どんな生き物が共生したのか?
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ミトコンドリアと葉緑体のもつDNAの研究などから、どんな生物が共生したのかがおおむねわかってきています。
ミトコンドリアの由来となったと考えられている生物はアルファプロテオバクテリア。このアルファプロテオバクテリアは好気性細菌とよばれる細菌類で、酸素を使ってエネルギーを作り出すことができる生物です。細胞内ではたらくミトコンドリアと同じような機能をもっていることがわかるでしょう。
葉緑体の方は、藍藻(シアノバクテリア)の仲間が共生したと考えられています。具体的な種類までははっきりしていませんし、その種が現在まで残っているかもわかりませんが、これからの研究で解明されてくるかもしれません。
提唱者は?
細胞内共生説の提唱者としてよく教科書に出てくるのは、リン・マーギュリスという米国の女性生物学者です。1970年にマーギュリスが大々的に細胞内共生説を発表したことで、多くの人が注目するようになりました。
Jpedreira – Self-published work by Jpedreira, CC 表示-継承 2.5, リンクによる
しかしながら実際は、マーギュリスよりも先にミトコンドリアや葉緑体が別の生物由来だと考えた科学者が複数いたんです。ミトコンドリアや葉緑体が細胞内で独自に分裂するという指摘が19世紀の終わりごろから始まり、それぞれが独自のDNAをもっていることなどが明らかになっていくにつれ、多くの研究者が「細胞内共生が確からしい」と考えるようになっていきました。マーギュリスはそれらの説をまとめ、著書として大々的に発表した人です。
ちなみに、マーギュリスが細胞内共生説を発表したときには、ミトコンドリアと葉緑体だけでなく「鞭毛と中心体も、スピロヘータという別の生物の共生によってできたものだ」と述べていました。しかしながらこの点については、その後の研究で間違いであるという結果が出ています。
私たちの細胞も、生物の共生のたまもの?
「私たちの細胞の中に、別の生き物が住み着いているのだ!」なんていうと、まるでSF小説のようですよね。細胞内共生説だけでなく、そもそも”私たちの細胞は地球の歴史の中でどのように生じてきたのか”ということについては、まだ解明されていない点もたくさんあります。これからどのように研究が進展するのかが楽しみです。