「ごめんなさい」と言いたくなくて…
先に書いたように、自分や身内の不祥事について述べるときの「遺憾の意」には、「謝罪」の意味は含まれていません。「謝罪します」「申し訳ございませんでした」などと言い添えない限り、「謝罪した」ことにはなりません。
いかにも反省しているように見えるので、「遺憾なことです」と言うだけで済ませてしまうのは、明確に「謝罪した」という受け止め方をされたくない、「ごめんなさい」と言いたくない気持ちが背景にあるのです。
「責任をうやむやにする」という指摘も
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先に挙げた国会でも、何らかの不祥事で「遺憾の意」を表した大臣に対し、野党議員が「遺憾という人ごと感のある御発言」ではすまない、とかみついた例があります。
「遺憾の意」を表すだけで終わっては、人ごとのように聞こえてしまい、「責任の所在をうやむやにしているのはないか」と受け止められかねません。
曖昧さはいい勝負?「遺憾」と「不快感」
「遺憾の意」と同じように、遠回しな表現で相手の非をとがめる言い方に「不快感」があります。
「不快感」は「不愉快に思う気持ち。病気などで、快適でない感じ。」(デジタル大辞泉「不快感」)にすぎませんから、やはり責任を追及するというより「ひと言申し上げておきます」程度の強さと言えるでしょう。
「遺憾砲」って何?
こうした曖昧な「遺憾の意」を連発する政府や、政治家の言動に対し、「遺憾砲」という言葉が主にネットで使われるようになりました。
もちろん、スクープを連発する週刊誌のタイトルを取った「○○砲」をもじったものですね。
「遺憾砲」の場合は、威力がある爆弾というよりは、あまり効き目のない発言を連発することを揶揄(やゆ)する意味合いがありそうです。
使う場合は立場を鮮明にしよう
ここまで見てきたように「遺憾の意」は婉曲な(遠回しな)表現です。きっちり言うべきところで「遺憾」を使うと、煮え切らない態度と受け止められる可能性もあります。
また、誰が誰のどんな言動・行動に対して言っているのかをはっきりさせないと、場合によっては自分の責任を棚に挙げた発言とみなされることもありますから、気をつけましょう。