今日は電気分解についてです。

電気分解という単語は中学生でも習うから聞いたことはあるでしょう。しかし、電気分解の原理については詳しく習わないからわからないという人も多いのはないか。

今回はそして今回は化学に詳しいライターどみにおんと一緒に様々な例をあげながら、電気分解の仕組みについて解説していきます。

ライター/どみにおん

高校時代から様々な実験を経験してきた化学に詳しい現役理系大学生。

電気分解について学ぶ前に

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実は、電気分解について学ぶ前に必要な基礎知識があるのです。

それは、イオン化傾向というものなのですが、知っていますか?

知らないという方も安心してください。最初から丁寧に解説していきます。

 

イオン化傾向って?

イオン化傾向には陰イオンのイオン化傾向と金属のイオン化傾向があります。

イオン化傾向はイオンの状態でいたい度合いなんです。これを聞いてなんとなく電気分解に繋がりそうと思った人は勘がいいですね。

では、イオン化傾向を具体的に見てみましょう。

陽イオンのイオン化傾向

陽イオンのイオン化傾向

image by Study-Z編集部

金属のイオン化傾向は、上の図のようなっていて、覚え方は「貸そうかなまあ当てにすんなひどすぎる借金」です。

陰イオンのイオン化傾向って

陰イオンのイオン化傾向は電気分解の範囲でしか出てこないからそこまで重要ではないけれど覚えておくと便利だから覚えておこう。

NO3 - > SO4 2- > OH - > Cl - > Br- > I- 

I - はBr -やCl -よりもイオン半径が大きく電子を奪いやすいのでイオン化傾向は小さくなっています。

\次のページで「電気分解って何?」を解説!/

電気分解って何?

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電気分解とは、電解質の水溶液や融解液に2本の電極を入れて電流を流すことで分子やイオンが、電子を受け取り還元されたり、電子を奪われ酸化されて化学変化を起こすことです。特に、融解液を電気分解することを溶融塩電解というんですね。

