この記事では「電光石火(でんこうせっか)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば電光石火の意味は「ごく短い時間」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「電光石火」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「電光石火」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「電光石火」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「電光石火」の意味は?

「電光石火」には、次のような意味があります。

非常に短い時間。また、動きが非常に速いことのたとえ。

出典:大辞林 第六版(三省堂)「電光石火」

「電光石火」は、「電光」と「石火」の二つの熟語が合わさってできたものです。では、どうしてこれらの熟語が「ごく短い時間」という意味につながるのでしょうか。

まず、「電光」の方から意味を確認していきましょう。実は、「電光」に含まれる「電」は、稲妻を意味しています。稲妻が見えるのは、ほんのごくわずかな間だけですよね?ちょうど、カメラのフラッシュのように。

一方の「石火」とは、どのような意味を持っているのでしょうか。こちらの「石」は、火打ち石を意味しています。火打ち石を打ち付けると、パッと火花が飛び散りますよね?あるいは、ライターで火を付けるときをイメージしてもらってもかまいません。

つまり、「電光」も「石火」も両方とも、ほんの一瞬の出来事を表しているというのが共通点です。

「電光石火」の語源は?

次に「電光石火」の語源を確認しておきましょう。この四字熟語は、「五灯会元(ごとうえげん)」という、中国南宋時代の灯史にそのルーツがあるとされます。

灯史とは、仏教界における歴史書のようなものです。この歴史書の中に次のような一節があります。

「此事如撃石火、似閃電光(此の事石火を撃つ如く、電光の閃くに似たり)」

意味は、「このことは火打石を打ち付けて出た火花のようであり、稲妻の光が閃く様子に似ている」です。つまり、それほどまでに短い時間の出来事だったことを述べています。

\次のページで「「電光石火」の使い方・例文」を解説!/

「電光石火」の使い方・例文

「電光石火」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

広島で圧倒的な人気を誇るお好み焼きのお店が、電光石火の早業で東京エリアに初進出してきたのには、大変驚かされました。

銀座・京橋周辺に新鮮な素材を生かした美味しいホルモンを食べさせてくれるお店があるという評判が、電光石火のごとく広まった。

京都にあるたくさんの酒蔵に次々と取材の予約を入れていく彼の仕事ぶりは、まさに電光石火という言葉がぴったりであった。

「電光」も「石火」も、元は1秒にも満たない非常に短い時間を表現した言葉です。もちろん、これはあくまでも「たとえ」であって実際の動作に1秒かからなかったということではありません。要は、それぐらい動きが非常に速かったということを強調したいわけです。

日本語にも「瞬く間に」という表現がありますよね。こちらは、「まばたきをするぐらいの短い時間」という意味を表しています。こちらも、実際にまばたきをするのと同じ時間という意味ではなく、それぐらい短い時間を形容したことばです。

#2 「電光石火」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「電光石火」のように動きが非常に速いことを述べたいときに用いる表現には、他にどのようなものがあるのでしょうか。次に、該当する二つの四字熟語を挙げておきます。

「紫電一閃」

「紫電一閃(しでんいっせん)」も、非常に短い時間やその短い時間で急速に変化する様子を表すことができます。

「紫電」は刀を振るときにひらめく、稲妻に似た光を表すことばです。一方の「一閃」は、一瞬のひらめきを意味します。

時代劇などで、侍が日本刀を素早く振るときに瞬間的に光がひらめく様子を想像していただければ、分かりやすいのではないでしょうか。

\次のページで「「疾風迅雷」」を解説!/

「疾風迅雷」

「疾風迅雷(しっぷうじんらい)」という四字熟語でも、変化や動きが非常に速い様子を表すことが可能です。

この熟語の「疾風」は非常に速い風を意味しています。一方の「迅雷」は、激しい雷を表したことばです。

そして、「疾風迅雷」はこれら二つの熟語が合わさってできています。では、これらの四字熟語を用いた例文をここで確認しておきましょう。

劣勢だったサッカー日本代表だったが、紫電一閃のカウンター攻撃を成功させたことで観客は大いに沸き返った。

その海鮮居酒屋で注文を受けたメニューがあまりの速さで提供されていく様子を「疾風迅雷」と形容したら、さすがに言い過ぎであろうか。

#3 「電光石火」の対義語は?

