今回は「光の反射」について解説していきます。

「光の反射」は、小学校の理科でも学習するように、直感的に理解しやすい現象です。ですが、深く掘り下げて学んでいくと、まだまだ知らないことが多くあることに気づくぞ。この記事では、中学校までに学習する基本的な知識の解説にとどまらず、マニアックな物理法則にも触れていく。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

はじめに

image by PIXTA / 44149122

は、水面波と同様に、として扱うことができます。それゆえ、他の波と同じように、光でも反射屈折回折干渉といった現象を観測することができるのです。そして、これらの現象を数式で表す場合も、音や水面波と同様の式で表現できますよ。

以上のような事実がある一方で、光は、音や水面波にはない性質も有しています光の粒子性などが、これに当てはまりますね。

この記事では、はじめに、中学校や高校の理科で学習するような光、音などに共通する反射の法則を解説しますよ。そのあとに、光特有の反射に関する話題にも触れてみます。加えて、光の反射の性質から、身近な現象を物理学的な視点で説明することにも挑戦してみましょう

反射の法則

反射の法則

image by Study-Z編集部

光は物体の表面にあたると、跳ね返り、元とは違う方向へと進路を変えます。これを光の反射といいますよ。ここでは、光が平らな面へ斜めに入射した場合を考察していきましょう。

光が平らな面へ斜めに入射したとき、平面上の光が当たった点を通る法線を考えます。この法線と入射光のなす角度を「入射角」、法線と反射後の光のなす角度を「反射角」といいますよ。一般に、入射角と反射角の大きさは恒等的に等しくなることが知られています。これを、反射の法則といいますね。

光の反射についてより深く学ぼう!

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光の反射の位相の関係

ここでは、光の反射と位相の関係について学んでいきましょう。位相とは、周期性のある波が振動しているとき、周期の中の位置関係を表す指標です。また、ここでは屈折率という用語も登場します。屈折率とは、物質に固有の値で、物質中での光の進みにくさを表しますよ

屈折率の小さい物質の中を光が進み、屈折率が大きい物質の表面で反射した場合は、固定端反射となります。つまり、反射するときに、反射光は入射光に対して逆位相に変わるのです。空気中を進む光が、ガラス表面で反射した場合などが、これに該当しますよ。

一方、屈折率の大きい物質の中を伝わってきた光が、屈折率が小さい物質の表面で反射した場合は、自由端反射となります。つまり、反射光と入射光の位相は同じになるのです。ガラスの中を進む光が、水面で反射した場合などが、これに該当します。

光の偏向について

光の正体は電磁波であり、電磁波は空間内を波として伝わります。一般的に、自然の光の波は不規則に振動しており、振動面がただ1つに決まりません。このような光を無偏光といいますよ。

一方、人工的に作り出した、波の振動面がただ1つに決まる光偏光というのです。そして、光の反射を考える際、入射面に対して垂直な面で波が振動している光をs偏光といいます。一方、入射面に対して平行な面で波が振動している光をp偏光といいますよ。

偏向の違いと反射率の関係

ガラスのような透明な物質の表面で光が反射する場合、入射光の一部が反射せずに、ガラスの内部へと進みます。例えば、窓ガラス越しに見える太陽の光は、窓ガラスで反射せずに進んだ光です。

このとき、入射光量に対する反射光量の比率を反射率と定義します。反射率は、一般に入射角の大きさと偏光の種類によって決まりますよ

特に、入射光がp偏光の場合に、特別な現象が見られます。例えば、空気中から入射角約60度でガラス表面に光線を当てると、ほぼすべての光が反射せずに透過するのです。このような角度をブリュースター角といいますよ。

\次のページで「光が関連する身近な物理現象」を解説!/

光が関連する身近な物理現象

シャボン玉が虹色に見える理由

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シャボン玉に光が当たると、膜の表面に、虹色の縞模様が見られる現象について考えてみましょう。このような現象が起こる理由は、膜の内側と外側でそれぞれ反射した2つの光がお互いに干渉するからです。

どのような縞模様が生じるかを、計算によって求めることもできます。シャボン液の屈折率、膜の薄さ、光の波長から、干渉の式を作るのです。このとき、屈折率の違いによって、反射の種類が変わることを忘れないようにしましょう。

また、シャボン玉のような、薄くて透明な膜を、半透膜といいます。そして、半透膜に光の干渉縞が生じる現象を、半透膜反射と呼んでいますよ。DVDなどのディスクメディアの裏側が虹色に見えることも同じ原理です。

綺麗な写真を撮影するための工夫とは?

