誰に向けた言葉かで変わる「カメレオン的」表現
このように「遺憾の意」は、誰に向けてどのように使ったかによって、微妙に意味合いが変わってくる「カメレオン的な言葉」と言うことができそうです。
不祥事のときに使う「遺憾の意」
「遺憾の意」は、自分もしくは身内、または組織の部下などが不祥事を起こした場合によく使われます。
不祥事で相手や周囲に迷惑をかけてしまったことをお詫びすることもありますが、「遺憾の意」には「謝罪」の意味はありません。「残念に思う」や「心外に思う」ぐらいですので、反省の度合いはそれほど強くありません。
相手の行動・言動の結果への「非難」を遠回しに
逆に、相手の行動や言動を問題視して、「遺憾に思う」と発言する例を見ていきましょう。
辞書にも「非難の気持ちを含んでいる」とあります。しかし「責任を追及する」「謝罪すべきだ」とまで言っているわけではなく、「非難の気持ち」を遠回しに伝えただだけです。
「遺憾の意」は、意見を直接ではなく遠回しに伝える「婉曲(えんきょく)表現」と言えるでしょう。
「遺憾ない」という使い方も
「遺憾なく力を発揮してください」という言い方を聞いたことがありますか。
「遺憾」が「残念」「心残り」という意味なので、わかりやすく言い換えると「心残りのないように」となります。
「遺憾」を多用する政治家のご都合主義
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「遺憾の意」がよく聞かれるケースとして思いつくのは、国会での質疑です。
国会会議録検索システムで、国会での「遺憾の意」発言をリサーチしてみました。現行憲法下で開かれた1947年の第1回国会から現在までに、3,892件もありました。
さらに広げて「遺憾」だけで調べると、なんと46,947件!政治家やお役所の方々は、どれだけ遺憾なことばかりしているのでしょう。
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