今回は「一晩経ったカレーは美味しい」と言われる理由について詳しく勉強していこう。

じっくり煮込んだカレーだけでなく、煮込み料理でも「〇日煮込んだ」と聞くと美味しそうに聞こえるものですね。

その理由を化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.家庭料理として定番のカレー

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今回のテーマであるカレーは、食卓に上がる機会の多い家庭料理です。カレーと聞くとインドやネパールといった国々を連想する人も多いかと思いますが、みなさんが普段食べているカレーとは作り方も味も食べ方も全く異なるのをご存じでしょうか。とまあこの先は気になる方各自で調べていただくとして…日本でもカレーは国民食ともいえるでしょう。そんなカレーですが「作ったその日よりも一晩寝かせたあとのカレーの方が美味しい」とよく言われるのをご存じですか?実際に食べてそう感じた人もいるかもしれませんね。そこで今回は「一晩寝かせたカレーが美味しい理由」について解説していきます。

1-1基本の作り方をチェック

まずは簡単に作り方を見ていきましょう。家庭ごとに具材や使用するスパイスは異なるかと思いますが、ここでは一般的なカレールーを使用した作り方をまとめます。

材料

・じゃがいも ・にんじん ・玉ねぎ お肉

・カレールー ・水 ・サラダ油

 

手順

・野菜と肉をそれぞれお好みのサイズにカットし、油を引いた鍋で炒める

・玉ねぎが透き通ってきたら水を加え、15分ほど煮込む

・具材に火が通ったら加熱を止め、ルーを完全に溶かす

・10分ほど再加熱し、ルーと具材を煮込んだら完成

少ない材料、手順でできる料理なので簡単ですよね。しかしどんな具材・スパイスを使うか、水の量、火力や加熱時間等、作る人によって異なるので、まさに十人十色といえるでしょう。

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1-2.味の決め手はたくさんのスパイス

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とはいっても味を大きく左右するのは具材とスパイスです。カレーにはたくさんのスパイスが使われていて、それらの組み合わせによって様々な味の変化を楽しめるのが魅力ですよね。

しかし家庭でカレーを作るためのスパイスを常備している家は稀でしょう。市販のルーを使ったり、そこに少しのアレンジを加える程度のところが多そうですね。だからといって手抜きなんて言わないでくださいね。せっかく美味しくて便利なものがあるのですから使わなきゃ損!というものです。

2.一晩寝かせたカレーが美味しいのは本当?

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作りすぎてしまったのか二日連続でカレーということは珍しくないでしょう。「また?」と思いつつ食べたものの、「昨日より美味しいかも!」と思った経験はありますか?それ、気のせいではないんです。

2-1.味が馴染んで調和される

そもそもカレーに含まれるスパイス1つ1つは個性が強いものです。それらが時間をかけて馴染んでいくことで味わいがまろやかになるでしょう。調理前後での温度変化、再加熱による温度変化によって、うま味が溶けて混ざり合うのも美味しさの理由です。全体の味のバランスが取れて熟成されたカレーになるということですね。

2-2.コクが生まれて美味しさアップ

2-2.コクが生まれて美味しさアップ

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食べ物の美味しさや香りを決めるのは糖やタンパク質、アミノ酸といった物質です。これらが混ざり合い、互いに変化していくことで新たな味となります。カレーに用いる野菜の種類は少なくても、スパイスと混ざり合うことで相乗効果が生まれ、深みのある味・コクとなるのです。材料によって、作る人によってカレーの味が異なるのは当然ですよね。

2-3.ジャガイモが溶けてまろやかに

2日目のカレーが美味しいといわれる大きな理由は上記2つではありますが、もう1つ追記しておきましょう。

カレーの具として欠かせないじゃがいもは型崩れしやすい野菜ですよね。長時間煮込んだり、混ぜすぎたりすることでどんどん溶けていってしまいます。具としての存在感がなくなってしまう一方で、カレーの中に溶け込み、よりまろやかな味にしてくれるという効果があるのです。デンプン質が溶けることで甘みを増すので、甘口カレーが好きという人はあえてじゃがいもを溶かしてみるのもいいかもしれませんね。

\次のページで「2-4.熟成が不向きなカレーもある」を解説!/

2-4.熟成が不向きなカレーもある

コクやまろやかさが美味しい日本のカレーとは異なり、本格的なカレー屋さんのカレーはよりスパイスの香りを感じることでしょう。また、具がゴロゴロと入ったカレーも人気がありますよね。こういったカレーは出来立てを食べるのが一番美味しい場合があるのです。

