「月下美人」にまつわる文化
夜、それも一晩しか咲かないという変わった習性から、月下美人は昔から特別な花として扱われてきました。その花言葉も「儚い美」「儚い恋」「あでやかな美人」などで、月下美人の特徴をよく表しています。
言葉の響きや美しさから、いろいろな小説や楽曲などのタイトルに使われることも多く、吉村昭氏の小説「月下美人」はその代表格ともいえるでしょう。
一方、一晩しか咲かない珍しい花であるにも関わらず、その花は食用にされます。一輪が約30センチと大きいことと、開花したあとのしぼんだ花でも食べられることが、食用にされた理由でしょう。私も月下美人のピクルスを食べたことがありますが、歯ごたえが良くなかなか美味しいと思いました。
さらに、実を食用にする「食用月下美人」と言う品種も存在し、栽培されています。流通量は少ないものの、果実はドラゴンフルーツのようで甘いそうです。こちらは残念ながら食べたことがないのですが、機会があれば食べてみたいものですね。
「月下美人」の類義語は?
月下美人はあくまで植物の種名なので類義語はありませんが、月下美人に由来する言葉があります。それが、「美人薄命」です。
「美人薄命」は「佳人薄命」と同じ意味の言葉で、どちらも次のような意味となります。
美人には生まれつき病弱であったり、数奇な運命にもてあそばれたりして、不幸な者や命短い者が多いということ。美人薄命。
出典:大辞林 第三版(三省堂)「佳人薄命」
美しい花でありながら一晩で散ってしまう月下美人と、どこか重なる言葉ですね。美人薄命はれっきとした四字熟語なので、意味や使い方をおさらいしておくといいでしょう。美人薄命は次のように使われます。
あのきれいな女優さんが亡くなるなんて、美人薄命とはこのことだ。
美人を自称する母は、美人薄命とは縁のない老後を謳歌している。
月下美人とセットで覚えておけば、使える幅も広がるはずです。
また、月下美人はメキシコ原産の花ですが、日本にも「烏瓜(カラスウリ)」という、同じような花があります。
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