逆カルノーサイクルとは?
ここまで考えてきたカルノーサイクルは、熱エネルギーを仕事に変換するものでした。では、逆に、仕事によって熱エネルギーを移動させる方法はあるのでしょうか。実は、あります。それが逆カルノーサイクルです。このように、仕事によって熱エネルギーを移動させる装置のことをヒートポンプもしくは冷凍サイクルといいます。これらは、エアコンや冷蔵庫などに用いられていますよ。逆サイクルの場合も、熱機関の性能を表すCOPという指標があります。
実用化されている様々な熱機関
カルノーサイクルは、仮想的な熱機関であり、実際には存在しません。ですが、カルノーサイクルの理論などをもとに、様々な実用的な熱機関が研究開発されてきました。最後に、これらの一部を紹介しますね。
私たちが利用している自動車に搭載されているエンジンのサイクルには、オットーサイクル、ディーゼルサイクル、サバテサイクルなどがあります。これらは、燃料を系内で燃やしていることから、内燃機関と呼ばれていますよ。飛行機のエンジンに利用されているブレイントンサイクルも内燃機関です。
一方、系外で燃料を燃やす外燃機関も存在します。火力発電所や原子力発電でタービンを回転させるために使われるランキンサイクルは、外燃機関です。また、ランキンサイクルを改良したものに、再熱サイクル、再生サイクルがあります。そして、逆サイクルとしては、冷房や冷蔵庫などに使用されている蒸気圧縮式冷凍サイクルなどが有名です。
カルノーサイクルは熱力学の基本
カルノーサイクルは実際には存在しない熱機関です。しかしながら、この熱機関の理論をもとに、熱力学第二法則やエントロピー、エクセルギーといった概念が誕生しました。これらは、いずれも熱力学を学ぶ上で、重要なキーワードです。
そして、このような概念を理解するためには、カルノーサイクルについてしっかりと説明ができる必要があります。ぜひ、この機会にカルノーサイクルについて理解を深めてください。



