この記事では「曖昧模糊(あいまいもこ)」の意味を説明する。

「曖昧模糊」とは「物事がはっきりとせず、ぼんやりしている」という意味ですが。あいまいとは、もことは、と聞かれるといまいち分からないでしょう。しっかり理解することで、曖昧模糊な状態から抜け出せるはずです。

読み方も難しい「曖昧模糊」を、ドイツ語英語に精通する語学系主婦ライター・小島ヨウと一緒に解説していきます。

ライター/小島 ヨウ

言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。

四字熟語「曖昧模糊」の意味は?どんな状態のこと?

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では、「曖昧模糊」の意味、類義語、対義語、英訳などを順に見ていきましょう。

曖昧模糊の意味はあいまい?

「曖昧模糊」の意味は辞書で調べるとこのようになります。

物事の内容、意味がはっきりせず、ぼんやりしているさま。「曖昧模糊の状態」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「曖昧模糊」

漢字の意味としては「曖」はかくれる、「昧」は暗い・見えにくい・物事を知らない。「模」はかた・ひながた・全体の形や大きさ、「糊」はのり、です。

「〜は曖昧模糊としている」「曖昧模糊な〜」のようにはっきりとしない対象の前後に置かれ、形容詞として機能します。意図や目的がぼやけた物事を「曖昧模糊」と表現することで、混沌としてつかみ所がない印象を読み手・聞き手に与えるでしょう。

・この計画書は曖昧模糊としている。

・曖昧模糊な説明で意図が分からない。

曖昧とは

あいまい、とは態度や物事がはっきりしないこと、あやしくて疑わしいこと。「あいまいな返事をする」「あいまいな態度」のように意識的にはっきりとさせない場合などに用いられます。白黒つけたくない、相手に気を遣うあまりどっちつかずで流す日本人はあいまいさを多用しているといえるかもしれません。

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模糊とは

糊はのり、接着文具が一般的ですが、書き間違ったところに塗りかぶせて隠し消す米の粉のこと。模糊とはのりの粉をこすりつけたように物事の状態がぼんやりとしてはっきりしない様をいいます。

また、模糊は漢字文化圏における数の単位です。10の-13乗(1の十兆分の一)という肉眼で見ることが出来ないような極小単位。そこからも、あいまい、不確か、ぼんやりしている、といった意味になるのでしょう。

曖昧模糊と曖昧の違いってなんだろう

曖昧模糊と曖昧、同じような意味を持っていますが、使い方・ニュアンスは異なります。

曖昧模糊は、物の形が分からない、事の内容すら理解していない様。曖昧は、ある程度把握していてもにごす、はっきりしない、できない、といった場合に使われます。よって、曖昧よりも曖昧模糊の方がぼんやりしている状態です。例文で確認しましょう。

「上司の曖昧模糊な指示を受けた」
→部下はどういった指示なのか、何をしたらよいのか、まったくわからない状態。

「上司から曖昧な指示を受けた」
→部下は指示を受けたことは理解しているが、具体的でなく、対応に悩んでしまう。

曖昧模糊と類似する言葉

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ぼんやりとしている、はっきりしない、という意味の日本語は多々あります。代表的な四字熟語、良く使われる言葉の意味とニュアンスをチェックしましょう。

「有耶無耶(うやむや)」:あるかないかはっきりしない

「有耶無耶(うやむや)」とは“有るか、無いか”がはっきりとしない様子です。曖昧な感は「曖昧模糊」と共通していますが、“いいかげんな”ニュアンスが加わって、揺れる気持ち、どっち付かずな感情を表現。「返事を有耶無耶にする」とは、迷ってYesNoどっちでもとれるような返事、また返事をするかしないかもはっきりしない、微妙な感じがしますね。

「雲煙模糊(うんえんもこ)」:ぼんやりしている

曖昧模糊と同じ「模糊」が入っている四字熟語。雲や霞、霧などが目の前に広がり、実際の視界がぼやけている状態です。良く見えず手探りな場合、意識がはっきりせず目を開けていてもぼんやりしている時などの表現に使われます。

「朦朧模糊(もうろうもこ)」:はっきりしない

こちらも「模糊」が付いた熟語。朦朧は、ぼんやりとかすんではっきり見えない・物事の内容や意味がはっきりしない・意識が定かでない、という意味があります。もうろうだけでも類語です。

「漠然(ばくぜん)」:ぼんやりしていてはっきりしない

まとまりがない・ぼんやりしていてはっきりしない・つかまえどころがない、という意味の「漠然」。「漠」とは砂漠、すなはらのことで、広く見渡す限り何もない、寂しくむなしい様です。「漠然とした不安」と表現すると、はっきりとした原因はないけれど心が落ち着かない様子がうかがえます。

\次のページで「「不確か」:確かではない」を解説!/

「不確か」:確かではない

「不確か」は字そのもの、確かではない・あやふやといった「あいまい」とよく似たニュアンス。

ほかにも、おぼろげ、不鮮明、どっちづかず、茫然(ぼうぜん:とりとめがない)、などたくさんの類語があります。

曖昧模糊の反対の意味を持つ言葉

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それでは、曖昧模糊の対義語を確認しましょう。ぼんやりしている、はっきりとしない、の反対の意味は簡単に、はっきりしていること。明瞭(めいりょう)、明白(めいはく)、自明(じめい)といった熟語となります。

「明々白々(めいめいはくはく)」:はっきりとして疑う余地がない

「明白」だけでもはっきりしているその上に、明と白、それぞれの漢字を二回ずつ重ねて意味を強調。「明々白々な事実」は、誰から見ても明らか、はっきりしている事柄だと理解できるでしょう。

「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」:一度見ただけで分かる

瞭然ははっきりとしている様、それが見ただけですぐ分かる、という意味。一目は一つの目や片目という意ではなく、一度見ることです。

曖昧模糊を英訳するとたくさんの単語が!

