化学

元素分類の1つ「遷移元素」とは?元家庭教師がわかりやすく解説

よぉ桜木健二だ。今回は元素の分類のひとつ、「遷移元素」について勉強するぞ。

元素周期表を見ると分かるが、原子はその並びによって様々な特徴を持ち分類されている。そのひとつが今回のテーマ「遷移元素」だ。遷移元素は周期表の真ん中ぐらいにある金属元素で、そのポイントは電子の配置にある。

今回は遷移元素にどんな特徴があるのか、どんな元素が分類されているかを元素周期表マニアの元家庭教師たかはしふみかが解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/たかはし ふみか

高校生の時は化学部に所属し、理科の先生を目指していたリケジョ。国立大の工学部出身で大学時代は中学生の家庭教師をしていた。電子殻に入る電子の規則が面白く、元素周期表マニアに。

「遷移元素」とは

image by PIXTA / 23178741

遷移元素は遷移金属とも呼ばれている元素です。遷移とは「移り変わり」という意味で、これは非金属と金属の間にあり、非金属から金属に移り変わることを意味しています。遷移元素の主な特徴は

金属元素である

色のついた化合物が多い

触媒になるものが多い

化合物によって酸化数が変化する

ということです。遷移元素は3族から11族までの金属元素が該当し、非金属元素はありません。遷移元素がどんな元素かとういうポイントは電子の配置にあります。

遷移元素とセットで覚えたい「典型元素」とは

遷移元素以外の元素は典型元素と呼ばれています。典型元素と遷移元素は周期表の発明者メンデレーエフが名付けました。典型元素は1、2族、12~18族の元素です。1、2族は水素を除いて全て金属元素、12~18族は金属元素と非金属元素が混ざっています。典型元素の最外殻電子の数は族の下一桁と同じになるのです。

例えばナトリウムは1族の元素で最外殻電子はひとつ、アルミニウムは13族で3つの最外殻電子があります。一方、塩素は17族で7個の最外殻電子があるのです。

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メンデレーエフは1869年当時知られていた63種類の元素を原子量の順で並べ、性質ごとに同じ列になるよう配列した。その時の周期表には空欄があった。メンデレーエフはそこに入るのがどんな元素か予想し、それが見事当たった。
元素は族ごとに明確な特徴を持っているということだな。

原子の構造、遷移元素のポイントは電子の配置

原子の構造、遷移元素のポイントは電子の配置

image by Study-Z編集部

まずは原子の構造をおさらいしましょう。

原子は原子核(陽子と中性子)とその周りを飛び回る電子から成り立っています。この電子は適当な数の電子が自由に飛び回っているわけではありません。例えば水素ならひとつ、ナトリウムなら11個の電子を持っています。そしてこの電子はそれぞれ決まった軌道を飛び回りるのです。この電子のごとの軌道の配置も全て原子ごとに決まっています。

電子殻、なぜKから始まるの?

電子殻、なぜKから始まるの?

image by Study-Z編集部

続いて電子の電子殻への入り方を確認していきましょう。原子は原子番号と同じ数の電子を持っています。そしてこの電子は原子核の周りにある、電子殻という電子が運動できる空間を飛び回っているのです。この電子殻は核に近いところからK殻、L殻、M殻と続いて層になっています。

電子殻に入ることのできる電子の数は決まっていて、ある公式で求めることができるのです。原子核から何番目の電子殻ということをnとすると2×n2という式でn番目の電子殻にできる電子の最大の数を求められます。

ところで、なぜ電子殻はKという中途半端なところから始まるのでしょうか?それは電子殻が発見されたとき、まだ内側に電子殻があるかもしれないという事でKから始められました。

軌道

軌道

image by Study-Z編集部

電子殻は軌道によって電子の動ける場所が細かく決められています。K殻はs軌道、L殻はs軌道とp軌道、さらにM殻はs軌道、p軌道、d軌道と原子核から遠い電子殻ほど軌道が増えていくのです。さらにp軌道は3つ、d軌道は5つの軌道に分かれます。この軌道も適当に入るわけではなく入る順序が決められているのです。

