今回は「金属元素」について学ぶぞ。

元素は大まかに金属元素と非金属元素に分類される。金属元素とは簡単に説明すると陽イオンになりやすく、自由電子による金属結合をする元素のことです。身の回りにも金属製品はたくさんあるな。この金属元素には金属結合することで様々な金属ならではの特徴を持つ。

金属元素についての知識は結合や無機化学を学ぶうえで欠かせない。そこでなぜ金属は分子を作らないのか?という疑問から理系に進んだリケジョのたかはしふみかが金属元素について説明していきます。

ライター/たかはし ふみか

高校生の時、化学の授業で原子の構造やイオンに興味を持ったリケジョ。大学で一番興味を持ったのは周期律についての講義だったが、そのわりに試験の結果は残念だったらしい。ちなみに試験前の勉強法は最初にノートを全部書き写し、要点を復習するというものだった。

金属元素とは

金属元素」とは金属を構成する元素のことです。金属といえば身近なものではAu(金)、Fe(鉄)、Na(ナトリウム)などがありますね。どんな性質があるのか、どんな元素が金属元素に分類されるのかということを確認していきましょう。

周期表から見る金属元素

周期表から見る金属元素

image by Study-Z編集部

化学の教科書に必ず掲載されている元素周期表。周期表は縦に18列、横に7列の細長い形をしていて、元素番号順に元素が並べれらています。この元素は大きく金属元素と非金属元素に分けることができるのです。電子を放出して陽イオンになりやすい金属元素は周期表の左側に集まっています。例外が原子場号1番のH(水素)。これは1族で唯一の非金属元素です。なお、金属元素と貴金属元素の両方の性質を持つ両性元素もありますが、周期表を見ると金属元素に分類されています。

両性元素 Al(アルミ)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、Pb(鉛)

金属元素の特徴と構造

金属には次のような特徴があります。

・展性   叩くと薄く広がる

・延性   金属を引っ張ると細長い線状に伸びる

・伝導性  電気や熱を通しやすい

・光沢   金属の表面で光が反射される

これらの性質は自由電子を持つ金属元素の構造に由来しています。

image by Study-Z編集部

原子は原子核(陽子と中性子)とその周りを飛ぶ電子からできています。金属元素が集まって金属結晶を作る場合、この電子は金属の中を自由に移動し、すべての原子の中で共有されれているのです。この電子を自由電子と呼びます。

この自由電子が自由に動き回るために金属は熱や電気が効率よく伝わり(伝導性)、結合に方向性がないために外から力が加わって原子の配列が崩れても結合が切れてしまうことがありません(展性延性)。また、自由電子があることで光が中まで届かず表面で反射するため、金属は光沢を持っています。

ところで金属の液体と固体ではどちらの方がより大きな電気伝導性を持つ(電気抵抗が小さい)のでしょうか?答えは固体の金属。なぜなら温度が高いと自由電子の動きが、振動の大きくなった金属イオンに妨げられてしまうからです。

金属元素と非金属元素

元素は金属と非金属に分けることができます。非金属とは金属元素ではない元素のことで、その種類は20種類程度。元素のほとんどが金属元素なのですね。非金属にはH(水素)やC(炭素)などの元素があります。また陰イオンになりやすいハロゲンや、安定した希ガスも非金属に含まれているのです。

ハロゲンや希ガスについてはこちらで確認してください。

金属元素・非金属元素と結合

金属元素・非金属元素と結合

image by Study-Z編集部

先ほど金属元素は金属結合によって金属結晶を作ることを説明しました。そして非金属元素が集まって物質を作る時は共有結合をします。さらに金属元素と非金属が結合するときはイオン結合が行われるのです。

酸素や水素、水などの分子は構成する原子を使って分子式で表されます。一方、イオン結晶や金属をのように無限に原子が組み合わさることのできる物質は元素の最も簡単な整数比で組成式で表されるのです。

そして分子の場合、結合した原子の総和を分子量と呼びます。また、イオン結晶や金属結晶は構成する元素を最も簡単な整数比で表したときの総和を式量と呼ぶのです。分子量と式量はその物質が1molある時に何gになるのか、を表しています。分子を作るものは分子量、分子を作らず組成式で表されるものは式量となるのですね。

\次のページで「金属元素の仲間」を解説!/

金属元素の仲間

特徴的な性質を持つ金属をご紹介します。

アルカリ金属

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アルカリ金属とは周期表の一番左、第1族に属する元素のうち水素以外のもの(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)が当てはまります。アルカリ金属の物質は炎色反応を示す、融点が低いと言った特徴を持っているのです。

水と反応して強塩基の水酸化物を生じることからアルカリ金属という名が付けられました。

アルカリ土類金属

2族に属する元素のうち、2周期目のBeと3周期目のMgを除いてアルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba、Ra)となります。アルカリ土類金属はアルカリ金属と、土から得られるアルミニウム化合物の間のような性質を持っていることからこの名前が付けられました。

アルカリ金属同様に炎色反応を起こします。柔らかく密度も小さめですが、融点は高いのが特徴です。

金、銀、銅

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金属と言えば金、銀、銅を思い浮かべる人も多いでしょう。

金属の特徴である電気伝導率と熱伝導率を金、銀、銅で比べると銀が最も大きく、銅も銀の9割以上の伝導率を持ちます。一方金は電気伝導率は銀の7割以下で熱伝導率も7割程度しかありません。

液体の金属、水銀

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常温で唯一液体の金属である水銀。水銀はもともと温度計や体温計で使われていました。しかし水銀は毒性が強く1956年には水俣病という公害事件が起こり、体に与える影響が問題となったのです。熊本県水俣市で発生した水俣病は、メチル水銀が原因物質となり中毒性中枢神経疾患が引き起こされ、死者も出ました。