電気分解をする際に電源の負極側に繋げた方の電極を陰極といい、正極側に繋げた方の電極を陽極ということを覚えといてください。

それでは早速代表的な電気分解の例から電気分解について解説していきます。

塩化銅水溶液の電気分解

塩化銅水溶液の電気分解の反応を陽極、陰極でそれぞれかくと、

陰極 Cu2+ +2e- →Cu

陽極 2Cl- →Cl2

となります。

ここで先ほど説明したイオン化傾向を使って考えてみましょう。イオン化傾向が大きいほどイオンほどイオンの状態でいたいと述べましたよね。

それを踏まえると、

塩化銅水溶液中に電子を受け取るものの候補はCu2+とH2Oですが、CuはH2Oよりもイオン化傾向が小さいのでCu2+が電子を受け取るんですね。

同じように考えて、電子を与えるものの候補はCl-とH2OですがCl-はH2Oよりもイオン化傾向が小さいのでCl-が電子を与えるんです。

水酸化ナトリウムの電気分解

水酸化ナトリウム水溶液の電気分解の反応を陽極、陰極でそれぞれかくと、

陽極 2H2O + 2e- → H2 + 2OH-

陰極 4OH- → 2H2O + O2 + 4e-

というように、陽極では水素、陰極では酸素が発生します。

電子を受け取るものの候補はNa+とH2Oですが、H2OはNaよりもイオン化傾向が小さいのでが電子を受け取るんですね。

同じように考えて、電子を与えるものの候補はOH-とH2OですがOH-はH2Oより電子を与えやすいのでOH-が電子を与えるんです。

溶融塩電解について

溶融塩電解というのは酸化した金属などの無水塩を融解した高温の液体を電気分解することで金属の単体を得るというものです。

Hよりもイオン化傾向が大きい金属のイオンが水溶液中に含まれていても、電気分解して析出しないですよね。

そのため、溶融塩電解は特にイオン化傾向の大きい金属の単体を得るのに使われています。

\次のページで「アルミニウムの溶融塩電解」を解説!/

アルミニウムの溶融塩電解

溶融塩電解についてアルミニウムを例にとって解説していきます。

アルミニウムは天然には酸化アルミニウムAl2O3として存在しているんですね。

溶融塩電解によって

Al2O3→2Al3+ + 3O2- となり、

陰極 Al3+ 3e- →Al

陽極 C + O2- → CO + 2e-

となるんですね。

このとき、氷晶石というものを酸化アルミニウムに加えて溶融塩電解をするということを覚えておいてください。

精錬電解について

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精錬電解とは電気分解を利用して不純物を含んだ金属の純度を上げることをいうんですね。

有名なもので銅の精錬電解があるので解説していきます。

銅の精錬電解

銅の精錬電解は、電解液に硫酸銅水溶液、陽極に不純物を含んだ銅、粗銅を用い、陰極に不純物を含まない純銅を用います。

この条件で電気分解をすると、次のような反応が起こるんですね。

陰極 Cu2+ 2e- →Cu

陽極 Cu → Cu2+ + 2e-

このとき、粗銅に含まれていた不純物が電極の下にたまるのですが、これを陽極泥というので覚えておきましょう。

陽イオン交換膜法

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NaCl水溶液の電気分解は陽イオン交換膜法を使って行われるんですね。

陽イオン交換膜とは陰イオンを透過させず、陽イオンを透過させる膜のことで、

陽イオン交換膜法は陽イオン交換膜によって二層に分けられた電解層に電流を流すと

陽極 2Cl- →Cl2 + 2e-

陰極 2H2O + 2e- → 2OH- + H2

の反応が起き、陽イオンだけが交換され、NaOH水溶液がつくられます。

\次のページで「電気分解はそこまで難しくない!」を解説!/

電気分解はそこまで難しくない!

電気分解という言葉を聞いて少し難しそうとか思う人もいるかもしれませんが、実際は電池と同じようにイオン化傾向が分かっていれば簡単に理解できる範囲となっています。逆に言えば、イオン化傾向は、電池や電気分解の範囲で絶対に理解しておかなければいけない最重要項目の一つです。だから、イオン化傾向について疑問がなくなるように詳しく勉強してくださいね。当然電気分解は受験においてよく出てくる範囲なので受験生は頑張ってください!

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化学物質の状態・構成・変化理科

電気分解の仕組みについて現役理系大学生ライターが詳しくわかりやすく解説

今日は電気分解についてです。

電気分解という単語は中学生でも習うから聞いたことはあるでしょう。しかし、電気分解の原理については詳しく習わないからわからないという人も多いのはないか。

今回はそして今回は化学に詳しいライターどみにおんと一緒に様々な例をあげながら、電気分解の仕組みについて解説していきます。

ライター/どみにおん

高校時代から様々な実験を経験してきた化学に詳しい現役理系大学生。

電気分解について学ぶ前に

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実は、電気分解について学ぶ前に必要な基礎知識があるのです。

それは、イオン化傾向というものなのですが、知っていますか?

知らないという方も安心してください。最初から丁寧に解説していきます。

 

イオン化傾向って?

イオン化傾向には陰イオンのイオン化傾向と金属のイオン化傾向があります。

イオン化傾向はイオンの状態でいたい度合いなんです。これを聞いてなんとなく電気分解に繋がりそうと思った人は勘がいいですね。

では、イオン化傾向を具体的に見てみましょう。

陽イオンのイオン化傾向

陽イオンのイオン化傾向

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金属のイオン化傾向は、上の図のようなっていて、覚え方は「貸そうかなまあ当てにすんなひどすぎる借金」です。

陰イオンのイオン化傾向って

陰イオンのイオン化傾向は電気分解の範囲でしか出てこないからそこまで重要ではないけれど覚えておくと便利だから覚えておこう。

NO3 – > SO4 2- > OH – > Cl – > Br- > I- 

I – はBr -やCl -よりもイオン半径が大きく電子を奪いやすいのでイオン化傾向は小さくなっています。

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