今回は火成岩について解説していきます。

日本のような自然豊かな場所では、あまり意識することもないかもしれないが、地球は主に岩石からできている。特に我々が立っている地殻はほぼ岩石です。今回はその岩石のうち、代表的な火成岩について紹介しよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

火成岩について

image by iStockphoto

地球は岩石型惑星に分類されているように主に岩石で構成されています。地表部分の岩石は3つに分類されていて、それは火成岩、堆積岩、変成岩です。火成岩は高温のマグマが冷えて固まった岩石であり、火成岩もマグマの冷却速度の違いにより2つに分類されていて、それは火山岩と深成岩になります。

堆積岩もいくつか種類があり、それは岩石や土砂などの砕屑物が固まってできる砕屑岩、化石が固まってできる生物岩、化学作用によってできる化学的沈殿岩、火山噴出物が固まってできる火山砕屑岩です。変成岩は温度や圧力の高い地下深部で、火成岩や堆積岩が変成してできるもになります。

今回はこの中から代表的な火成岩を紹介しましょう。ただし、以下でいろいろな火成岩の岩石がでてきますが、これは非常に人為的な分類であることを理解しておいてください。厳密に言えば、完全に同じ岩石というものは一つもありません。岩石ができた時の環境やその後の環境によって、それぞれに微妙な違いが存在します。したがって、岩石の分類というものは大まかなものなのです。

火山岩について

火山岩について

image by Study-Z編集部

火山岩は火成岩の一種であり、マグマが地下深くから上昇し、地表に噴出したり地表付近で急速に冷されてできた岩石です。急速に冷却されたため、肉眼では識別できないほど細かな結晶や非晶質の火山ガラスからなる石基の中に、マグマが地表に来た時点ですでに結晶化していたため、目に見えるほど大きな結晶(斑晶)があるという構造になります。ちなみに、これは斑晶構造と呼ばれるものです。

火成岩も二酸化珪素の含有比率によって玄武岩、安山岩、流紋岩に分別されています。基本的に二酸化珪素の含有量が少ないほど黒っぽい岩石で、含有量が多いほど白っぽい岩石です。

玄武岩について

BasaltUSGOV.jpg
不明 - http://resourcescommittee.house.gov/subcommittees/emr/usgsweb/photogallery/ , see also webarchive - resourcescommittee.house.gov, Basalt_jpg.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる

玄武岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が45から52パーセントで斑晶構造があるもの、すなわち火山岩を指します。玄武岩は地表面で最も広く分布する岩石で、特に多く存在するのが中央海嶺やホットスポットの火山です。斑晶として、斜長石、輝石、かんらん石を含みます。玄武岩の名前は、兵庫県の玄武洞からとられたようです。玄武洞では玄武岩の六角形の柱状節理が存在します。

安山岩について

Hornblende, Biotit und Andesit - Bor, Serbien.jpg
Ra'ike (see also: de:Benutzer:Ra'ike) - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

安山岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が52から62パーセントで斑晶構造がある岩石を指します。安山岩は地球の大陸の主成分ですが、海底には少ないようです。斑晶として斜長石、輝石を主に含みます。アンデス山脈の火成岩andesiteの発音からこの名がつけられたそうです。

流紋岩について

RhyoliteUSGOV.jpg
パブリック・ドメイン, リンク

流紋岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が70パーセント以上で斑晶構造がある岩石を指します。プレート収束境界の火山で安山岩に伴いよく見られる岩石です。斑晶は主に斜長石や石英になります。マグマが流れたときに形成される流れ模様(流理構造)の名前からこの名前がつけられたようです。

\次のページで「深成岩について」を解説!/

深成岩について

深成岩について

image by Study-Z編集部

深成岩は火成岩の一種であり、地下のマグマ溜りでマグマが徐々に冷却されてできた岩石です。そのため結晶は十分に時間をかけ大きく成長しています。なので深成岩は特徴的に粒ぞろいの粗粒結晶からなる粗粒等状構造です。

深成岩も二酸化珪素の含有比率によってかんらん岩、斑れい岩、閃緑岩、花崗岩に分別されています。火山岩との対応関係は、斑れい岩ー玄武岩、閃緑岩ー安山岩、花崗岩ー流紋岩です。

かんらん岩について

PeridotiteUSGOV.jpg
パブリック・ドメイン, リンク

かんらん岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が非常に少なく粗粒等状構造である、すなわち深成岩である岩石のことです。上部マントルを構成しているのはこのかんらん岩になります。主成分はかんらん石と輝石です。名前についてはオリーブをカンランの実だと誤認して和訳したことから付けられました。

斑れい岩について

Gabbro.jpg
パブリック・ドメイン, リンク

斑れい岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が50パーセント程度で粗粒等状構造である岩石のうち、斜長石の灰長石成分の割合50以上のものを指します。大陸地殻の下部や海洋地殻に多く存在するようです。主に斜長石と輝石からなります。名前は組織の特徴により斑(まだら)のレイ(黒米)と名付けられたそうです。

閃緑岩について

Diorite.jpg
Siim Sepp (トーク · 投稿記録) - 自ら撮影, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

