事では「玉石混淆(ぎょくせきこんこう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「玉石混淆」の意味は「さまざまな価値のものが混在している」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「玉石混淆」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「玉石混淆」の意味や出典・使い方まとめ

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それでは早速「玉石混淆」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「玉石混淆」の意味は?

「玉石混淆」には、次のような意味があります。

すぐれたものと劣ったものとが入りまじっていること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「玉石混淆」

「玉石」の「玉」とは宝玉・宝石のことで、転じて非常に価値の高いものを表しています。一方の「石」は、どこにでもあるようなあまり価値のないものをたとえた言葉です。

「混淆」の「混」「淆」も、入り混じっている様子を表しています。こうして分解してみると、「玉石混淆」価値の高いものとそうでないものとが入り混じっている様子を表すものだと容易に理解できるでしょう。

なお、「淆」の字が常用漢字外であるため、「交」の字で代用して「玉石混交」と表記されることも珍しくありません。「交」にも「まじる」という読み方や意味があるため、置き換えても特に問題は生じません。

ただし、中には「玉石混合」だと思い込んでいる人も少なくないようです。これだと意味はともかくとして、読み方が「こんごう」になってしまいますよね。

「玉石混淆」の出典は?

次に「玉石混淆」の出典を確認しておきましょう。「玉石混淆」は、晋の時代の中国に活躍した葛洪(かつこう)という人が著した「抱朴子(ほうぼくし)」という書物の外篇・尚博という章に現れます。

そこにあるのが「真偽顛倒、玉石混淆」という一節です。これは、「真偽顛倒(てんとう)し、玉石混淆す」と読みます。

これは、真実と虚偽が逆になっていて価値のあるものがそうでないものと入り混じっている様子を表した漢文です。

\次のページで「「玉石混淆」の使い方・例文」を解説!/

「玉石混淆」の使い方・例文

「玉石混淆」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

ネットで拾える情報などというのはまさに玉石混淆であり、けっして何でもかんでも鵜呑みにすればよいというものではない。

山ほどいる玉石混淆の就職希望者の中から、いかにして「宝玉」を発掘するかを考えるのが君たち人事部の仕事でしょうが。

プロ野球チームの入団セレクションに訪れた面々を見るとその顔触れは実にさまざまで、まさに玉石混淆の様相を呈していた。

いずれの例文も、有用なものと不用なもの、能力のある人とそうでない人とが混然としている様子がうかがえるものばかりです。全体の数がどのくらいかにもよりますが、それらの中から「宝玉」を探し当てるのは、骨の折れる作業だといえます。

#2 「玉石混淆」の類義語は?違いは?

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それでは、次に「玉石混淆」の類義語について見ていきましょう。

「魚目混珠」

「魚目混珠」は「ぎょもくこんしゅ」と読み、本物と偽物が入り混じっていて区別がつきにくい様子を表しています。ここでいう「魚目」とは文字通り「魚の目」のことですが、宝石に似て非なるものという意味で用いられているのがポイントです。

「珠」宝珠のことで、宝玉と同じ意味だと考えてよいでしょう。つまり、高価な宝石の中に価値のない魚の目が混じっている様子を、この四字熟語は表しているのです。

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「種々雑多」

「種々雑多(しゅしゅざった)」もまた、「玉石混淆」の類義語だととらえることができます。「種々」「雑多」様々なものがたくさんある様子を表した言葉です。

はっきりと書かれてはありませんが、その中には価値のあるものもあれば無価値なものも混ざっているということでしょう。

#3 「玉石混淆」の対義語は?

