
3分で簡単「自由電子」!元家庭教師がわかりやすく解説
自由電子は金属結合に欠かせない。自由電子が金属原子を結び付け、金属結晶を作る。金属には延性、展性、伝導性、光沢といった特徴がありますが、これらの特徴に自由電子が大きく関わっている。自由電子を深く理解するためには原子の構造や結合に関する知識が欠かせない。
そこで今回は原子の構造から自由電子が果たす役割までを、国立大学の工学部出身リケジョのたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか
高校3年間を化学部で過ごし、大学でも化学を専攻していたリケジョ。実験や化学について本から豆知識を仕入れるのが好きだが、成績や実験の腕には結びついていない残念な化学好き。おかげで 研究から遠ざかった現在でも部屋に化学に関する本が多い。
原子の構造

image by Study-Z編集部
原子は原子核とその周りを飛び回る電子からできています。2020年現在確認されている元素は118種類で、原子の種類は原子核に入っている陽子の数で決まるのです。
通常、原子は陽子と同じ数の電子が原子核の周囲を飛び回っています。このとき電子は決まったコースを動いているのです。このコースを電子殻といいます。

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ところで、すべての電子がひとつの電子殻に入るわけではありません。電子殻は原子核の周りに層のようになっていて、元素の種類によって決まった数の電子が決まった層に入ります。そして電子殻は原子核に近いところから順にK殻、L殻、M殻~と名前が付けられているのです。なぜKという中途半端なところから名前を付けたのか?と気になる人もいるでしょう。これは、電子殻が見つかったときにより原子核に近いところにまだ電子殻があるかもしれないと考え、アルファベットの真ん中くらいのKから名前を付けたそうです。
電子殻の定数はK殻から順に2個、8個、16個~と決められています。これは2n2という式から求めることができるのです。nは原子核から数えて電子殻の数で、K殻が1、L殻が2となります。
原子と化学結合

image by Study-Z編集部
物質は様々な種類の原子が結合してできています。原子がどのように結合するのかは、その原子がどんな元素かということで決まるのです。元素は大きく金属元素と非金属元素のふたつに分類することができます。
金属元素
周期表を見てください。元素のほとんどが金属元素であることがわかります。この金属元素が金属結晶をつくるとき、金属結合をするのです。金属結合をするのに欠かせないのが今回のテーマ「自由電子」。自由電子が金属結晶の中を自由に動き回り、金属元素を結びつけているのです。
非金属元素
水素や炭素など20種類ほどしかない非金属元素。非金属元素は共有結合という電子を原資と原子の間で共有する結合方法で分子をつくります。
金属元素は金属結合、非金属原子は共有結合をする。では金属と非金属はどんな結合によって結ばれているのでしょうか。例えば塩化ナトリウムのような金属元素と非金属元素はイオン結合によってイオン結晶を作ります。
金属元素
先ほど説明したように元素のほとんどは金属元素です。なじみ深い元素としてFe(鉄)、Au(金)、Al(アルミニウム)などが挙げられます。他にも身の回りにはたくさんの金属がありますね。
金属元素はその性質から1族の金属は「アルカリ金蔵」、2族が「アルカリ土類金属」、3族から11族が「遷移元素」と分類されています。また、金属と非金属の両方の性質を持つ金属元素を「両性金属」と呼んでいるのです。両性金属にはアルミ、亜鉛、スズ、鉛が当てはまります。その詳しい性質についてはそれぞれの記事で確認してくださいね。
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