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「曖昧模糊」漢字直訳の英訳、英文はありません。なので、これまでに確認してきた、ぼやけた、はっきりとしないといった意味とニュアンスを持つ単語を挙げました。いろいろあるのですが、簡単なものから少し上級の表現をご紹介します。

「unclear」・「not clear」・「uncertain」:不確か

シンプルなのは「unclear」や「not clear」。clear(明白、はっきり)に反対の意を持つunや否定するnotをつけて、はっきりしていない、という表現です。

同じつくりの類語で、certain(確か)にunを付けて「uncertain」(不確か)。確信が持てなくて不確か、不安定、変わりやすいなど否定的な表現に使われます。

Her explanation is unclear.
彼女の説明はあいまいだ。

Today's weather is uncertain.
今日の天気は変わりやすく不安定。

\次のページで「「dark」・「shadowy」・「dim」:よく見えない」を解説!/

「dark」・「shadowy」・「dim」:よく見えない

dark(暗い)・shadowy(影のような、おぼろげな)・dim(ほの暗い)など、周囲が暗くてよく見えない時の表現です

「fuzzy」:はっきりしない、あいまい

「ファジー」とすでに日本語になっている英単語。けばだった、輪郭がぼやけていることの意から、境界が不明確、あいまい、の意味で使われます。柔軟性がある、の表現なら良い意味ですが、優柔不断、意見・考え方がはっきりしない、となれば悪口にも。90年代に流行した言葉です。

「vague」:あいまい、漠然

考えや感情など、幅広い物事に対して曖昧である時に使える形容詞。日本語のあいまいに似た使い方が出来ます。

a vague memory
ぼんやりとした記憶

I gave him a vague answer.
私は彼にあいまいな返事をした。

「ambiguous」:あいまい、両義性

不確かで曖昧であるという広義ですが。様々な解釈ができる、二通りの取り方ができるのでまぎらわしい、というニュアンスが加わります。

an ambiguous word
まぎらわしい言葉

His idea is ambiguous.
彼の考えはあいまいだ。

「曖昧模糊」読めて書けたら語彙力アップ間違いなし

この記事では「曖昧模糊」の意味・使い方・類語などを説明しました。

ぼんやりとしてつかみどころのないのが「曖昧模糊」。一方で「曖昧」は意識的にはっきりとさせない、できない場合に使われます。世界は曖昧模糊、日常は曖昧を多用、と言えるかもしれません。

読めてもなかなか書けない漢字の四字熟語ですが、「曖昧模糊」から広がる多くの知識を得ることが出来ますね。

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国語言葉の意味

“もこ”って何?「曖昧模糊」の意味や使い方・類義語・「曖昧」との違いまで語学系主婦ライターがわかりやすく解説

模糊とは

糊はのり、接着文具が一般的ですが、書き間違ったところに塗りかぶせて隠し消す米の粉のこと。模糊とはのりの粉をこすりつけたように物事の状態がぼんやりとしてはっきりしない様をいいます。

また、模糊は漢字文化圏における数の単位です。10の-13乗(1の十兆分の一)という肉眼で見ることが出来ないような極小単位。そこからも、あいまい、不確か、ぼんやりしている、といった意味になるのでしょう。

曖昧模糊と曖昧の違いってなんだろう

曖昧模糊と曖昧、同じような意味を持っていますが、使い方・ニュアンスは異なります。

曖昧模糊は、物の形が分からない、事の内容すら理解していない様。曖昧は、ある程度把握していてもにごす、はっきりしない、できない、といった場合に使われます。よって、曖昧よりも曖昧模糊の方がぼんやりしている状態です。例文で確認しましょう。

「上司の曖昧模糊な指示を受けた」
→部下はどういった指示なのか、何をしたらよいのか、まったくわからない状態。

「上司から曖昧な指示を受けた」
→部下は指示を受けたことは理解しているが、具体的でなく、対応に悩んでしまう。

曖昧模糊と類似する言葉

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ぼんやりとしている、はっきりしない、という意味の日本語は多々あります。代表的な四字熟語、良く使われる言葉の意味とニュアンスをチェックしましょう。

「有耶無耶(うやむや)」:あるかないかはっきりしない

「有耶無耶(うやむや)」とは“有るか、無いか”がはっきりとしない様子です。曖昧な感は「曖昧模糊」と共通していますが、“いいかげんな”ニュアンスが加わって、揺れる気持ち、どっち付かずな感情を表現。「返事を有耶無耶にする」とは、迷ってYesNoどっちでもとれるような返事、また返事をするかしないかもはっきりしない、微妙な感じがしますね。

「雲煙模糊(うんえんもこ)」:ぼんやりしている

曖昧模糊と同じ「模糊」が入っている四字熟語。雲や霞、霧などが目の前に広がり、実際の視界がぼやけている状態です。良く見えず手探りな場合、意識がはっきりせず目を開けていてもぼんやりしている時などの表現に使われます。

「朦朧模糊(もうろうもこ)」:はっきりしない

こちらも「模糊」が付いた熟語。朦朧は、ぼんやりとかすんではっきり見えない・物事の内容や意味がはっきりしない・意識が定かでない、という意味があります。もうろうだけでも類語です。

「漠然(ばくぜん)」:ぼんやりしていてはっきりしない

まとまりがない・ぼんやりしていてはっきりしない・つかまえどころがない、という意味の「漠然」。「漠」とは砂漠、すなはらのことで、広く見渡す限り何もない、寂しくむなしい様です。「漠然とした不安」と表現すると、はっきりとした原因はないけれど心が落ち着かない様子がうかがえます。

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