端的に言えば意味は「役に立たず、実際に実現する可能性の無い状態であること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「絵にかいた餅」の意味を理解し、例文、類語、英語表現を合わせて見ていきます。
ライター/ナガタ ナミキ
外資企業の営業マネージャーとして5年間勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。お餅は砂糖醤油派。
「絵にかいた餅」の意味や語源・使い方まとめ
「絵にかいた餅」という慣用句をみなさんは耳にしたことがありますか?
お餅と聞くと、思わずお正月やお雑煮などを連想してしまう方もいるのでは。また、実際の日常会話の中だけでなく、小説やドラマなどでこの慣用句に出会うこともあるかもしれません。
早速、意味や語源・使い方を一緒に確認していきましょう。
「絵にかいた餅」の意味は?
まずは基本的な意味を確認しましょう。
1.《どんなに巧みに描いてあっても食べられないところから》何の役にも立たないもの。
2. 実物・本物でなければ何の値打ちもないこと。
3. 画餅(がべい)
出典:デジタル大辞泉(小学館)「絵に描いた餅」
つまり、紙の上に描かれた餅は実際に食べることも触れることも出来ないため、役に立たないと伝えているのです。物事は本物でなければ意味がない、と言い換えることも出来るでしょう。たとえば、空腹時に食べ物の描かれた絵を見るだけでは満足できませんよね。どれだけ美味しそうでリアルに描かれていたとしても、イメージや理想だけでは空腹を満たすことが出来ないため、価値があるとは言えません。
また、画餅(がべい)は同義語で、「画餅に帰す」「画餅に終わる」(最終的に役に立たず、価値のない状態となった)と使われることもあります。
「絵にかいた餅」の語源は?
次に「絵にかいた餅」の語源を確認してみましょう。
西暦200年頃の中国を記した書物『三国志「魏書・廬毓伝」』の中で、魏国の初代皇帝である曹丕(そうひ)が言います。
『選擧莫取有名、名如畫地作餅、不可啖也』
(人材を選び採用する時には、その人物の名声によって採用してはいけません。名声とは絵にかいた餅のようなもので、食べられず役に立たないのです。)
曹丕は人材採用において、その人物がいかに有能で仕事が出来るかを重視しました。そのため、名声や評判とは実際には役に立たない「絵にかいた餅」のようなものだと考えたのです。
また、同時代の中国では『画餅充飢(がべいじゅうき)』という言葉も残されています。
実際には食料もなく苦しんでいるのに、餅の絵で満足しようとする様子を表す言葉です。実際には役に立たない理想をつくりあげ、現実から目を背けることで精神の安定をはかるようなニュアンスが感じられますね。
これらの語源から、「絵にかいた餅」とは名声や理想を立派に描いてはいるが、それらは現実では役に立たないと示していることが分かります。
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