今回は「カルノーサイクル」について解説していきます。

「カルノーサイクル」は、ニコラ・レオナール・サディ・カルノーが考案した仮想的な熱機関のことです。仮想的ということは、「カルノーサイクル」は実際には存在しない。ですが、「カルノーサイクル」の理論を考えることで、熱力学で役に立つ数多くの事実を説明することができるようになる。ぜひ、この機会に「カルノーサイクル」について学んでみてくれ。

エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。エネルギー問題を考える上で重要になる熱力学にも詳しい。

熱機関とは?

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カルノーサイクルについて学ぶ前に、熱機関とはどのようなものであるかを復習しておきましょう。熱機関とは、熱エネルギーを力学的な仕事に変換する装置です。一般的に、力学的な仕事とは、往復運動回転運動などの動力のことをさします。自動車のエンジン飛行機のジェットエンジン火力発電所のタービンなどはすべて熱機関です。このようなことから、熱機関は私たちの生活を支える重要な技術であることが理解できるかと思います。

カルノーサイクルとは?

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カルノーサイクルは、フランス人の物理学者であるニコラ・レオナール・サディ・カルノーが考案した仮想的な熱機関です。仮想的な熱機関という言葉の通り、カルノーサイクルは、実際には存在しない思考実験における熱機関ですよ。このカルノーサイクルの考え方を原点として、熱力学第二法則エントロピーといった熱力学の重要な概念が登場しました。

理論上、カルノーサイクルの熱効率を超える熱機関は存在しません。この事実を知っておくことで、熱機関の改良を行う際、無駄な努力をせずに済むのです。これは、エクセルギーの概念につながります。エクセルギーとは、取り出すことのできるエネルギーの最大値のことです。

以上のことから、カルノーサイクルの考え方を理解することは、熱力学を学ぶ上で非常に重要だと言えます。この記事では、カルノーサイクルの原理と理論熱効率を解説しますね。

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より詳しくカルノーサイクルについて学ぼう!

カルノーサイクルのプロセス

カルノーサイクルのプロセス

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ここでは、カルノーサイクルのプロセスについて学びましょう。カルノーサイクルのプロセスは、等温変化断熱変化から構成されますよ。等温変化では、温度を一定に保ちつつ変化させます。温度が一定であることから、内部エネルギーは変化しません。また、ボイル・シャルルの法則からpV=(一定)となります。

一方、断熱変化は、系内と外部で熱量のやりとりがありません。このことから、エントロピー変化はゼロになります。そして、ポアソンの法則からpVκ=(一定)となりますよ。κは、気体の定積モル比熱CV、気体の定圧モル比熱をCpを用いて、Cp/CVと表せます。

カルノーサイクルでは、断熱圧縮→等温膨張→断熱膨張→等温圧縮を繰り返して、熱エネルギーを運動エネルギーに変換するのです。このことと、pV=(一定)およびpVκ=(一定)という式を考慮すると、カルノーサイクルにおいて圧力と体積の関係は図のようになります。また、このように、圧力と体積の関係を表した図をPV線図といいますよ。

カルノーサイクルの理論熱効率

カルノーサイクルの理論熱効率

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ここでは、カルノーサイクルの理論熱効率について考えていきます。熱効率とは、系に与えられた熱量のうち、どの程度が仕事に変換されたかを表す指標です。(熱効率)=(系が外部にした正味の仕事)/(系に与えられた熱量)となります。

それでは、系が外部にした正味の仕事から考えてみましょう。系が外部にした正味の仕事は、PV線図の曲線で囲まれた部分の面積に等しくなります。この面積は積分を用いて、計算することができますね。積分の計算結果は、nR(TH-TL)ln(V2/V1)となります。ここで、nは系内の物質量、Rは気体定数、THは高熱源温度、TLは低熱源温度です。また、V1およびV2は等温膨張前後の絶対温度ですよ。

続いて、系に与えられた熱量について考えてみましょう。断熱膨張および断熱圧縮では、系の内外で、熱エネルギーのやり取りは行われません。ですから、等温変化の部分のみに注目しますよ。また、等温圧縮では系内から系外に、熱エネルギーが捨てられます。したがって、等温膨張の過程で熱エネルギーが与えられるのです。このとき、与えられる熱量はnRTHln(V2/V1)となりますよ。

以上のことから、(熱効率)={nR(TH-TL)ln(V2/V1)}/nRTHln(V2/V1)=1-TL/THとなります。つまり、カルノーサイクルの理論熱効率は、高熱源と低熱源の温度だけに依存するのです。この式から、カルノーサイクルの理論熱効率はがTH大きいほど、TLが小さいほど高められることもわかりますね。

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逆カルノーサイクルとは?

