模糊とは
糊はのり、接着文具が一般的ですが、書き間違ったところに塗りかぶせて隠し消す米の粉のこと。模糊とはのりの粉をこすりつけたように物事の状態がぼんやりとしてはっきりしない様をいいます。
また、模糊は漢字文化圏における数の単位です。10の-13乗(1の十兆分の一)という肉眼で見ることが出来ないような極小単位。そこからも、あいまい、不確か、ぼんやりしている、といった意味になるのでしょう。
曖昧模糊と曖昧の違いってなんだろう
曖昧模糊と曖昧、同じような意味を持っていますが、使い方・ニュアンスは異なります。
曖昧模糊は、物の形が分からない、事の内容すら理解していない様。曖昧は、ある程度把握していてもにごす、はっきりしない、できない、といった場合に使われます。よって、曖昧よりも曖昧模糊の方がぼんやりしている状態です。例文で確認しましょう。
「上司の曖昧模糊な指示を受けた」
→部下はどういった指示なのか、何をしたらよいのか、まったくわからない状態。
「上司から曖昧な指示を受けた」
→部下は指示を受けたことは理解しているが、具体的でなく、対応に悩んでしまう。
曖昧模糊と類似する言葉
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ぼんやりとしている、はっきりしない、という意味の日本語は多々あります。代表的な四字熟語、良く使われる言葉の意味とニュアンスをチェックしましょう。
「有耶無耶(うやむや)」:あるかないかはっきりしない
「有耶無耶(うやむや)」とは“有るか、無いか”がはっきりとしない様子です。曖昧な感は「曖昧模糊」と共通していますが、“いいかげんな”ニュアンスが加わって、揺れる気持ち、どっち付かずな感情を表現。「返事を有耶無耶にする」とは、迷ってYesNoどっちでもとれるような返事、また返事をするかしないかもはっきりしない、微妙な感じがしますね。
「雲煙模糊(うんえんもこ)」:ぼんやりしている
曖昧模糊と同じ「模糊」が入っている四字熟語。雲や霞、霧などが目の前に広がり、実際の視界がぼやけている状態です。良く見えず手探りな場合、意識がはっきりせず目を開けていてもぼんやりしている時などの表現に使われます。
「朦朧模糊(もうろうもこ)」:はっきりしない
こちらも「模糊」が付いた熟語。朦朧は、ぼんやりとかすんではっきり見えない・物事の内容や意味がはっきりしない・意識が定かでない、という意味があります。もうろうだけでも類語です。
「漠然(ばくぜん)」:ぼんやりしていてはっきりしない
まとまりがない・ぼんやりしていてはっきりしない・つかまえどころがない、という意味の「漠然」。「漠」とは砂漠、すなはらのことで、広く見渡す限り何もない、寂しくむなしい様です。「漠然とした不安」と表現すると、はっきりとした原因はないけれど心が落ち着かない様子がうかがえます。
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