image by Study-Z編集部

まず、典型元素の塩素を例に考えてみましょう。塩素は17個の電子を持っています。K殻に2個、L殻に8個、M殻に7個の電子が入っているのです。この軌道を見てみると

K殻の1s軌道に2つ

L殻の2s軌道に2つ、2p軌道に6つ

M殻の3s軌道に2つ、3p軌道に5つ

と合計17個の電子が入っています。また、同じく典型元素で金属元素のマグネシウムは

K殻の1s軌道に2つ

L殻の2s軌道に2つ、2p軌道に6つ

M殻の3s軌道に2つ

の合計12個の電子を持っているのです。

こうやってみると電子は奥から詰めて入っているように見えますね。

一方、同じ金属元素でも遷移元素の場合をを例に見てみましょう。

image by Study-Z編集部

銀の配置は

K殻の1s軌道に2つ

L殻の2s軌道に2つ、2p軌道に6つ

M殻の3s軌道に2つ、3p軌道に6つ、3d軌道に10個

N殻の4s軌道に2つ、4p軌道に6つ、4d軌道に10個

O殻の5s軌道に1つ

の合計47個の電子を持っているのです。N殻にまだ空きがあるのにO殻の軌道に入っていますね。実は電子はあるルールにのっとって入る軌道が決まっています。それによって遷移元素の場合、同じ殻でも埋まっている軌道と埋まっていない軌道があるのです。そのため遷移元素の場合、族が大きくなればなるほど最外殻の電子の数が増えていく、というわけではありません

ここには一体どんなルールがあるのでしょうか?

電子が入るルール

電子が入るルール

image by Study-Z編集部

原子の最外殻は8つの電子を持った時に安定しるようになっています。これは希ガスの電子配置ですね。これをオクテット則といいます。1つの軌道には入れる電子は2つまでで、その電子は反対向きのスピンを持っているのです。

電子はエネルギーの低い軌道から入ります。軌道をエネルギーが低い順に並べると

1s〈2s〈2p〈3s〈3p〈4s〈3d〈4p〈5s〈4d

という順で続いていくのです。電子殻ごとに軌道を並べると同じ殻同士では電子の入ることのできる数が少ない軌道の方がエネルギーが小さくなっていますね。ただし電子殻が大きくなるほどエネルギーが大きいのかというとそういうわけでもありません。

このような電子の配置に関する規則はパウリの排他原理フントの規則と知られている法則です。

image by Study-Z編集部

典型元素は最外殻の電子が増え、遷移元素は最外殻よりも内側の電子殻の電子が増えているのがわかりますね。

なお、この入り方にも例外はあるため、軌道の入り方をみるとあれ?と思うところがあるでしょう。そこまで行くとかなりハイレベルになるので今回は省略します。

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今回は大学の講義で学ぶレベルで少々難しい。知らなくても定期テストや入試では困らないだろう。しかし、周期表や元素の性質を理解する上で欠かせない知識だ。化学を本気で学びたい奴はぜひ理解してくれ。

周期表から見る遷移元素

周期表から見る遷移元素

image by Study-Z編集部

周期表を見てください。冒頭でも説明しましたが、3族から11族までは遷移元素に該当します。そしてはその他の元素は典型元素となるのです。遷移元素はすべて金属元素となり、典型元素には非金属元素、金属元素の両方が該当します。

周期表を見ると希ガスってなに?アルカリ金属ってなんだっけ?ハロゲンとは?同族元素?という人も多いでしょう。こちらの記事も読んでみてくださいね。

遷移元素の仲間

最後に遷移元素の仲間を紹介します。他にも遷移元素はたくさんあるので、教科書や資料朱で確認してくださいね。

金(Au)延性と展性に最もづぐれた金属

銀(Ag)電気伝導率、熱伝導率に最も優れた金属

銅(Cu)銀に次ぐ電気伝導性で、安価なことから電線や回路に用いられている

鉄(Fe)安価で入手しやすく加工しやすいことから、器具や工具として文明に大きく貢献してきた

遷移元素がわかると元素周期表がもっとおもしろい

今回は大学レベルの少し難しい内容となっています。遷移元素の特徴は最外殻電子と大きく関わっていて、電子軌道への理解が欠かせないからです。

遷移元素に限らず、化学を学ぶ時には原子の作りや周期表に関する知識が欠かせません。練習問題を解いたり暗記することも大切ですが、どんな元素があるのかなと周期表を眺めることも有効な勉強法です。遷移元素や希ガスなど元素の分類はその特徴を覚えてしまえば簡単に問題を解くことができます。授業やテキストの要点をしっかりと確認し、試験や入試に備えてくださいね。

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