3.体内にも「塩分バランス」がある
水やお茶はぴったりのように思いますよね。味がさっぱりしているのでがぶ飲みにも向いているように感じてしまいます。しかし、それが「水中毒」の原因になってしまうのです。
3-1.ナトリウム濃度の変化が原因
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水分を十分に摂取しなかったり過度の下痢をしてしまったり、またその他の原因によって大量の水分が失われてしまっている状態が「脱水」です。一方で、過剰な水分摂取によって起こることを「水中毒」といいます。どちらも体内の水とナトリウムのバランス(血液中のナトリウム濃度)が崩れることによるものです。
「脱水」の場合、水が少なくなることでナトリウム濃度が上がる高ナトリウム血症の状態になっています。反対に「水中毒」では水の割合が増えることによって低ナトリウム血症の状態であるといえるでしょう。
3-2.水中毒の症状とは
体内の塩分バランスというのは、生体機能を保つために非常に重要です。体内のナトリウムイオン濃度とそれに伴う症状の変化を見ていきましょう。
通常135~145mEq/l(※mEq/lは電解質の単位)
高ナトリウム血症
160mEq/l=脳内出血・クモ膜下出血の危険性増
145以上mEq/l=昏睡、譫妄、興奮
低ナトリウム血症
130mEq/l=軽度の疲労感
120mEq/l=頭痛、嘔吐、精神症状
110mEq/l=性格変化、けいれん、昏睡
100mEq/l=呼吸困難などで死亡
軽いめまいやふらつきは初期症状です。自分の体調をチェックしながら、大きな症状として現れる前に対策をとりたいですね。
3-3.水中毒を防ぐために
熱中症は大量に汗をかき、体に熱がこもってしまっている状態です。体内の塩分が外に出て行ってしまうことで血液内のナトリウムが不足することも原因の1つですね。
こうして塩分バランスがくずれてしまっている状況でさらに水だけを摂り続けたらどうなるか想像がつくでしょう。体内のナトリウム量は変わらなくても、水で薄められることで濃度は下がり続けます。これによって水中毒の症状となってあらわれるのです。
これを防ぐためには適切な塩分バランスを保つ必要があります。そのために有効なのがスポーツドリンクや経口補水液、麦茶などの塩分入り(ミネラル豊富な)飲み物ということですね。
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