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ここまで考えてきたカルノーサイクルは、熱エネルギーを仕事に変換するものでした。では、逆に、仕事によって熱エネルギーを移動させる方法はあるのでしょうか。実は、あります。それが逆カルノーサイクルです。このように、仕事によって熱エネルギーを移動させる装置のことをヒートポンプもしくは冷凍サイクルといいます。これらは、エアコンや冷蔵庫などに用いられていますよ。逆サイクルの場合も、熱機関の性能を表すCOPという指標があります。

実用化されている様々な熱機関

カルノーサイクルは、仮想的な熱機関であり、実際には存在しません。ですが、カルノーサイクルの理論などをもとに、様々な実用的な熱機関が研究開発されてきました。最後に、これらの一部を紹介しますね。

私たちが利用している自動車に搭載されているエンジンのサイクルには、オットーサイクルディーゼルサイクルサバテサイクルなどがあります。これらは、燃料を系内で燃やしていることから、内燃機関と呼ばれていますよ。飛行機のエンジンに利用されているブレイントンサイクルも内燃機関です。

一方、系外で燃料を燃やす外燃機関も存在します。火力発電所や原子力発電でタービンを回転させるために使われるランキンサイクルは、外燃機関です。また、ランキンサイクルを改良したものに、再熱サイクル再生サイクルがあります。そして、逆サイクルとしては、冷房冷蔵庫などに使用されている蒸気圧縮式冷凍サイクルなどが有名です。

カルノーサイクルは熱力学の基本

カルノーサイクルは実際には存在しない熱機関です。しかしながら、この熱機関の理論をもとに、熱力学第二法則やエントロピー、エクセルギーといった概念が誕生しました。これらは、いずれも熱力学を学ぶ上で、重要なキーワードです。

そして、このような概念を理解するためには、カルノーサイクルについてしっかりと説明ができる必要があります。ぜひ、この機会にカルノーサイクルについて理解を深めてください。

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熱力学物理理科

仮想的熱機関「カルノーサイクル」とは?理系学生ライターがわかりやすく解説

今回は「カルノーサイクル」について解説していきます。

「カルノーサイクル」は、ニコラ・レオナール・サディ・カルノーが考案した仮想的な熱機関のことです。仮想的ということは、「カルノーサイクル」は実際には存在しない。ですが、「カルノーサイクル」の理論を考えることで、熱力学で役に立つ数多くの事実を説明することができるようになる。ぜひ、この機会に「カルノーサイクル」について学んでみてくれ。

エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。エネルギー問題を考える上で重要になる熱力学にも詳しい。

熱機関とは?

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カルノーサイクルについて学ぶ前に、熱機関とはどのようなものであるかを復習しておきましょう。熱機関とは、熱エネルギーを力学的な仕事に変換する装置です。一般的に、力学的な仕事とは、往復運動回転運動などの動力のことをさします。自動車のエンジン飛行機のジェットエンジン火力発電所のタービンなどはすべて熱機関です。このようなことから、熱機関は私たちの生活を支える重要な技術であることが理解できるかと思います。

カルノーサイクルとは?

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カルノーサイクルは、フランス人の物理学者であるニコラ・レオナール・サディ・カルノーが考案した仮想的な熱機関です。仮想的な熱機関という言葉の通り、カルノーサイクルは、実際には存在しない思考実験における熱機関ですよ。このカルノーサイクルの考え方を原点として、熱力学第二法則エントロピーといった熱力学の重要な概念が登場しました。

理論上、カルノーサイクルの熱効率を超える熱機関は存在しません。この事実を知っておくことで、熱機関の改良を行う際、無駄な努力をせずに済むのです。これは、エクセルギーの概念につながります。エクセルギーとは、取り出すことのできるエネルギーの最大値のことです。

以上のことから、カルノーサイクルの考え方を理解することは、熱力学を学ぶ上で非常に重要だと言えます。この記事では、カルノーサイクルの原理と理論熱効率を解説しますね。

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