今回は、合弁花類と離弁花類について学んでいこう。

合弁花類と離弁花類という考え方は、植物の分類方法のひとつです。中学理科で学習するキーワードです。そもそも合弁花類や離弁花類という言葉はどのような意味なのか、またどんな植物が当てはまるのか、などのポイントをおさえたいところです。

今回も、大学で分類学を中心に勉強していた現役講師のオノヅカユウを招いたぞ。

ライター/小野塚ユウ

生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。

合弁花類・離弁花類とは?

合弁花類(ごうべんかるい)離弁花類(りべんかるい)は、双子葉植物の分類方法について学ぶときに出てくるキーワードです。

双子葉植物の花弁、つまり花びらの付き方に着目しましょう。花弁が1枚ずつばらばらになっているものを離弁花類花弁がくっついて1枚になっているものを合弁花類といいます。

花にはそれぞれ特有の形があります。ぱっと見は花弁がバラバラについていそうな離弁花らしき花でも、中心付近で花弁が合生(=合体)している、つまりよく見れば合弁花類だ!というものもよくあります。合弁花類と離弁花類を見分けるには花冠の構造をじっくりと観察してみなくてはいけません。

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とはいえ、系統関係の近い植物をある程度まとめた分類群によって合弁花類か離弁花類かが決まっていることが多いのが実際のところ。ごくわずかな例外が含まれていることもありますが、「基本的にこのグループは合弁花類」「このグループは離弁花類」というように、ある程度グループで覚えてしまうと判断が楽になりますよ。

ちなみに、一般的に合弁花類の双子葉植物は、離弁花類のものよりも進化しているといわれます。離弁花類の植物の中から合弁花類が進化してきたと考える研究者がいるためです。

代表的な合弁花類の植物

合弁花類に分類される植物にはどんなものがあるのでしょうか?代表的な分類群や覚えておきたい種をご紹介したいと思います。

\次のページで「ヒルガオ科」を解説!/

ヒルガオ科

合弁花をもつ植物としてもっともイメージしやすいのは、アサガオではないでしょうか?お皿のようにぐるりと花弁が一周する様子は、間違いなく合弁花類であるとわかります。アサガオはヒルガオ科の植物。ヒルガオ科に分類される植物は基本的に合弁花をもちます。

科の名前にもなっているヒルガオにくわえ、身近なところではサツマイモなどがヒルガオ科の仲間です。

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アサガオやサツマイモの花のように、中央から外側に向かって広がる合弁花で、中央が深く落ち込んでいる形状の花冠を漏斗形(ろうとがた)花冠といいます。

植物図鑑などにはこのような花冠の形状の名前が紹介されていることが多いので、植物を勉強したい・覚えたいという人はチェックしておきましょう。

キキョウ科

キキョウの仲間であるキキョウ科もわかりやすい合弁花類です。花弁の先端が5つに分かれることが多く、中央に近い部分(花弁が1枚になっている部分)が長く伸びるとツリガネソウホタルブクロのような細長い袋状になります。細長い袋状の形状は鐘形花冠とよばれますよ。

ナス科

ナス科には多くの身近な野菜がふくまれています。ナスはもちろんのこと、トマトジャガイモトウガラシピーマンなどはいずれもナス科なんです。これらの野菜の花が咲いている時期にぜひ観察してみてほしいのですが、どれもしっかりとした合弁花冠になっています。

ツツジ科

ツツジは中学入試や定期考査などでよく出題される合弁花類です。ドウダンツツジなどのツツジの仲間の他、シャクナゲアセビクランベリーなどもツツジ科にふくまれます。

キク科

意外と間違われやすいのがキク科の植物です。キク科の植物といえば、私たちの良く知るキクのほか、タンポポアザミハハコグサガーベラなどがあります。

ちいさな花がたくさんついているのがキク科の花の特徴です。花びら1つ1つが独立しているため離弁花類と間違えやすいのですが、キク科植物の花は以下のような構造になっています。

\次のページで「代表的な離弁花類の植物」を解説!/

image by Study-Z編集部

このように、キク科の本当の花は花弁のように見えるもの1つ1つなんです。つまり、合弁花冠の小さな花が1か所にたくさん集まり、1つの大きな花のような見た目になっていると説明できます。このような花の付き方は頭状花序(とうじょうかじょ)とよばれ、代表的なキク科植物の特徴です。

