化学

「分子間力」を化学好き主婦がわかりやすく解説!

1. 水素結合

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電子を引き寄せる強さ、すなわち「電気陰性度」は原子の種類によって決まっています。

水分子は、1 つの酸素原子と 2 つの水素原子が共有結合したものでしたね。酸素原子の方が水素原子よりも電子を引き寄せる力が強い(=電気陰性度が高い)ため、酸素原子側はややマイナスの電気を帯び、反対に水素原子側はややプラスの電気を帯びています。さらに、2 つの共有結合部分の電子雲が最も安定する角度が 104.5 度なので、水分子は「くの字」に折れ曲がった形をしていることから、全体として極性分子となっているのでした。

さて、このような水分子が集まってできている水では、水分子はお互い、プラスとマイナスの電気を引き合って結びついています。これが「水素結合」です。

ちなみに、水分子が集まっている固体である「氷」では、全ての水分子が 4 つの水分子と水素結合で結びついて、水より隙間の多い構造となっています。それで水よりも氷のほうが比重が低く、氷が水に浮かぶのですね。

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Iquo – Illustrated by the uploader, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

DNA が二重らせん構造をしているのはよく知られていますが、2 本の鎖のそれぞれ 1 本ずつは、糖、リン酸、塩基でできた構成単位が数千個つながった形をしており、一方の鎖の塩基と、もう一方の鎖の塩基が水素結合によって結ばれて二重の鎖が結びついた形になっています。DNA の材料に用いられる塩基は 4 種類のみです。アデニン(A)とチミン(T)は 2 個の水素結合で、グアニン(G)とシトシン(C)は 3 個の水素結合でそれぞれ結ばれ、それ以外の組み合わせでは結合しません。

水素結合の強さは共有結合の約 10 分の 1 と比較的弱いため、2 本の鎖が離れて、それぞれが鋳型となって複製を行うのに都合の良い力になっているとのことです。自然の仕組みは合理的で驚くことばかりですね。

2. ファンデルワールス力

2. ファンデルワールス力

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ファンデルワールス力の原因となるのは、主に瞬間的な電気の偏り、あるいは部分的な電気の偏りです。

例えば、水素分子や酸素分子といった同じ種類の原子 2 つから構成される分子ではイオンのような持続的な電子の偏りは生じませんが、そのような分子であっても、電子が原子核の周りをぐるぐると飛び回っているのですから、瞬間的にはたびたび電気の偏りが起きています。電子が電子殻中を自由に移動し続ける分子の姿を連続撮影するようなイメージで考えてみると分かりやすいかもしれません。

では、二酸化炭素分子ではどうでしょう。2 つの酸素原子が 1 つの炭素原子に共有結合していますが、水分子のように「くの字」に折れ曲がった形ではなく、3 つの原子は直線的に並んで、炭素原子の両端から酸素原子がそれぞれ電子を引き寄せている形ですね。炭素原子の電子は正反対の方向から引き寄せられているのですから、分子全体としては電気の偏りはないと見ることができますが、部分的には電気の偏りが生じているということです。このような分子同士がお互いに十分に接近した時にも、引力が生じます。これもファンデルワールス力と呼ばれているのです。

電気の偏りは、近接した周囲の分子にも影響を及ぼしていくので、結果として分子間に引力が働きます。

なお、物理領域に重なる話になりますが、ファンデルワールス力が大きくなる条件もこの機会に整理しておきましょう。

1) 分子量が大きい(電子を引き寄せる電荷の量が多い)

2) 分子の表面積が大きい(分子同士が接近したときにファンデルワールス力を形成できる領域が広い)

3) 極性が強い 

3. 静電引力(とファンデルワールス力)

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水蒸気やドライアイスなどの気体を冷やして、気体から液体、そして固体となるとき、構成している分子はお互いに引き合う力によって結合しますが、この引力は何に起因しているのでしょうか。

水分子が作る氷の場合は、水分子同士の間に働く静電引力によります。酸素原子が、近接する別の水分子の水素原子から電子を引き寄せようとする力です。

分子全体として極性がないとみなされる水素分子がつくる液体水素や、二酸化炭素分子から構成されるドライアイスの場合は、ファンデルワールス力によると分類されます。

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西岡壱誠