端的に言えば馬子にも衣裳の意味は「身なりが大事」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
塾で国語を教えていたトミー先生を呼んです。一緒に「馬子にも衣裳」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/トミー先生
元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は日本のことわざの「馬子にも衣裳」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。
「馬子にも衣裳」の意味や語源・使い方まとめ
それでは慣用句「馬子にも衣裳」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。まず「馬子」の読み方ですが、「まご」と読みます。ひらがなで書くと「孫」と同じですが、アクセントとイントネーションが違っているので、注意してください。
ただ、今日の少子化問題により、一人の孫に祖父と祖母を合わせて四人という家族構成が普通になってきていますので、「可愛い孫に素敵な洋服を買ってあげたい」という祖父母の愛情を表す言い方にも聞こえるから面白いですね。しかし、これは明らかに「馬子にも衣裳」の誤用ですので注意しましょう。
「馬子にも衣裳」の意味は?
「馬子にも衣裳」には、次のような意味があります。まず「馬子」ですが、これは馬を引いて人や荷物を運ぶ下働きの人をいうのですね。身分制社会だった江戸時代には低い身分の人たちで、職業柄身につけているものは汚れていて、とても「衣裳」などを着られる人たちではありませんでしたね。
しかし、そんな仕事をしている人間でも、体を洗って綺麗な服装を身につければ、それなりに立派に見えることさえある、ということなのですね。現代の日本には「馬子」という身分も職業もありませんから、「馬子にも衣裳」はいつもと違って立派な衣服を着ている人に、誉め言葉として用いることがあるようですが、それはあまりお勧めできませんね。「馬子にも衣裳」は、いつもとは違う晴れ着を着た自分に対する謙遜の言葉と考えるといいでしょう。
つまらぬ者でも外形を飾るとりっぱに見えることのたとえ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「馬子にも衣裳」
辞典には「馬子」を「つまらぬ者」と一般化して表現していますが、もともとは、身分が低く身なりも汚らしい存在だったのですね。そのことを考えると、ことわざにもなっている「馬子にも衣裳」は、どちらかというと相手を軽蔑するような表現だったと考えられますね。ですから、「馬子にも衣裳」を褒め言葉として用いるのは、正しくありません。
「馬子にも衣裳」の使い方・例文
それでは、「馬子にも衣裳」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
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