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ガラス張りのショーケースの中の展示品の写真を撮影したら、ガラスに薄っすらと自分の姿がうつりこんでいたという経験はないでしょうか?実は、光のある性質を利用することで、ガラス越しでも、きれいな写真が撮影できるのです。

先ほど学んだ、偏光の違いと反射率の関係を思い出してみましょう。p偏光は、入射角がブリュースター角と等しくなるとき、ほとんど反射せずにガラスを透過します。ですから、カメラのレンズにp偏光の光のみを入れることができれば、ガラス面に余計なものがうつっていない写真が撮れるのです。

このようにp偏光の光だけをレンズに入れるためには、偏光板を使います。偏光板は特定の面で波が振動している光のみを通す特殊な板です。綺麗な水面の写真を撮る場合も、偏光板を用いて撮影することがあるようですよ

光ファイバー

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光ファイバーは、光を通すことができるひも状の繊維で、石英ガラスやプラスチックで作られています繊維の中から光が漏れだすことなく、繊維の端から端まで光が届くように設計されていますよ。光が漏れ出ない理由は、繊維から光が外へ出ようとするとき、全反射を起こすからです。

光ファイバーは、インターネットの通信に用いられており、世界中のデータに光速でアクセスすることを可能にしました。近年は、家庭用のインターネット回線も、光ファイバーによるものが大多数となってきましたね。

また、光ファイバー情報技術分野だけでなく、医療分野でも活用されています。光ファイバーを利用した内視鏡などがありますよね。その他に、レーザー治療にも活用されています。

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光の反射を理解しよう

光の反射について理解が深まると、光に関する身近な物理現象を詳細に説明できるようになります。また、光を利用した工学技術についても、深いレベルで理解できるようになるでしょう。近年、光を利用した技術の進歩はめまぐるしく、新聞やニュースでこれらの技術について取り上げられることも増えています。

ぜひこの機会に、光の反射に関する雑学を身に着けてみてください。きっと、光に関する様々な話題に興味がわいてきますよ。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

身近な現象と結びつけながら「光の反射」を理系学生ライターがわかりやすく解説

今回は「光の反射」について解説していきます。

「光の反射」は、小学校の理科でも学習するように、直感的に理解しやすい現象です。ですが、深く掘り下げて学んでいくと、まだまだ知らないことが多くあることに気づくぞ。この記事では、中学校までに学習する基本的な知識の解説にとどまらず、マニアックな物理法則にも触れていく。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

はじめに

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は、水面波と同様に、として扱うことができます。それゆえ、他の波と同じように、光でも反射屈折回折干渉といった現象を観測することができるのです。そして、これらの現象を数式で表す場合も、音や水面波と同様の式で表現できますよ。

以上のような事実がある一方で、光は、音や水面波にはない性質も有しています光の粒子性などが、これに当てはまりますね。

この記事では、はじめに、中学校や高校の理科で学習するような光、音などに共通する反射の法則を解説しますよ。そのあとに、光特有の反射に関する話題にも触れてみます。加えて、光の反射の性質から、身近な現象を物理学的な視点で説明することにも挑戦してみましょう

反射の法則

反射の法則

image by Study-Z編集部

光は物体の表面にあたると、跳ね返り、元とは違う方向へと進路を変えます。これを光の反射といいますよ。ここでは、光が平らな面へ斜めに入射した場合を考察していきましょう。

光が平らな面へ斜めに入射したとき、平面上の光が当たった点を通る法線を考えます。この法線と入射光のなす角度を「入射角」、法線と反射後の光のなす角度を「反射角」といいますよ。一般に、入射角と反射角の大きさは恒等的に等しくなることが知られています。これを、反射の法則といいますね。

光の反射についてより深く学ぼう!

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