最近はアルコールやデジタルの温度計や体温計が主流となっていますね。

遷移元素

image by PIXTA / 56969585

遷移元素とは3属から11族に属している元素のことです。Fe(鉄)、Ni(ニッケル)などなじみ深い元素が多く分類されています。

遷移元素の最外殻に入っている電子の数は1、2個です。最外殻の電子の数がほとんど同じため族ごとよりも横に並んだ元素の方が、性質が似ている場合もあります。

\次のページで「金属元素と自由電子」を解説!/

金属元素と自由電子

周期表を見ると元素の8割近くが金属元素です。金属元素は自由電子によって金属結合し、金属結晶を作ることができます。この自由電子が、金属が持つ性質に大きく関係しているのです。自由電子によって金属が持つ伝導性、展性、延性、光沢という性質をっしっかりと覚えてください。

金属元素に限りませんが、元素はその族によって同じような性質を持つことが多いです。元素の性質を効率よく理解するためには族を意識してください。化学を楽しく学ぶことは周期表を理解することにあります。時々でいいので眺め、どんな特徴を持った元素がどのように並んでいるのか観察してみて下さい。

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化学

3分で簡単「金属元素」!元家庭教師がわかりやすく解説

今回は「金属元素」について学ぶぞ。

元素は大まかに金属元素と非金属元素に分類される。金属元素とは簡単に説明すると陽イオンになりやすく、自由電子による金属結合をする元素のことです。身の回りにも金属製品はたくさんあるな。この金属元素には金属結合することで様々な金属ならではの特徴を持つ。

金属元素についての知識は結合や無機化学を学ぶうえで欠かせない。そこでなぜ金属は分子を作らないのか?という疑問から理系に進んだリケジョのたかはしふみかが金属元素について説明していきます。

ライター/たかはし ふみか

高校生の時、化学の授業で原子の構造やイオンに興味を持ったリケジョ。大学で一番興味を持ったのは周期律についての講義だったが、そのわりに試験の結果は残念だったらしい。ちなみに試験前の勉強法は最初にノートを全部書き写し、要点を復習するというものだった。

金属元素とは

金属元素」とは金属を構成する元素のことです。金属といえば身近なものではAu(金)、Fe(鉄)、Na(ナトリウム)などがありますね。どんな性質があるのか、どんな元素が金属元素に分類されるのかということを確認していきましょう。

周期表から見る金属元素

周期表から見る金属元素

image by Study-Z編集部

化学の教科書に必ず掲載されている元素周期表。周期表は縦に18列、横に7列の細長い形をしていて、元素番号順に元素が並べれらています。この元素は大きく金属元素と非金属元素に分けることができるのです。電子を放出して陽イオンになりやすい金属元素は周期表の左側に集まっています。例外が原子場号1番のH(水素)。これは1族で唯一の非金属元素です。なお、金属元素と貴金属元素の両方の性質を持つ両性元素もありますが、周期表を見ると金属元素に分類されています。

両性元素 Al(アルミ)、Zn(亜鉛)、Sn(スズ)、Pb(鉛)

金属元素の特徴と構造

金属には次のような特徴があります。

・展性   叩くと薄く広がる

・延性   金属を引っ張ると細長い線状に伸びる

・伝導性  電気や熱を通しやすい

・光沢   金属の表面で光が反射される

これらの性質は自由電子を持つ金属元素の構造に由来しています。

image by Study-Z編集部

原子は原子核(陽子と中性子)とその周りを飛ぶ電子からできています。金属元素が集まって金属結晶を作る場合、この電子は金属の中を自由に移動し、すべての原子の中で共有されれているのです。この電子を自由電子と呼びます。

この自由電子が自由に動き回るために金属は熱や電気が効率よく伝わり(伝導性)、結合に方向性がないために外から力が加わって原子の配列が崩れても結合が切れてしまうことがありません(展性延性)。また、自由電子があることで光が中まで届かず表面で反射するため、金属は光沢を持っています。

ところで金属の液体と固体ではどちらの方がより大きな電気伝導性を持つ(電気抵抗が小さい)のでしょうか?答えは固体の金属。なぜなら温度が高いと自由電子の動きが、振動の大きくなった金属イオンに妨げられてしまうからです。

金属元素と非金属元素

元素は金属と非金属に分けることができます。非金属とは金属元素ではない元素のことで、その種類は20種類程度。元素のほとんどが金属元素なのですね。非金属にはH(水素)やC(炭素)などの元素があります。また陰イオンになりやすいハロゲンや、安定した希ガスも非金属に含まれているのです。

ハロゲンや希ガスについてはこちらで確認してください。

金属元素・非金属元素と結合

金属元素・非金属元素と結合

image by Study-Z編集部

先ほど金属元素は金属結合によって金属結晶を作ることを説明しました。そして非金属元素が集まって物質を作る時は共有結合をします。さらに金属元素と非金属が結合するときはイオン結合が行われるのです。

酸素や水素、水などの分子は構成する原子を使って分子式で表されます。一方、イオン結晶や金属をのように無限に原子が組み合わさることのできる物質は元素の最も簡単な整数比で組成式で表されるのです。

そして分子の場合、結合した原子の総和を分子量と呼びます。また、イオン結晶や金属結晶は構成する元素を最も簡単な整数比で表したときの総和を式量と呼ぶのです。分子量と式量はその物質が1molある時に何gになるのか、を表しています。分子を作るものは分子量、分子を作らず組成式で表されるものは式量となるのですね。

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