ミトコンドリアと葉緑体の不思議
ミトコンドリアや葉緑体を教科書などで見たことがあるでしょうか?大体のイラストでは、これらはちいさく、静止した粒のように描かれているかと思います。しかしながら実際のところ、これらの細胞小器官は細胞の分裂とは関係なく半自律的に分裂し、細胞内で数を増やしたり減らしたりしているんです。
ミトコンドリアにいたっては細長く伸びたり、縮んだり、ちぎれたりしています。まるで、細胞内にとりこまれてしまった別の生き物のように…。
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さらに、ミトコンドリアと葉緑体には、核にあるDNAとは別のDNAが存在しています。それぞれミトコンドリアDNAや葉緑体DNAなどとよばれ、核にあるDNA(核DNA)とは区別されているのですが…これもまた、独自のDNAをもった別の生物が細胞内に住み着いているように見えませんか?
Kristian Peters — Fabelfroh – 自ら撮影, CC 表示-継承 3.0, リンクによる
ミトコンドリアや葉緑体に注目が集まり、それぞれの研究が進むと、新しい“細胞内共生説の根拠”が見つかりました。それが、「ミトコンドリアや葉緑体が二重膜になっている」という事実です。
ミトコンドリアや葉緑体がまだ別の生物として独立していたころ。それぞれは一重の膜(細胞膜)によって細胞が構成されていたと研究者は考えます。これらが宿主=将来真核細胞となる生物の細胞に取り込まれたとき、宿主の細胞膜が侵入した生物を包み込んでしまった。膜が二重になっているのはその時の名残であると説明されているんです。
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さて、ここまでの話をまとめましょう。
「真核細胞内のミトコンドリアと葉緑体はもともと別の生物であり、細胞内に共生したことが起源となった」と考えるのが細胞内共生説。その論拠には以下のような点が挙げられます。
・ミトコンドリアや葉緑体は、半自律的に分裂・増殖している
・ミトコンドリアや葉緑体は、独自のDNAをもっている
・ミトコンドリアや葉緑体は、二重膜でできている
現在でも、ミトコンドリアや葉緑体内でのタンパク質合成や、それらと核DNAとの関係が研究されています。将来的には、これらにより強力な根拠が加わるかもしれません。
私たちのからだをつくる細胞にはミトコンドリアが存在しますが、それがもともと別の生き物だっただなんて、なんだか不思議な感じがしませんか?
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