この記事では「横紙破り」について解説する。「横紙破り」は慣用句で、故事成語というわけじゃないが、昔のできごとが元になってできた言葉です。そのため、知識なしではおそらく何のことを言ってるのかわからないでしょうな。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「横紙破り」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

横紙破りってどんな意味?

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「横紙破り」の意味は以下のとおりです。

自分の思ったとおりを無理に押し通そうとすること。また、そのような人。

出典:goo辞書「横紙破り」

「横紙破り」とだけ聞くとどのような意味かは想像しづらいかもしれませんが、意味としては「自分の思った通りにしようとすること」ということを示します。また、行為だけでなくそのような性格の人も「横紙破り」と呼べるため、覚えておきましょう。

日本語でありながら、予備知識なしでは意味の推測すらも難しいのが「横紙破り」の特徴です。試験やテストなどでは、知ってる人と知らない人にはっきり差がつく言葉であるため、覚えられるときに覚えておくのが得策と言えます。

「横紙破り」の読み方は?

「横紙破り」の読み方は「よこがみやぶり」です。「横紙」の読み方に迷う人がいるかもしれませんが、文字どおり「よこがみ」と読むのが正解になります。「紙」の部分は「かみ」ではなく「がみ」と読みましょう。「よこかみやぶり」と読むのは不正解です。

現実としては「横紙破り」を仮に「よこかみやぶり」と読んでしまったとしても、意味は通じますしいちいち周りも訂正はしないでしょう。しかし、テストなどで「よこかみやぶり」と書くと、それは明確な不正解になります。簡単だからと言って油断せず、きちんと覚えてください。

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「横紙破り」はどうやって使う?

「横紙破り」の使い方は以下のとおりです。

1.彼の「横紙破り」によって、先日の会議は議題がどんどん予定からずれてしまった。
2.彼女はとにかく「横紙破り」な性格だから、君とは衝突する可能性が高い。
3.あの「横紙破り」を直さない限り、彼は上司と揉め続けると思う。

1の「横紙破り」は行為を示しています。丁寧に記載すると「彼の横紙破りな発言によって」などということになりますが、「な発言」という行為の部分は省いても相手に伝わるため、省略しているわけです。

2の「横紙破り」は性格の話であり、例文でも「性格」という言葉が後に続いています。3の「横紙破り」も性格を指していますが、性格全体というよりも性格の一部分を指しているニュアンスです。丁寧に記載すると「あの横紙破りな性格(部分)を~」ということになり、「性格(部分)」という所は省略されています。

このように、「横紙破り」の省略は前後に記載がなく、文脈から判断せざるを得ないというケースも少なくありません。

もっと詳しく!「横紙破り」について

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「横紙破り」は使い方としてはそれほど難しくないため、一度覚えたのち意識的に使っていけば、すぐに慣れることができるでしょう。しかし、より詳しく学習することで、さらに自信を持って使用できるようになります。

詳細を知らないからといって「横紙破り」を使えないというわけではありません。しかし知識が多ければ、さらに深みをもって使えるようになります。

「横紙破り」の語源とは?

「横紙破り」には語源があります。そもそも「横紙破り」とは、「横紙を破る」ということではなく、「横に紙を破る」という意味です。「紙」とは現代のコピー用紙のような紙ではなく、和紙のこと。和紙は繊維の方向があり、縦に裂くことは簡単ですが、横に裂くのは難しいです。

これを無理やりにでも横にでも裂くということから、転じて「多少のことは無視してでも自分の思い通りにする」という意味になりました。語源が分からなければ、紙を破ることがなぜ「思い通りにする」という意味になるのかわからないでしょう。語源を知ることで、意味を忘れてもまた思い出すことができます。

「横紙破り」は失礼か?