image by iStockphoto

さて、「電光石火」の対義語としてはどのようなものが考えられるでしょうか。

「電光石火」が非常に短い時間を表しているとすれば、対義語とても長い時間悠久のときを表していなければなりません。

一方で、スピードの速さに重点が置かれていれば、ゆっくりしている様子を表したものが対義語となります。

では、これらの条件に当てはまった表現を二つ確認しておきましょう。

「遅疑逡巡」

「遅疑逡巡(ちぎしゅんじゅん)」は、疑ってばかりで決断が遅くぐずぐずしている様子を表した四字熟語です。

「電光石火」があっという間に行動してしまう様子を表しているのと比べれば、好対照の熟語だといえるのではないでしょうか。

「悠々閑々」

もう一つの「悠々閑々(ゆうゆうかんかん)」は、のんびりと落ち着いている様子を表しています。

また、「悠々自適(ゆうゆうじてき)」や「悠々閑適(ゆうゆうかんてき)」も同様の意味を持った四字熟語です。

#4 「電光石火」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に、「電光石火」の英訳にはどのようなものがあるのかについて確認しておきましょう。

\次のページで「「lightning」」を解説!/

「lightning」

「電光石火」の英訳として、もっとも一般的なものが「lightning」です。この単語は、そのものズバリ「電光」や「稲妻」といった意味を表します。

また、「lightning」は名詞としても形容詞としても用いることができるのが特徴です。では、最後に「lightning」を用いた例文をご紹介しましょう。

He ran away like lightning.
彼は、電光石火の速さで逃げていった。

They attacked the base with a lightning speed.
彼らは、電光石火の勢いでその基地を攻撃した。

「電光石火」を使いこなそう

この記事では「電光石火」の意味・使い方・類語などを説明しました。「電光」も「石火」も、ほんのわずかな時間を表す言葉です。

これらを合わせた「電光石火」も、当然同様の意味を表しています。さらに、それが転じてスピードが非常に速い様子を表すようにもなりました。

みなさんも、今回の記事で学んだ四字熟語や英語をぜひ使ってみてくださいね。

" /> 【四字熟語】「電光石火」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【四字熟語】「電光石火」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「電光石火(でんこうせっか)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば電光石火の意味は「ごく短い時間」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「電光石火」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「電光石火」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「電光石火」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「電光石火」の意味は?

「電光石火」には、次のような意味があります。

非常に短い時間。また、動きが非常に速いことのたとえ。

出典:大辞林 第六版(三省堂)「電光石火」

「電光石火」は、「電光」と「石火」の二つの熟語が合わさってできたものです。では、どうしてこれらの熟語が「ごく短い時間」という意味につながるのでしょうか。

まず、「電光」の方から意味を確認していきましょう。実は、「電光」に含まれる「電」は、稲妻を意味しています。稲妻が見えるのは、ほんのごくわずかな間だけですよね?ちょうど、カメラのフラッシュのように。

一方の「石火」とは、どのような意味を持っているのでしょうか。こちらの「石」は、火打ち石を意味しています。火打ち石を打ち付けると、パッと火花が飛び散りますよね?あるいは、ライターで火を付けるときをイメージしてもらってもかまいません。

つまり、「電光」も「石火」も両方とも、ほんの一瞬の出来事を表しているというのが共通点です。

「電光石火」の語源は?

次に「電光石火」の語源を確認しておきましょう。この四字熟語は、「五灯会元(ごとうえげん)」という、中国南宋時代の灯史にそのルーツがあるとされます。

灯史とは、仏教界における歴史書のようなものです。この歴史書の中に次のような一節があります。

「此事如撃石火、似閃電光(此の事石火を撃つ如く、電光の閃くに似たり)」

意味は、「このことは火打石を打ち付けて出た火花のようであり、稲妻の光が閃く様子に似ている」です。つまり、それほどまでに短い時間の出来事だったことを述べています。

\次のページで「「電光石火」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: