
「なるべく」の意味と使い方・例文・類義語・言い換え表現は?現役ライターがサクッとわかりやすく解説
「できる限りこうしてほしい」と相手に要望を出して依頼する時によく使う言葉ですが、あまりにも日常的に使われる言葉なので、改めてその言葉の意味を考えると疑問が生じる方もいるのではないでしょうか。
しかし、「なるべく」のようなクッション言葉こそ、その使い方や含まれる意図の理解が重要な言葉です。ビジネスシーンであれば尚更成果に大きく影響を与えると言えるでしょう。
なぜなら、《依頼》の表現の使い方を間違えると協力関係を壊すリスクもありますし、どれほどの強い要望なのかが伝わらなければ緊急度や重要度に誤解を生じ案件の進捗に支障をきたす恐れも出てきてしまうからです。
具体的にはどのような使い方をすることが適切なのか、他の言葉を使って言い換えたい時にはどのような言い方をすることが良いのか、ビジネスシーンではどのような言葉が適切なのか、類語と比べてどのような違いがあるのか。
ここでは「なるべく」の意味と使い方、類義語と言い換え表現について学んでいきましょう。
新人教育やマナー研修に携わった経験と、広報として交渉の場を多く経験したライターあかりが、本稿を担当させていただきます。
「なるべく」の意味と使い方・例文・類義語・言い換え表現
それでは、以下に「なるべく」の意味と使い方、類義語や言い換え表現について説明します。
「なるべく」の意味は?
「なるべく」という言葉は、動詞「な(成)る」の終止形+可能の助動詞「べし」の連用形「べく」から成り立っています。
このことを念頭において、辞書を紐解いて、「なるべく」の意味を見てみましょう。
そうすることが可能だという見込みのもと、大きな負担がかからない範囲で、その事態が実現するようつとめる気持ちを表す。
できる限り。できることなら。なるたけ。
出典:明鏡国語辞典(発行所 株式会社大修館書店)「なるべく(成るべく)」
可能であればそうしたい、そうしてほしいという気持ちを表す。
できることなら。なるたけ。
出典:大辞林第三版(発行所 三省堂株式会社)「なるべく(成るべく)」

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つまり、この言葉をつけて依頼をする場合は、まずその人のできる範囲であると認識している上で、(あなたにとって無理のない範囲であれば)実際に成り立つように努力してほしいという気持ちを表す語ということです。
よって、依頼する側の認識として「無理がある」ということがわかっている上で懇願する場合や、選択の余地を与えない「命令」の場合に使用することは適切ではありません。
「なるべく」の使い方・例文は?
次に、「なるべく」の使い方を例文を使って見ていきましょう。
この言葉は、たとえば以下のように使うことができます。
「その地域はあまり治安が良くない。危ないからなるべくなら夜は一人で出歩かないほうが良い」
「本を返すのはいつでも良いけれど、自分も調べ物に使いたいからなるべく早く返してもらえた方が助かる」
「この時期にエアコンが何日も使えないと困るので、なるべく早く修理に来てもらえませんか」
「子供には少しでも体に良いものを食べさせたいので、なるべく食事は手作りして添加物がたくさん入っている加工食品は使わないようにしている」
「出産は、なるべく自宅出産にして、上の子にも立ち会ってほしいな」
「来月の出張は朝一で会議なので、なるべく前泊させていただきたいです」
「できる限り、無理のない範囲で」続く文章内容を依頼もしくは推奨していることがわかるでしょう。
「絶対にそうしてはいけない」という禁止や「絶対にそうしなければならない」という命令ではなく、あくまで受け手側の判断で行動を選択することができる際に用いられるのが「なるべく」です。
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