地学

すべてが凍った?原生代と全球凍結イベントを理系ライターがわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回は原生代と全球凍結イベントについて解説していくぞ。

原生代は生物の化石が大量に出土するようになる前の最後の時代だ。生物は原初的な生物しか存在していないが、何度か地球環境の激変があったようだ。その一つが全球凍結だ。激変の原生代について学んで見よう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

tohru123

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

原生代と全球凍結イベントについて

image by iStockphoto

約25億年前から約5億4100万年前までを原生代と呼びます。原生代には地球環境が激変するような大規模な現象や、生物の大きな進化が起こりました。そのためインパクトのある時代ですが、よく考えてみれば原生代は約20億年もあります。地球の年齢が約46億年ですので、原生代の長さは地球の歴史の約半分です。これだけの長さがあれば、そりゃ地球にもいろんなことが起こるだろうという気もします。

今回紹介するのは全球凍結、大酸化、生物の大進化です。他にもあったと思いますが、この3つが地球史上でも特に大きな出来事だと考えられています。上記の画像はシアノバクテリアによって生成されるストロマトライトの画像です。

原生代初期の全球凍結

Dugdale and Murray Glacier - Antarctica.jpg
Commander Jim Waldron USNR (Retired), National Science Foundation – Antarctic Photo Library, U.S. Antarctic Program [1], パブリック・ドメイン, リンクによる

原生代の初期は寒冷期でした。約24億5000万年前から約22億2000万年の間に、3回ないし4回の氷河期が訪れたと考えられています。さらに、この中のマクガニアン氷河時代とよばれる約22億2000万年前の氷河時代には、緯度11度という赤道近くまで氷河が進出していた証拠が見つかりました。

地球全体が氷河に覆われてしまう現象を全球凍結イベント、もしくはスノーボールアースイベントと呼びます。この原生代初期の氷河時代も全球凍結だったのではないかと考えられているようです。この頃には原始的な微生物が存在していたと考えられていますが、全球凍結中にどうやって生物が生き延びていたのかなど、よくわかっていないことも多くあります。

上記の画像は現在の南極大陸の氷河の様子です。

大酸化イベント

糸状性の藍藻
ja:User:NEON / User:NEON_ja投稿者自身による作品, CC 表示-継承 2.5, リンクによる

次の原生代の大イベントは大酸化イベントです。原生代初期の約24億5000万年前から約22億年前の間に、地球の酸素濃度が急激に上昇したと考えられています。これが大酸化イベントと呼ばれるものです。地球にはもともとほとんど酸素がなかったのですが、この時期から地球に酸素が豊富に存在するようになったと考えられています。ただし、この時点での酸素濃度は現在の100分の1から1000分の1程度だったようです。

酸素が急激に上昇した理由ははっきりしていませんが、地球の酸素を増やしたもともともの原因はシアノバクテリアなどの光合成をおこうなう生物だと考えられています。二酸化炭素から酸素つくる生物が多数発生したことにより、地球の酸素濃度が上昇していったようです。

上記の画像は現在のシアノバクテリアの画像になります。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

全球凍結は、現在の南極のような状態に地球全部がなってしまうというイメージを描けばいいだろう。もともと地球には酸素がほぼ存在しなかったこと、酸素を豊富にしたのは生物であること、酸素がない環境で生きていた生物にとって酸素は猛毒であること、これらのことは酸素呼吸をする動物である我々人間にとって非常に興味深いことだ。覚えておいて損はないだろう。

真核生物の出現

有殻アメーバの1種ナベカムリ
ja:User:NEON / commons:User:NEON_ja – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 2.5, リンクによる

酸素が無かった環境に生息していた生物にとって、酸素は猛毒であり、酸素のある環境では生存することができません。しかし生命とはすごいもので、毒である酸素を逆に利用する生物が登場してきます。これが好気性生物です。ちなみに、酸素がない環境に適応している生物は嫌気性生物と呼ばれます。

さらに、我々もその一部である生物が大酸化イベントの後に地球上に初めてあらわれました。それが真核生物です。真核生物は複数の微生物が共生をすることによって生まれたと考えられていて、たとえば植物の細胞に存在する葉緑体はシアノバクテリア、我々動物の細胞に存在するミトコンドリアは、アルファプロテオバクテリアに近縁の好気性細菌が共生したものだと考えられています。

上記は真核生物であるナベカムリの画像です。

原生代後期全球凍結

MSH80 eruption mount st helens 05-18-80.jpg
Austin PostHuge tif converted to jpeg and caption from USGS Mount St. Helens, Washington May 18, 1980 Eruption Images, パブリック・ドメイン, リンクによる

原生代後期の約7億2000万年前から約6億3500万年前の期間はスターチアン氷河時代とマリノアン氷河時代という二つの大氷河時代がありました。この二つの大氷河時代も全球凍結であったと考えられています。マリノアン氷河時代の継続時間は約400万年と標準的な時間なのですが、スターチアン氷河時代はなんと5700万年も続いたようです。

そもそも全球凍結からどうやってもとの温暖な気候にもどるのでしょうか。それは火山活動によってだと考えられています。火山活動による二酸化炭素の放出が数百万年も続けば、温室効果によって全球凍結から脱出できるようです。そのため、スターチアン氷河時代にはなんらかの原因によって火山活動が10万分の1以下になっていたと推測されています。

多細胞動物の出現と大型化

約6億3000万年前ごろの地層から多細胞動物と思われる化石が発見されています。同時に、その頃またも酸素濃度の急激な上昇があったようです。この大酸化イベントによって大気中の酸素濃度はほぼ現在と同じレベルになったと考えられています。その後、地球最初の大型の生物化石が登場し始め、これがエディアカラ生物群です。

エディアカラ生物群は大きいものは数十センチから1、2メートルにもなります。それは、平べったいエアマットのようなディッキソニア、でんでん虫のようなキンベラ、円形の体がいくつもの節に分かれたヨルギア、葉っぱのような形をした最長2メートルにもなるチャルニアなどです。

ただこれらの生物と現在の生物の関係はよくわかっていません。エディアカラ生物群の多くは原生代末までに絶滅してしまいます。上記の画像はディッキソニアの化石画像です。

no-img2″>
 <figcaption class=桜木建二

生物というのは素晴らしいもので、急激な環境の変化がおこっても必ず新しい環境に適応する生物が生まれてくるものだ。原生代には真核生物と多細胞生物という、我々もその一部である生物が出現している。原生代の終りからいよいよ我々生物の時代が始まるといえるだろう。微生物を無視すればの話だが。

それぞれのイベントは関係しているのか?

それぞれのイベントは関係しているのか?

image by Study-Z編集部

今回、全球凍結、大酸化、生物の大進化を取り上げましたが、時期を見ているとなんとなくそれぞれは関連しあっているのではないかという気がしてきます。原生代初期には、全球凍結、大酸化、真核生物の出現。原生代後期には、全球凍結、大酸化、多細胞生物の出現と、どれがどれの原因かはわかりませんが、ひとつながりの現象のようです。

科学者達もそう考える人が多いようですが、まだはっきりしたことはわかっていません。たまたま時期が近いだけで、まったく別々の独立した現象かもしれないのです。もしくは、この三つの現象を引き起こす根本的な現象が存在しているのかもしれません。原生代も非常に遠い過去であるため証拠探しが難しいのですが、研究者には鋭意努力してもらい、原生代についてより詳しく明らかにしてもらいたいものです。

Share:
tohru123