その1.うまくいかないことを「残念に思う」
では、「遺憾」「遺憾の意」の用例を見ていきましょう。
営業部の会議で、プロジェクトリーダーが「目標を達成できなかったことは遺憾に思います」と発言した。
生徒の一人が補導されたと報告した先生に、校長先生が「遺憾です」と答えた。
最初の例の場合、営業目標を達成できなかったことに対してプロジェクトリーダーが、後者の場合は生徒が補導されたという事実に対して校長先生が、いずれも「残念に思っている」ことになります。
その2.「心残り」「期待はずれ」「心外」
同じ「遺憾の意を表明する」でも、立場が変われば異なる意味になる例文を、三つ挙げてみましょう。
部活動の顧問の教師は、全国大会でベスト16に残れなかったとOB会で報告し、遺憾の意を表明した。
部活動のOB会代表は、全国大会でベスト16に残れなかったと報告した顧問の教師に遺憾の意を表明した。
部活動の顧問の教師は、OB会代表の発言に対して遺憾の意を表明した。
最初の例は、「顧問の教師」が好成績を収められなかったことの反省を込めて、「心残り」があるという意味で「遺憾」を使っています。
次の例では、「OB会代表」が、好成績を導くことができなかった「顧問の教師」(あるいは部員全体に対して)に「期待はずれ」だったと表明した形です。
最後の例は、厳しい発言をした「OB会代表」に対して「顧問の教師」が「心外である」と反発したと考えることができますね。
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