「横紙破り」は失礼なのかというと、正確に述べるのであれば「大抵の場合失礼にあたる」という表現が正解でしょう。「横紙破り」というとややもってまわった言い回しになりますが、端的に言うと「わがまま」ということなのです。人に向かって、「あなたはわがままね」と言うのは、基本的には失礼にあたることがわかるでしょう。

ただし、自分の性格や行為に対して、「今のはわがままだったな」と自覚がある人。あるいは「わがまま」と言われることに対して気にしていない、開き直っている人に対しては、「横紙破り」と言われても、それほど気にならないでしょう。そのため、100%絶対に失礼にあたる、というのもまた間違いといえます。

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「横紙破り」は悪いことか

「横紙破り」は必ずしも悪いことではありません。「横紙破り」とはつまり自分の要求を無理に通そうとする行為、もしくは人のことを指しますが、それが役に立つこともあるでしょう。

一般的にはわがままであることは良くないことであり、自分の要求を無理に通すことは無条件に迷惑なことと捉えられがちです。ただ、常に自分の意見を引っ込めてわがままを抑えていれば、100%確実に良い結果が出るのかと言われれば、違うと言わざるを得ないでしょう。美徳とは思われても、美徳と結果は別物です。

「横紙破り」の類義語は?

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「横紙破り」の類義語は、「わがまま/強引/ごり押し/無理強い/強行」などが挙げられます。無理やり主張や行動を押し通すという意味やニュアンスがあれば、「横紙破り」の類義語として十分通用するでしょう。

むしろ伝わりやすさという意味では、前述した類義語に比べて「横紙破り」はやや劣り気味とも言えます。そう難しい意味ではありませんが、「横紙破り」は類義語が多い一方で知名度が低く、「横紙破り」をわざわざ選ぶという人が減っているのが現状です。

現代における「横紙破り」のイメージ

「横紙破り」の「紙」とは和紙のことであると前述しました。現代の日本では和紙は一般的な紙とは言えなくなり、多くの人にとって、紙に繊維の方向などないという考えが当たり前になっています。

そのような状況で「横紙破り」のことを「無理強いすること」と説明しても、大抵の人はピンと来ないでしょう。ただ、「紙を破る」ということから、やや荒っぽいイメージは持つかもしれません。

現在、無理強いすることの表現としてあえて「横紙破り」を使うと、「古風な表現が好き」と思われるでしょう。あるいは「紙」という単語から、無理強いという意味を持ちながらも、やや繊細さを感じる表現と感じられるかもしれません。いずれにしろ、「無理強い」という意味は同じでも、一味違うニュアンスになることは確かです。

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国語言葉の意味

現代では個性的な表現に?「横紙破り」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターが簡単にわかりやすく解説!

この記事では「横紙破り」について解説する。「横紙破り」は慣用句で、故事成語というわけじゃないが、昔のできごとが元になってできた言葉です。そのため、知識なしではおそらく何のことを言ってるのかわからないでしょうな。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「横紙破り」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

横紙破りってどんな意味?

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「横紙破り」の意味は以下のとおりです。

自分の思ったとおりを無理に押し通そうとすること。また、そのような人。

出典:goo辞書「横紙破り」

「横紙破り」とだけ聞くとどのような意味かは想像しづらいかもしれませんが、意味としては「自分の思った通りにしようとすること」ということを示します。また、行為だけでなくそのような性格の人も「横紙破り」と呼べるため、覚えておきましょう。

日本語でありながら、予備知識なしでは意味の推測すらも難しいのが「横紙破り」の特徴です。試験やテストなどでは、知ってる人と知らない人にはっきり差がつく言葉であるため、覚えられるときに覚えておくのが得策と言えます。

「横紙破り」の読み方は?

「横紙破り」の読み方は「よこがみやぶり」です。「横紙」の読み方に迷う人がいるかもしれませんが、文字どおり「よこがみ」と読むのが正解になります。「紙」の部分は「かみ」ではなく「がみ」と読みましょう。「よこかみやぶり」と読むのは不正解です。

現実としては「横紙破り」を仮に「よこかみやぶり」と読んでしまったとしても、意味は通じますしいちいち周りも訂正はしないでしょう。しかし、テストなどで「よこかみやぶり」と書くと、それは明確な不正解になります。簡単だからと言って油断せず、きちんと覚えてください。

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