代表的な離弁花類の植物

それでは、離弁花類についても代表的な分類群を見ていきましょう。

バラ科

離弁花類の代表としても、また屋外でよく観察できる木本の花の分類群としてもバラ科を覚えておくことは役に立ちます。サクラウメモモビワヤマブキなど、日本で古くから愛されてきた植物に加え、イチゴなんかもバラ科です。バラ科の花は花弁が5枚、1つ1つが独立した、代表的な離弁花類といえます。

アオイ科

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アオイ科も5枚の花弁をもつ合弁花類です。タチアオイフヨウムクゲワタなどが含まれていますが、一般の方にとってもっともイメージしやすいアオイ科の花はハイビスカスかもしれません。温かい国で多くの種類が見られます。

アブラナ科

アブラナ科の植物も、教科書などでよく取り上げられますね。キャベツブロッコリーチンゲンサイダイコンカブなど、食卓にもよく上る野菜たちがふくまれます。散歩中に道端で見られるようなものでは、シロイヌナズナタネツケバナなどがあげられるでしょう。

\次のページで「マメ科」を解説!/

マメ科

マメ科の植物も離弁花類の代表としてよく紹介されます。ダイズやアズキ、エンドウなど、食用のものもたくさん思いつきますよね。マメ科植物は葉が丸みを帯びているという特徴があります。花や葉の形を見慣れれば、初めて見る植物でもすぐにマメ科のものはそれと判断できるようになるでしょう。

スミレ科

image by iStockphoto

身近な花としてなじみ深いスミレの仲間。今度野外で見かける機会があったら、花弁をよく観察してみましょう。5枚の花弁はつながらず、完全に独立しているはずです。多くのスミレ類の花弁は、一番下に位置しているものの形が他と異なり、左右対称の構造になっています。

セリ科

セリ科といわれてすぐにいくつかの種が思い浮かぶ人はかなりの植物通。セリの他、ニンジンミツバパセリアシタバセロリなどがセリ科の仲間です。西洋でハーブとしてよく使われるクミンやフェンネルキャラウェイなども属しており、独特の香りをもったものが少なくありません。

花を観察して分類を考えてみよう!

植物の名前や分類を覚えるには、実際に生えているものを手に取って観察してみるのが一番です。分類の判断には植物の様々な特徴が使われますが、なかでもこの合弁花類・離弁花類という分類方法はわかりやすく、歴史的にも長く使われています。花の形を確認すればすぐにわかる項目ですので、ぜひ皆さんも身近なお花を確認してみてくださいね。

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理科生物生物の分類・進化

すぐわかる「合弁花類・離弁花類」現役講師がさくっとわかりやすく解説!

マメ科

マメ科の植物も離弁花類の代表としてよく紹介されます。ダイズやアズキ、エンドウなど、食用のものもたくさん思いつきますよね。マメ科植物は葉が丸みを帯びているという特徴があります。花や葉の形を見慣れれば、初めて見る植物でもすぐにマメ科のものはそれと判断できるようになるでしょう。

スミレ科

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身近な花としてなじみ深いスミレの仲間。今度野外で見かける機会があったら、花弁をよく観察してみましょう。5枚の花弁はつながらず、完全に独立しているはずです。多くのスミレ類の花弁は、一番下に位置しているものの形が他と異なり、左右対称の構造になっています。

セリ科

セリ科といわれてすぐにいくつかの種が思い浮かぶ人はかなりの植物通。セリの他、ニンジンミツバパセリアシタバセロリなどがセリ科の仲間です。西洋でハーブとしてよく使われるクミンやフェンネルキャラウェイなども属しており、独特の香りをもったものが少なくありません。

花を観察して分類を考えてみよう!

植物の名前や分類を覚えるには、実際に生えているものを手に取って観察してみるのが一番です。分類の判断には植物の様々な特徴が使われますが、なかでもこの合弁花類・離弁花類という分類方法はわかりやすく、歴史的にも長く使われています。花の形を確認すればすぐにわかる項目ですので、ぜひ皆さんも身近なお花を確認してみてくださいね。

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