地学地球理科

地球の息吹?「火山」を理系ライターが丁寧にわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回は火山について解説していくぞ。

日本に住んでいると定期的に噴火のニュースを聞く。日本に多数の火山があるのは、地球のダイナミックな活動にその原因がある。噴火によって災害をもたらすこともある火山について学んでみよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

火山について

image by iStockphoto

日本人にとって火山は、いい意味でも悪い意味でも身近な存在といえると思います。火山と言えば、噴火による災害というイメージが強い人が多いかもしれませんが、豊かな土壌や多様な地形、温泉、多くの地下資源をもたらしてくれるのも、また火山です。火山とは簡単に言えば、地下からマグマが上がってくる場所のことであり、マグマとは溶けてどろどろになった岩石になります。

地下深部よりなんらかの原因でマントルが上昇することにより、圧力低下等の影響によって岩石が溶けてできたものがマグマです。そのため火山ができる原因は地下深くにあり、主にプレートテクトニクスの影響になります。マグマが地表面から激しく噴出すのが噴火と呼ばれる現象です。噴火はしばしば災害となり、日本は非常に火山が多い地域であるために、大規模な防災体制が敷かれています。

プレートテクトニクスについて

Plates tect2 ja.svg
USGS, Washiucho – 投稿者自身による作品, translation of File:Plates_tect2_en.svg, パブリック・ドメイン, リンクによる

火山を理解する前に、まずは火山と密接に関係するプレートテクトニクスについて説明しましょう。プレートテクトニクスとは地球の地殻と、その下のマントルの上部を合わせたリンソスフェアという部分が、上記のようにいくつかのプレートに別れていて、それが移動しているために火山などの地質学的現象がおこるという理論です。

プレート同士の境界には、発散境界と収束境界とトランスフォーム断層境界があります。発散境界はプレート同士が離れていっている場所で、プレートが生まれている場所です。収束境界とはプレート同士が接触している場所で、大抵は海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいる場所になります。トランスフォーム断層境界はすれ違うプレート同士の場所で、横ずれ断層が発生している所のことです。

大陸プレートとは大陸の下にあるプレート、海洋プレートは海の下にあるプレートになります。

火山の場所について

Spreading ridges volcanoes map-en.svg
Eric Gaba (Stingfr:Sting) – Background map: NGDC World Coast Line data Data: UCLA map, CC 表示-継承 2.5, リンクによる

続いて世界中の火山の場所を見てみましょう。上記の赤い場所が火山の場所です。先ほどの画像と比べると、ほとんどの火山がプレートの境界上に存在することが分かるかと思います。事実、プレートの発散境界である中央海嶺プレートの収束境界である沈み込み帯上に多く存在するのが火山です。日本の火山は主に収束境界型の火山になります。中央海嶺とは海洋プレート同士の発散境界のことです。

一方、プレート内にも火山が点在しており、これらはホットスポット火山と呼ばれています。ホットスポットとは、プレートの動きと関係なく継続的にマグマが供給されている場所のことで、プレートの下のマントル部分に原因が存在すると考えられている場所のことです。この三つの場所の中で中央海嶺がマグマの噴出量が最も多く、その量は他の場所の倍以上になります。

火山の地下の様子

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Jose F. Vigil. USGS – [1], パブリック・ドメイン, リンクによる

では具体的にそれぞれの火山の地下の様子を見てみましょう。上記の画像の一番左は海洋プレートが海洋プレートの下に沈み込んでいる収束境界の様子で、その右がホットスポットです。その右が海洋プレート同士の発散境界の中央海嶺の様子で、その右が海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいる様子になります。最後が大陸プレート同士の発散境界で、現在の地球ではアフリカ大陸の東にあるのがそれです。

中央海嶺では海洋プレートが別れていき、そこを埋めるように深部から高温のマントルが上昇しマグマが発生します。ホットスポットではマントル深部より上昇流が存在し、それに乗ってマグマが発生するようです。沈み込み部分ではプレートが沈み込み、その反流によってマントルが上昇しマグマが発生すると考えられています。また沈み込み帯では海水も大きく影響しているようです。

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見事にプレート境界上に火山が存在している。日本は4つのプレートの境界に位置しているため、日本に火山が多いのも納得できるだろう。主にプレートの発散境界と収束境界に火山が存在しているが、地下の様子は少し違うので、それを理解しておこう。

\次のページで「火山の地形による分類」を解説!/

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