今回は「メイラード反応」について詳しく勉強していこう。

化学は苦手、でも料理は好き。そんなやつもたくさんいるんじゃないか?そこで今回は料理に関する化学を解説しよう。

おいしいの秘訣・メイラード反応について化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.おいしい料理の決め手は?

今回は料理に関する化学をテーマに解説していきます。傾向として、女性のほうが数学や化学などのいわゆる理系に苦手意識を持っている人が多いでしょう。また、料理やお菓子作りは女性の趣味の定番ですよね。そんな「化学は苦手だけど料理には興味がある」という人にもぴったりのテーマになりそうです。

さて、誰しも食への好みはそれぞれですが、おいしいかどうかを判断するときの基準はそう変わらないはずでしょう。まずはそこから解説していきます。

1-1.味

image by iStockphoto

なんといっても「好みの味であるかどうか」は誰しもが挙げるおいしい料理のポイントでしょう。甘い味付け、しょっぱいもの、辛くてスパイシーな料理など好みは異なっても、その人なりの好みに合うかどうかが重要な決め手ですよね。

料理の味は調理する人の好みによって大きく左右されるものです。その人が苦手とする食材は食卓には上がりにくくなり、どんな食材を使っても使う調味料が同じであれば味付けもどことなく似てくるのは想像に難くないでしょう。だからこそ、たまには外食したりジャンキーなものを食べたいと思ってしまうのはある意味当然かもしれませんね。

1-2.香り

人の味覚は嗅覚に大きく左右されるのをご存じでしょうか。学校の帰り道にカレーのにおいを感じて、急にお腹が空くのを感じたことが一度はあることでしょう。香りがいいものは食べる前から食欲をそそり、よりおいしさを感じるものです。

子供の頃、苦手なものを鼻をつまみながら頑張って食べたという人もいるでしょう。試しに今度鼻をつまみながら何かを食べてみてください。いつものおいしさが半減してしまったように感じるはずです。これが味を構成する一つの要素に香りがあることの証明ですね。

1-3.見た目

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最近はフォトジェニックインスタ映えなどの言葉が流行したように、多くのものに見た目の良さが求められるようになりました。サンドイッチやケーキなど、カットした時の断面の美しさから萌え断という言葉もよく耳にしましたよね。スイーツのようなかわいいものだけでなく、グリル野菜やステーキ、チーズなどは焦げ目がおいしそうに見えることもあるでしょう。

おいしそう イコール おいしいとは言い切れないものの、やっぱり注文したくなるのは見た目のいいメニューですよね。

1-4.その他

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同じ料理を食べていても、その場の雰囲気、一緒に食べる人、その時の体調や心情、空腹度といったその他の要素もおいしさに大きく影響します。一人でゆっくり料理を味わいたい人もいれば、パーティーのようなにぎやかなシーンが好きな人もいますよね。せっかく同じものを食べるのであれば、おいしく食べるための環境づくりというのも大切な要素であるということでしょう。

\次のページで「2.メイラード反応とは」を解説!/

2.メイラード反応とは

それでは今回のテーマであるメイラード反応について見ていきましょう。先述したおいしさの基準「香り」と「見た目」に大きく影響を与える反応で、料理には欠かせない反応です。これを活かすことで料理のおいしさを引き立てることができますよ。

2-1.反応物はアミノ酸と糖

2-1.反応物はアミノ酸と糖

image by Study-Z編集部

メイラード反応とは、糖とアミノ化合物(主にアミノ酸、ペプチドやタンパク質)加熱することによって起こる反応です。これによってメラノイジンと呼ばれる褐色物質が生成するため、 褐変反応とも呼ばれます。反応過程で臭気物質(香気成分)も同時に生成し、これが料理の香りとなるのです。

一般的に糖は甘味、アミノ酸は甘味、苦味、酸味やうま味など、味覚に大きく関わっています。さらに野菜、肉、米、卵、調味料などあらゆる食材に含まれているため、メイラード反応は料理との関係が深い反応といえるでしょう。

この反応によって生成するメラノイジンは、いわゆる「焦げ」を指します。肉に焼き色がついたり、ご飯のおこげ、トーストの焼き目など、これらはすべてメイラード反応による結果なのです。

2-2.生成物がおいしさのカギ

具体例で考えてみましょう。

ステーキ肉は焼き目が付いてくるとジューシーでおいしそうな香りが広がり始めますね。土鍋ご飯はおこげの部分が好きな人も多いでしょう。食パンはカリッとトーストしたほうが香ばしさを感じられます。

例を挙げればまだまだありますよ。コーヒー豆を焙煎したり、黒ビールや醤油、味噌(※)の色付きもこの反応によるものです。(メイラード反応は主に加熱によって起こりますが、味噌のように加熱によらない反応もあるので注意しましょう。)

どれも「見た目」と「香り」の変化がありますね。焦げ目がついたり褐変することによって見た目のおいしさが増すとともに、おいしそうな香りによって食欲をそそられませんか?メイラード反応の効果によって風味がアップするというメリットがありますね。

