
実はそっくり「電気伝導」と「熱伝導」理系ライターがわかりやすく解説
電気が流れる上でのパワー源とは?

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電気が流れる=電荷の移動
では、電荷が移動するためには何が必要か?例えば、イラストのA、Bの状態を見比べてみましょう。「移動可能」と記した左端の-電荷のみ自由に移動できるものとして、A,Bどちらの場合の方が右に流れやすいでしょうか。
-電荷は、+電荷とくっつきたく、-電荷と離れたいもの。
より、左側にー電荷が、右側に+電荷が多く存在するBのケースの方が移動しやすいですね。電圧とは、このようにある地点とある地点の電荷の差(電位差)のこと。つまり、電圧が電荷移動(=電気伝導)のパワー源となります。
電気抵抗R=(1/σ)(l/S)
σ:電気伝導率、 l:電気が流れている物質の長さ、 S:電気が流れている部分の断面積
電気伝導率は材質ごとに決まった値で、電気を流しやすい物質ほど大きい値、流しにくい物質ほど小さい値。また電気伝導率は、電子が物質内をどれだけスムーズに移動できるかの指標であり、結合構造によって決まりまるもの。
同じ電気伝導率でも、長さが長いほど、断面積が小さいほど電気は流れにくくなります。物質内を移動していくのは、電気にとって「大変」なこと。
長さが長い→大変な状態が長く続く。ゴールまで到達できる電荷が減ってしまう。
断面積が小さい→通り道が狭いから流れにくい
といったことから、電気の流量(電流)が小さくなるのです。
電気抵抗率ρ
教科書では電気伝導率ではなく、電気抵抗率が用いられることもあります。
電気抵抗率ρ=1/電気伝導率。逆数の関係。
この記事では、熱伝導との対比をわかりやすくするため、電気抵抗率の逆数である電気伝導率を用いています。
3.熱伝導の式
熱伝導の場合も、パワー=抵抗x流量の形。
熱伝導においては、
パワー→温度差
抵抗→(1/λ)・(l/S)と表されます。
λ:熱伝導率、 l:熱が流れている物質の長さ、 S:熱が流れている部分の断面積
まとめると、温度差=(1/熱伝導率)・(長さ/断面積)
熱伝導の場合、流量(=移動する熱量)は想像通りですが、抵抗(熱抵抗)とパワーに「?」マークがつきますね。
まずは、熱移動のパワー源について。
熱移動が起きる条件
熱は高温側→低温側の向きに流れるもの。逆にいうと温度差がなければ、熱の移動は起こりえません。
つまり、温度差こそ熱伝導のパワー源。
電位差と温度差
熱、電気ともどこかとどかかで「差異」がある場合に移動が起きるもの。熱伝導なら温度差、電気伝導では「電位差(電圧)」。
こう考えると、熱伝導、電気伝導、両者非常によく似ていますね。
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