脊椎動物の形態的特徴や生態
現存している脊椎動物の形態的な特徴や生態も、それらの進化や関係性を考えるヒントになります。
魚類はほぼ完全な水中生活を送る生物ですが、爬虫類は陸上生物です。そして両生類は、陸上と水中がどちらも生存のために必要な生き物。魚類が進化して完全に陸上に適応した生物となるまでの中間的な存在が両生類、と考えることができますよね。
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また、「基本的に陸上に生息している爬虫類・鳥類・哺乳類が、もとは水中にいた魚類や両生類から進化した」と考えると、それらの生物が進化の過程で”体に水分を保つための機能を備えた”ことが矛盾なく説明できます。
例えば、体から水分が逃げないよう硬い鱗や皮膚。子どもは卵という固い殻や胎内で育ち、乾燥することがありません。もともと魚類のように海中で暮らしていた生物が、陸上に進出したために得た生態とみなすことができます。
分子から系統を考える
生物のもつDNAやタンパク質の研究が進み、これらの結果からも脊椎動物の進化の道筋を説明できるようになってきました。
生物間で塩基配列やタンパク質のデータを比較することで、どの生物同士が似ているのか、どれくらいの違いが存在するのかを推定できます。
分析結果の情報に基づき、生物の類縁関係や系統発生を表したものが系統樹。さまざまな遺伝子やタンパク質を分析した研究がありますが、それらも脊椎動物の進化の過程を裏付けています。
これからの研究で新たな発見が得られれば、より詳細な進化の過程が見えてくるかもしれません。生命の謎を解き明かすためにも、今後の成果が期待されます。
生物の進化にはふしぎがいっぱい
「私たちヒトはどのようにして誕生したのか」。素朴ではありますが、だれもが一度は抱く疑問ではないでしょうか?
今回の内容の通り、脊椎動物の進化の過程は大まかにはわかってきています。しかしながら、生物の進化にはまだ謎も多く、脊椎動物以外の生物の進化についてもわかっていないことがたくさんあるのが現状です。進化の研究はこれからもどんどん進んでいくでしょう。