\次のページで「3.食品の加熱を続けると…」を解説!/

3.食品の加熱を続けると…

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メイラード反応のもととなるアミノ酸は加熱によって香りが変化する物質でもあります。例えばロイシンというアミノ酸は100℃では甘いチョコレートのような香りがするものの、さらに高温で熱するとチーズのような香りに変化してしまうのです。メイラード反応は反応の段階によって生成物が異なり、香りも移り変わっていく反応と覚えておきましょう。

ところで、どんな食材でも加熱をし続ければ黒焦げになってしまいますよね。ここまでいってしまえば、それはもはやメイラード反応ではありません。皆さんもよくご存じの炭化(有機物が加熱によって炭素が残ること)です。あくまでもメイラード反応はこんがりきつね色からおいしそうな焦げ目程度であることがポイントですよ。

4.体内におけるメイラード反応

ヒトの体内にもたくさんの糖とアミノ化合物、特にタンパク質が多く存在していて、常にメイラード反応が起こっています。体を構成するタンパク質が糖と結びつくことで様々な病態や老化に関連するとして研究がされているのです。調理をするときのような急激な反応ではないものの、反応は着実に進んでいるということですね。また、生体内で生成されるメラノイジンだけでなく、食品からも摂取することでの影響も研究が進められています。

だからといって食事からメラノイジンを摂取しないのは通常の生活では不可能です。あまり神経質にならず、野菜も肉もバランスよく食べるようにしたいですね。

メイラード反応を知れば料理上手に?!

メイラード反応糖とアミノ酸やタンパク質といったアミノ化合物の加熱によってメラノイジンが生成する反応です。このメラノイジンは褐色物質であることから、褐変反応とも言われます。見た目の変化だけでなく、この反応によって香り成分が同時に生成することで、料理のおいしさの大きな一因となるでしょう。

普段からよく口にしている食材・食品には広く糖やアミノ化合物が含まれており、メイラード反応はとても身近な化学反応です。化学に対して苦手意識を持っている人も、料理などの違うアプローチから化学への興味を育てていけるといいですね。

イラスト素材引用:いらすとや

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化学理科生活と物質

料理の化学「メイラード反応」を元塾講師がわかりやすく解説

今回は「メイラード反応」について詳しく勉強していこう。

化学は苦手、でも料理は好き。そんなやつもたくさんいるんじゃないか?そこで今回は料理に関する化学を解説しよう。

おいしいの秘訣・メイラード反応について化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.おいしい料理の決め手は?

今回は料理に関する化学をテーマに解説していきます。傾向として、女性のほうが数学や化学などのいわゆる理系に苦手意識を持っている人が多いでしょう。また、料理やお菓子作りは女性の趣味の定番ですよね。そんな「化学は苦手だけど料理には興味がある」という人にもぴったりのテーマになりそうです。

さて、誰しも食への好みはそれぞれですが、おいしいかどうかを判断するときの基準はそう変わらないはずでしょう。まずはそこから解説していきます。

1-1.味

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なんといっても「好みの味であるかどうか」は誰しもが挙げるおいしい料理のポイントでしょう。甘い味付け、しょっぱいもの、辛くてスパイシーな料理など好みは異なっても、その人なりの好みに合うかどうかが重要な決め手ですよね。

料理の味は調理する人の好みによって大きく左右されるものです。その人が苦手とする食材は食卓には上がりにくくなり、どんな食材を使っても使う調味料が同じであれば味付けもどことなく似てくるのは想像に難くないでしょう。だからこそ、たまには外食したりジャンキーなものを食べたいと思ってしまうのはある意味当然かもしれませんね。

1-2.香り

人の味覚は嗅覚に大きく左右されるのをご存じでしょうか。学校の帰り道にカレーのにおいを感じて、急にお腹が空くのを感じたことが一度はあることでしょう。香りがいいものは食べる前から食欲をそそり、よりおいしさを感じるものです。

子供の頃、苦手なものを鼻をつまみながら頑張って食べたという人もいるでしょう。試しに今度鼻をつまみながら何かを食べてみてください。いつものおいしさが半減してしまったように感じるはずです。これが味を構成する一つの要素に香りがあることの証明ですね。

1-3.見た目

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最近はフォトジェニックインスタ映えなどの言葉が流行したように、多くのものに見た目の良さが求められるようになりました。サンドイッチやケーキなど、カットした時の断面の美しさから萌え断という言葉もよく耳にしましたよね。スイーツのようなかわいいものだけでなく、グリル野菜やステーキ、チーズなどは焦げ目がおいしそうに見えることもあるでしょう。

おいしそう イコール おいしいとは言い切れないものの、やっぱり注文したくなるのは見た目のいいメニューですよね。

1-4.その他

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同じ料理を食べていても、その場の雰囲気、一緒に食べる人、その時の体調や心情、空腹度といったその他の要素もおいしさに大きく影響します。一人でゆっくり料理を味わいたい人もいれば、パーティーのようなにぎやかなシーンが好きな人もいますよね。せっかく同じものを食べるのであれば、おいしく食べるための環境づくりというのも大切な要素であるということでしょう。

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