キュビズムの中心人物がピカソとブラック
印象派に続いて20世紀前半にあらわれたのがキュビズムです。キュビズムの創始者といわれるのがパブロ・ピカソとジョルジュ・ブラック。最初は芸術界の反発を受けていましたが、徐々に理解者を増やしていきました。
スペイン生まれのパブロ・ピカソ
パブロ・ピカソはスペイン生まれの芸術家。数多くの作品を残した人物としても知られています。ピカソの作品は時期に応じて手法が変化。キュビズムは、ピカソの創作活動のある時期を特徴づけるものです。
ピカソはかなりの色男で、彼の作品には数多くの女性が登場します。恋愛関係にあった女性をキュビズムの手法で描写しました。ピカソのチャレンジは舞台芸術、彫刻、コラージュなどいろいろな領域に及びます。
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フランス人画家ジョルジュ・ブラック
ジョルジュ・ブラックはピカソとくらべると知名度が劣りますが、実はキュビズムの発展にもっとも寄与した人物と言えます。ピカソの才能をいち早く見抜いて後押ししたのがブラック。ブラックなしでは芸術家ピカソの名声は存在しなかったとも言えるでしょう。
20世紀前半、ブラックはピカソの共同制作者として前衛的な作品を創作しますが、第一次世界大戦がはじまると出征。終戦後は新たなパトロンを見つけて創作活動を続けますが、落ち着いた雰囲気の静物画がメインとなります。
『アビニヨンの娘たち』からキュビズム革命が始まる
キュビズムの出発点とされる作品がパブロ・ピカソの『アヴィニョンの娘たち』。1907年の作品です。アフリカ彫刻の手法に影響を受けて制作されたと言われています。
バルセロナの売春婦を書いた問題作
『アヴィニョンの娘たち』で描かれたのは5人の若い女性。バルセロナのアビニョ通りにある売春宿の女性たちです。女性たちの裸体を奇妙に変形させた形で描きました。
もともとピカソは売春婦であることを前面に出していましたが、批判されること避けるため「娘たち」と曖昧にします。しかしながら、一糸まとわぬ若い女性の挑発的な姿は「不謹慎」であると批判を受けました。
女性の体をアフリカ彫刻のように再現
『アヴィニョンの娘たち』に登場する女性の姿は幾何学的で、本当はどんな容姿なのか分からないほど変形されています。女性のふくよかな裸体を美しく表現する伝統的な芸術とは正反対のものでした。
ピカソ自身は、『アヴィニョンの娘たち』におけるアフリカ彫刻の影響を否定しています。しかしながら同時期のヨーロッパでは、アフリカの歴史や芸術への関心が高まっていたこともあり、何らかの影響を受けていると言えるでしょう。
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