地学地球理科

地震の発生とその仕組みについて理系ライターが丁寧にわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回は地震の発生とその仕組みについて解説していくぞ。

日本に住んでいて地震を一度も経験したことがないというのは非常に珍しいことだろう。しかし、世界中では人生で一度も地震を経験したことがないという人は非常に多いのだ。なぜだろうか?それは地震のメカニズムを知れば理解できる。この記事では地震のメカニズムについて簡単に紹介しよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

地震の発生とその仕組みについて

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東日本大震災のように日本は定期的に大地震に見舞われます。さらに、小さい地震にいたっては日常茶飯事といえる言えるでしょう。このような地域は地球では珍しい場所です。事実、地震の本格的な研究は日本ではじまっていますし、現在でも日本の地震研究は世界トップクラスになります。このことも日本が地震大国であることを表しているのでしょう。

日本が他の国に比べて地震大国であるように、地震の発生個所は地球上に均等には分布していません。これは地震の発生する仕組み、さらには地球の地質活動の仕組み自体が原因です。今回は地震の原理について学んで見ましょう。

地震の本格的な研究は日本で始まった

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不明 – 金港堂書籍株式会社『第五回内国勧業博覧会審査官列伝 前編』、1903年, パブリック・ドメイン, リンクによる

地震とは簡単に言えば断層が急に動くことですが、このことが判明したのは1960年ごろとつい最近のことです。地震は太古よりその存在は知られていたのですが、地震はいつおこるかわからず、起きても一瞬で終わってしまうことが地震の解明を難しくしました。さらに、近代科学が最初に発展したヨーロッパでは大きな地震がごくまれにしか起こらないことも、地震の解明を遅らせた理由の一つだと思われます。

明治維新後、欧米の最先端学問の導入のため日本政府に招かれていた鉱山技師のミルンと、物理学者のユーイングによってに日本で本格的な地震学が始まりました。二人は母国にはない地震に日本ではじめて遭遇し、強い感銘を受けたそうです。そのため二人は専門ではない地震の研究をはじめました。二人が帰国した後も彼らの一番弟子である大森房吉などによって、地震研究は進められ現在に続いています。

上記の画像は大森房吉の画像です。

断層と地震について

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断層とは地下の地層や岩盤に力が加わって割れ、割れた面に沿ってずれ動いて食い違いが生じた状態のことです。断層が突然発生するには固体である必要がありますが、地球内部の高温・高圧の状況下では岩石は長い時間では流動します。岩石に力がかかるとまずは短期的に歪み、さらに力がかかり続けると永久的な歪みになり、これが塑性変形です。

岩石に力が加わり数十年から数万年にかけて歪みが蓄積し続けたあと、さらに力が加わり永続的な歪みになる前に破壊してしまった時におこるのが地震になります。地下深部の高温領域では塑性変形になるまでの時間が短いため、破壊されず地震はおこりません。なので、沈み込む海洋プレート内部以外では、地震は深さ15キロメートル以内の浅い場所で起こります。最近数十万年間に活動を繰り返し、今後も活動する可能性がある断層が活断層です。

地震波について

地震はその揺れによって様々な被害を引き起こします。地震が起こす揺れは地殻に伝わる波のことであり、それは主にP波S波からなる地震波です。P波は縦波とも呼ばれ、波の進む方向に振動している波になります。もう一つはS波で、横波とも呼ばれる波の進行方向と垂直に振動している波のことです。

P波の方が速く伝わり、一般的にはS波より揺れも小さいので初期微動と呼ばれ、それに対してS波は主要動と呼ばれます。一般的に地震の揺れと言えば主にこの二つですが、地震波には地球表面を伝わる表面波や、巨大地震の折に地球自体が振動する自由振動も存在するようです。上記の画像は一番上がP波、二番目がS波、下の二つが表面波の概念図になります。

プレートテクトニクスと地震

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NASA, DTAM project teamhttp://denali.gsfc.nasa.gov/dtam/seismic/, パブリック・ドメイン, リンクによる

地下の岩石に力が加わって断層がずれ地震が起こるのはわかったとしても、なぜ力が加わるのでしょうか。上の画像は1963年から1998年までに起こった地震の震源地の分布ですが、明らかに一部の地域に偏っているのが分かります。これはプレートの境界付近とほぼ同じであり、地震の震源地とプレートの境界付近とは重なるのです。

プレートテクトニクスとは、地殻とマントルの最上部がいくつかのプレートという板にわかれて動いているという理論になります。このプレートの移動によって、プレート同士が衝突したりプレート同士が離れたりしていくことにより地下の岩石に力がかかり、そのため岩盤が割れ最終的に引き起こされるのが地震です。つまり地震の根本原因はプレートの移動ということになります。

\次のページで「なぜ日本に地震が多いのか」を解説!/

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