今日は生活に欠かせない燃料、「化石燃料(かせきねんりょう)」について説明はしていきます。

化石燃料とは石炭、石油、天然ガスなどのことです。化石燃料といえばその名の通り燃料として使われているな。また石油の一種、ナフサはレジ袋などのプラスチックの原料にもなっているんです。しかし最近は貴重な化石燃料を無駄遣いしないため、レジ袋などの利用を控える風潮になっている。

そこで今日は化石燃料について大学時代にバイオマスを使った再生可能エネルギーの研究をしていたたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

甲種危険物取扱者の資格を取得するのに大変苦労したため、危険物の分類には詳しいリケジョ。高校は化学部、大学は国立大工学部化学系を修了。修論ではこれから発展すると再生可能エネルギーの研究をしていた。

化石燃料の種類

化石燃料の種類

image by Study-Z編集部

石燃料には石炭石油天然ガスメタンハイドレートシェールガスなどが分類されています。化石燃料は何万年、何億年という長い時間をかけて地中に堆積した動植物からできました。産業革命以降、化石燃料が大量に消費されるようになり、人の生活は豊かになったのです。しかし、このまま使い続けるといずれ化石燃料が不足する事態は避けられません。

石炭

image by PIXTA / 45953191

黒いダイヤモンド、とも言われていた石炭。植物が沼や湖の底に溜まり、地中の熱や圧力によって石炭ができあがります。石炭は火力発電で利用され電気を生み出し、また鉄鋼を作る時にも必要です。

日本でも例えば北海道釧路市や夕張市、福岡県筑豊などで採掘されていました。ピークの頃は国内に炭鉱が1000か所以上ありましたがやがて次々と閉山してしまい、2020年現在で営業採炭しているのは釧路のみとなっています。そのため、近年石炭は輸入に頼っている状況です。海外では中国米国オーストラリアなどで産出量が多くなっています。

石油

image by PIXTA / 23577072

自動車の燃料であるガソリン、灯油、軽油、重油などは油田から採掘した原油を精製することで得られます。日本で使われる石油はほとんど輸入であり、85%以上が中東地域で作られたものです。しかし新潟、秋田、北海道でわずかながら採ることができます。日本で採れるとはちょっと意外ですね。

石油は自動車・船・航空機の燃料、暖房機器や火力発電の燃料の他、ペットボトルやレジ袋のようなプラスチック製品の原料として使われています。

天然ガス

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天然ガスとしてメタンやエタンなどの炭素化合物が産出されています。都市ガスとして利用されているガスの原材料がこの天然ガスです。石炭や石油に比べると窒素酸化物や硫黄酸化物が少なく酸性雨や大気汚染への影響が少ないことが特徴。

日本で使われている天然ガスのほとんどが輸入されたものです。天然ガスは液体の状態(液化天然ガスLNG)にして不純物を除去し、さらに気体から液体にすることで体積を小さくしてコンパクトに運ばれてきます。

メタンハイドレート

燃える氷と呼ばれるメタンハイドレート。海底に埋蔵されたメタンハイドレートは低温高圧の状態で作られ、メタンガスが水分子に囲まれ結晶となったものです。メタンハイドレートのように分子がカゴ構造を作り、その中に他の分子が取り込まれた状態を包接化合(クラスレート)と言います。

メタンハイドレートは燃やすと水が残り、他の化石燃料に比べて二酸化炭素の外出量が少ないのが特徴です。そのため、近年注目されています。

\次のページで「シェールガス」を解説!/

シェールガス

頁岩(けつがん)層から採掘される天然ガスです。2000年代後半から安価で採掘できるようになりました。埋蔵量は中国が最も多いものの、生産量のほとんどはアメリカとカナダであり、日本ではなじみが薄いエネルギーです。

化石燃料の課題は?

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生活に欠かせない化石燃料。しかし、使い続けるには大きなリスクもあります。

できるまでに時間がかかる

化石燃料は気の遠くなるような膨大な時間をかけて自然の力で作られます。しかしその消費スピードは早く、埋蔵量は減るばかりです。

そのため、化石燃料の節約人間が生産できるエネルギーの開発が必要となっています。

温室効果ガスの排出

温室効果ガスの排出

image by Study-Z編集部

地球温暖化は環境問題として重要な課題のひとつ。地球温暖化とは温室効果ガスが地球をビニールハウスのように包み込み、熱が逃げないようにすることです。そのため、地球の温度が上がってしまいます。

例えば温室効果ガスとして耳にする機会の多い物質といえば二酸化炭素です。二酸化炭素は炭素を含む物質を燃焼すると発生します。温室効果ガスにはいくつか種類があるので、確認してください。

・二酸化炭素

・メタン

・フロン

・一酸化二窒素

・水蒸気

もっとも見身近な物質、水が温室効果ガスとは意外ですね。

地球温暖化についてはこちらの記事をどうぞ。

\次のページで「化石燃料にかわる、新たなエネルギー」を解説!/

化石燃料にかわる、新たなエネルギー

いずれ枯渇し、温室効果ガスを排出する化石燃料。化石燃料に代わる新たなエネルギーの開発が必要となっています。

代替エネルギーに必要な条件として

・短いスパンで生産可能

・温室効果ガスを排出しない

があります。

バイオマスと新エネルギー

新たなエネルギーとして注目されているバイオマスとは「生物が由来の生産できる資源」のことです。バイオマスには稲わらや木材などの植物資源、そして家畜の糞尿のような酪農の排出物があります。バイオマスは人間の手で比較的短い時間で用意することができ、さらに酪農業の廃棄物を使えばごみも減らせるという環境にやさしい資源です。