長時間煮込んだり熟成させたり、加温と冷却を繰り返すことによって、かえって風味が飛んでしまう場合があります。また、煮込みすぎて具材が型崩れしたりお肉が固くなってしまうこともあるでしょう。全てのカレーが煮込みや一晩寝かせることで美味しくなるとは限らないということですね。

3.一晩寝かせて増えるのはうま味だけじゃない

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どんな食品でも気を付けたいのが食中毒です。特に夏場は気を付けたいものですよね。

実はカレーは食中毒の原因になりやすいものなのです。たくさん作った方が美味しいものの余ってしまいがちだったり、一晩寝かせたカレーを食べたくてあえて残すという人もいるかもしれません。しかし、室温での長時間放置によって、ウェルシュ菌という菌が増殖してしまうことを覚えておきましょう。

保存の際は粗熱を取ってから小分けにして密閉容器に入れ、冷凍または冷蔵保管し、なるべく早めに食べきるのが鉄則です。解凍の際にはきちんと中まで火を通すことも大切ですよ。

一晩寝かせて旨味アップ!ただし菌も増殖するかも…?

煮込み料理は煮込んだだけ手間暇かかっているのは想像のとおりでしょう。それだけ手間がかかっていれば美味しいに違いない!と思ってしまうのも頷けます。しかしそれに美味しさを感じるのは思い込みによるものではないというのがわかりましたね。

一晩寝かせたカレーはスパイスと具材がよく馴染み、コクやうま味成分をアップさせることでより美味しさを増します。一度作ったものが冷え、再加熱することによって温まるといった温度変化も美味しさの理由になっていたのです。

ただし食中毒には注意しなければなりませんよ。カレーはたくさんの具材が溶け込んでおり、菌が繁殖するための水分や温度があります。そのために一晩経つ間に菌が増殖し、それによって食中毒になってしまう可能性があるのです。どんな食品にも言えることですが、保存方法には気を付けなければいけませんね。

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化学理科生活と物質

「一晩経ったカレー」はおいしい?その理由を化学的に元塾講師がわかりやすく解説

2-4.熟成が不向きなカレーもある

コクやまろやかさが美味しい日本のカレーとは異なり、本格的なカレー屋さんのカレーはよりスパイスの香りを感じることでしょう。また、具がゴロゴロと入ったカレーも人気がありますよね。こういったカレーは出来立てを食べるのが一番美味しい場合があるのです。

長時間煮込んだり熟成させたり、加温と冷却を繰り返すことによって、かえって風味が飛んでしまう場合があります。また、煮込みすぎて具材が型崩れしたりお肉が固くなってしまうこともあるでしょう。全てのカレーが煮込みや一晩寝かせることで美味しくなるとは限らないということですね。

3.一晩寝かせて増えるのはうま味だけじゃない

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どんな食品でも気を付けたいのが食中毒です。特に夏場は気を付けたいものですよね。

実はカレーは食中毒の原因になりやすいものなのです。たくさん作った方が美味しいものの余ってしまいがちだったり、一晩寝かせたカレーを食べたくてあえて残すという人もいるかもしれません。しかし、室温での長時間放置によって、ウェルシュ菌という菌が増殖してしまうことを覚えておきましょう。

保存の際は粗熱を取ってから小分けにして密閉容器に入れ、冷凍または冷蔵保管し、なるべく早めに食べきるのが鉄則です。解凍の際にはきちんと中まで火を通すことも大切ですよ。

一晩寝かせて旨味アップ!ただし菌も増殖するかも…?

煮込み料理は煮込んだだけ手間暇かかっているのは想像のとおりでしょう。それだけ手間がかかっていれば美味しいに違いない!と思ってしまうのも頷けます。しかしそれに美味しさを感じるのは思い込みによるものではないというのがわかりましたね。

一晩寝かせたカレーはスパイスと具材がよく馴染み、コクやうま味成分をアップさせることでより美味しさを増します。一度作ったものが冷え、再加熱することによって温まるといった温度変化も美味しさの理由になっていたのです。

ただし食中毒には注意しなければなりませんよ。カレーはたくさんの具材が溶け込んでおり、菌が繁殖するための水分や温度があります。そのために一晩経つ間に菌が増殖し、それによって食中毒になってしまう可能性があるのです。どんな食品にも言えることですが、保存方法には気を付けなければいけませんね。

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