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「玉石混淆」は、さまざまなクオリティのものが入り混じっている様子を表した言葉です。そうであるならば、対義語何も混ざっていない様子を表す言葉であるべきでしょう。

「純一無雑」などこれに該当する四字熟語はいくつかありますが、ここではその中から「あるポイント」に注目してピックアップしてみます。「あるポイント」とは、良いもので揃っているか、または、そうでないもので揃っているかです。

「多士済々」

「多士済々(たしせいせい)」は、「玉石混淆」の対義語となりうる存在です。「せいせい」を「さいさい」と読む場合があるようですが、本来の読み方とは異なりますのでご注意を。

この熟語の意味は、優れた能力を持った人材が多数揃っていることです。つまり、そこには「玉石」の「石」は存在しないととらえてもらって構いません。

「烏合之衆」

一方で、「烏合之衆(うごうのしゅう)」は「多士済々」とは異なる意味でとらえる必要があります。というのも、こちらは「烏合」の字が示す通り「からす」が無秩序に集まっている様子を表しているからです。

転じて、取るに足らない者たちがただ集まっているだけという意味にとらえられますので、使用するときはTPOをわきまえた方が無難でしょう。

#4 「玉石混淆」の英訳は?

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最後に、「玉石混淆」を英語で表現するとどうなるのかを確認しておきましょう。

「a mixture of wheat and chaff」

「a mixture of wheat and chaff」は、「玉石混淆」を英訳した表現のひとつです。この表現に出てくる「wheat」は小麦のことを、「chaff」は穀物のもみ殻を意味しています。

つまり、「a mixture of wheat and chaff」は食べられる小麦と食べられないもみ殻とが混ざり合ったものという意味の表現です。東洋では宝石と石ころでたとえていたものが、西洋では小麦ともみ殻になっている点は、なかなか興味深いといえます。

\次のページで「「a mixed bag」」を解説!/

「a mixed bag」

「a mixed bag」もまた、「玉石混淆」に近いニュアンスを表すことが可能です。この英語表現は、「寄せ集め」「ごたまぜ」などと訳されます。

その「寄せ集め」の中には、良いものもあれば悪いものもあるというわけです。

「玉石混淆」を使いこなそう

この記事では「玉石混淆」の意味・使い方・類語などを説明しました。「玉石混淆」は、良いものとそうでないものが入り混じっている様子を表した言葉です。

したがって、この四字熟語を使う際には何が「玉」で何が「石」なのかをきちんと理解しておく必要があります。さもないと、良かれと思って使った言葉が相手を怒らせてしまいかねないからです。

みなさんも、その辺りをよくよく注意した上でこの四字熟語を使いこなしてくださいね

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国語言葉の意味

【四字熟語】「玉石混淆」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「玉石混淆(ぎょくせきこんこう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「玉石混淆」の意味は「さまざまな価値のものが混在している」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「玉石混淆」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「玉石混淆」の意味や出典・使い方まとめ

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それでは早速「玉石混淆」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「玉石混淆」の意味は?

「玉石混淆」には、次のような意味があります。

すぐれたものと劣ったものとが入りまじっていること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「玉石混淆」

「玉石」の「玉」とは宝玉・宝石のことで、転じて非常に価値の高いものを表しています。一方の「石」は、どこにでもあるようなあまり価値のないものをたとえた言葉です。

「混淆」の「混」「淆」も、入り混じっている様子を表しています。こうして分解してみると、「玉石混淆」価値の高いものとそうでないものとが入り混じっている様子を表すものだと容易に理解できるでしょう。

なお、「淆」の字が常用漢字外であるため、「交」の字で代用して「玉石混交」と表記されることも珍しくありません。「交」にも「まじる」という読み方や意味があるため、置き換えても特に問題は生じません。

ただし、中には「玉石混合」だと思い込んでいる人も少なくないようです。これだと意味はともかくとして、読み方が「こんごう」になってしまいますよね。

「玉石混淆」の出典は?

次に「玉石混淆」の出典を確認しておきましょう。「玉石混淆」は、晋の時代の中国に活躍した葛洪(かつこう)という人が著した「抱朴子(ほうぼくし)」という書物の外篇・尚博という章に現れます。

そこにあるのが「真偽顛倒、玉石混淆」という一節です。これは、「真偽顛倒(てんとう)し、玉石混淆す」と読みます。

これは、真実と虚偽が逆になっていて価値のあるものがそうでないものと入り混じっている様子を表した漢文です。

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