そんなバイオマスを原料とした燃料の特徴は

・生産可能

・カーボンニュートラルで二酸化炭素を増やさない

ということです。生産可能、という事については先ほど説明しましたね。そしてカーボンニュートラルとは簡単に言うと炭素の循環のことです。地下から採掘した化石燃料を使うと二酸化炭素が排出され続ける一方になります。そこで光合成によって二酸化炭素を酸素にすることのできる植物由来のバイオマスを使うと、炭素を循環させることができ二酸化炭素を一方的に増やすことはありません。

バイオマス燃料といえばバイオエタノールバイオディーゼルバイオガスなどが知られています。

バイオマスやバイオ燃料について知りたい人はこちらの記事も読んでみてくださいね。

化石燃料の課題とこれから

化石燃料は自動車や暖房機気の燃料、プラスチック製品や鋼鉄の材料として人間の生活に欠かせません。しかし、莫大な時間をかけて作られた化石燃料は今のペースで使い続ければ枯渇することはまぬがれません。また化石燃料の利用は地球温暖化と深く関係しています。

生産可能なエネルギーを開発し、効率的な合成方法を見つけることはこれからの社会に必要なことです。環境問題に興味がある人や工学部進学を考えている人におすすめの研究テーマですね。

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理科生態系生物

3分で簡単!「化石燃料」を元家庭教師がわかりやすく解説

今日は生活に欠かせない燃料、「化石燃料(かせきねんりょう)」について説明はしていきます。

化石燃料とは石炭、石油、天然ガスなどのことです。化石燃料といえばその名の通り燃料として使われているな。また石油の一種、ナフサはレジ袋などのプラスチックの原料にもなっているんです。しかし最近は貴重な化石燃料を無駄遣いしないため、レジ袋などの利用を控える風潮になっている。

そこで今日は化石燃料について大学時代にバイオマスを使った再生可能エネルギーの研究をしていたたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

甲種危険物取扱者の資格を取得するのに大変苦労したため、危険物の分類には詳しいリケジョ。高校は化学部、大学は国立大工学部化学系を修了。修論ではこれから発展すると再生可能エネルギーの研究をしていた。

化石燃料の種類

化石燃料の種類

image by Study-Z編集部

石燃料には石炭石油天然ガスメタンハイドレートシェールガスなどが分類されています。化石燃料は何万年、何億年という長い時間をかけて地中に堆積した動植物からできました。産業革命以降、化石燃料が大量に消費されるようになり、人の生活は豊かになったのです。しかし、このまま使い続けるといずれ化石燃料が不足する事態は避けられません。

石炭

image by PIXTA / 45953191

黒いダイヤモンド、とも言われていた石炭。植物が沼や湖の底に溜まり、地中の熱や圧力によって石炭ができあがります。石炭は火力発電で利用され電気を生み出し、また鉄鋼を作る時にも必要です。

日本でも例えば北海道釧路市や夕張市、福岡県筑豊などで採掘されていました。ピークの頃は国内に炭鉱が1000か所以上ありましたがやがて次々と閉山してしまい、2020年現在で営業採炭しているのは釧路のみとなっています。そのため、近年石炭は輸入に頼っている状況です。海外では中国米国オーストラリアなどで産出量が多くなっています。

石油

image by PIXTA / 23577072

自動車の燃料であるガソリン、灯油、軽油、重油などは油田から採掘した原油を精製することで得られます。日本で使われる石油はほとんど輸入であり、85%以上が中東地域で作られたものです。しかし新潟、秋田、北海道でわずかながら採ることができます。日本で採れるとはちょっと意外ですね。

石油は自動車・船・航空機の燃料、暖房機器や火力発電の燃料の他、ペットボトルやレジ袋のようなプラスチック製品の原料として使われています。

天然ガス

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天然ガスとしてメタンやエタンなどの炭素化合物が産出されています。都市ガスとして利用されているガスの原材料がこの天然ガスです。石炭や石油に比べると窒素酸化物や硫黄酸化物が少なく酸性雨や大気汚染への影響が少ないことが特徴。

日本で使われている天然ガスのほとんどが輸入されたものです。天然ガスは液体の状態(液化天然ガスLNG)にして不純物を除去し、さらに気体から液体にすることで体積を小さくしてコンパクトに運ばれてきます。

メタンハイドレート

燃える氷と呼ばれるメタンハイドレート。海底に埋蔵されたメタンハイドレートは低温高圧の状態で作られ、メタンガスが水分子に囲まれ結晶となったものです。メタンハイドレートのように分子がカゴ構造を作り、その中に他の分子が取り込まれた状態を包接化合(クラスレート)と言います。

メタンハイドレートは燃やすと水が残り、他の化石燃料に比べて二酸化炭素の外出量が少ないのが特徴です。そのため、近年注目されています。

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