閃緑岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が50パーセント程度で粗粒等状構造である岩石のうち、斜長石の灰長石成分の割合50以下のものを指します。斑れい岩や花崗岩にともない産出し、主な成分は斜長石や角閃石です。名前については角閃石を含むことが多いことと、変質したときの岩石の色味から名づけられました。

花崗岩について

Granito.jpg
CC BY-SA 2.5 es, リンク

花崗岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が70パーセント以上で粗粒等状構造である岩石を指します。大陸地殻の上部を構成しているので各地で簡単にみつかる岩石です。主にナトリウムに富む長石、石英、カリ長石からなります。名前については美しい模様のある石という意味から付けられたという説がありますが、はっりきとはわかっていません。

\次のページで「岩石は宇宙に通ず」を解説!/

岩石は宇宙に通ず

岩石は宇宙に通ず

image by Study-Z編集部

岩石は興味がない人にはまったく面白みのない対象かもしれませんが、地球の構造を理解するためには岩石の研究はかかせません。それだけでなく、太陽系の成り立ちや他の惑星の研究にも岩石の研究はかかせないものです。事実、地球に降り注いだ隕石は地球の岩石と見た目が似ています。

惑星は同じような物質が集合してできたと考えられるため、同じような構造の物質があってもおかしくはありません。特に、水星、金星、火星は惑星自体が似たような構造をしているため、そこで作られる岩石も地球と似たようなものだとしても不思議ではないでしょう。

ただ材料は同じでも環境が違えば岩石も違います。厳密に同じ岩石は存在しないので、他の惑星にはそれぞれの特徴ある岩石が存在するでしょう。また、岩石の微妙な性質の違いからその岩石のたどった環境、つまりその惑星の環境が推測できます。

このように、岩石の研究は宇宙(少なくとも太陽系の惑星)の理解には欠かせないものなのです。

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地学岩石・鉱物理科

地球は岩石からできている!「火成岩」について理系ライターが丁寧にわかりやすく解説

今回は火成岩について解説していきます。

日本のような自然豊かな場所では、あまり意識することもないかもしれないが、地球は主に岩石からできている。特に我々が立っている地殻はほぼ岩石です。今回はその岩石のうち、代表的な火成岩について紹介しよう。

今回は物理学科出身のライター・トオルさんと解説していきます。

ライター/トオル

物理学科出身のライター。広く科学一般に興味を持つ。初学者でも理解できる記事を目指している。

火成岩について

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地球は岩石型惑星に分類されているように主に岩石で構成されています。地表部分の岩石は3つに分類されていて、それは火成岩、堆積岩、変成岩です。火成岩は高温のマグマが冷えて固まった岩石であり、火成岩もマグマの冷却速度の違いにより2つに分類されていて、それは火山岩と深成岩になります。

堆積岩もいくつか種類があり、それは岩石や土砂などの砕屑物が固まってできる砕屑岩、化石が固まってできる生物岩、化学作用によってできる化学的沈殿岩、火山噴出物が固まってできる火山砕屑岩です。変成岩は温度や圧力の高い地下深部で、火成岩や堆積岩が変成してできるもになります。

今回はこの中から代表的な火成岩を紹介しましょう。ただし、以下でいろいろな火成岩の岩石がでてきますが、これは非常に人為的な分類であることを理解しておいてください。厳密に言えば、完全に同じ岩石というものは一つもありません。岩石ができた時の環境やその後の環境によって、それぞれに微妙な違いが存在します。したがって、岩石の分類というものは大まかなものなのです。

火山岩について

火山岩について

image by Study-Z編集部

火山岩は火成岩の一種であり、マグマが地下深くから上昇し、地表に噴出したり地表付近で急速に冷されてできた岩石です。急速に冷却されたため、肉眼では識別できないほど細かな結晶や非晶質の火山ガラスからなる石基の中に、マグマが地表に来た時点ですでに結晶化していたため、目に見えるほど大きな結晶(斑晶)があるという構造になります。ちなみに、これは斑晶構造と呼ばれるものです。

火成岩も二酸化珪素の含有比率によって玄武岩、安山岩、流紋岩に分別されています。基本的に二酸化珪素の含有量が少ないほど黒っぽい岩石で、含有量が多いほど白っぽい岩石です。

玄武岩について

玄武岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が45から52パーセントで斑晶構造があるもの、すなわち火山岩を指します。玄武岩は地表面で最も広く分布する岩石で、特に多く存在するのが中央海嶺やホットスポットの火山です。斑晶として、斜長石、輝石、かんらん石を含みます。玄武岩の名前は、兵庫県の玄武洞からとられたようです。玄武洞では玄武岩の六角形の柱状節理が存在します。

安山岩について

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Ra’ike (see also: de:Benutzer:Ra’ike) – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

安山岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が52から62パーセントで斑晶構造がある岩石を指します。安山岩は地球の大陸の主成分ですが、海底には少ないようです。斑晶として斜長石、輝石を主に含みます。アンデス山脈の火成岩andesiteの発音からこの名がつけられたそうです。

流紋岩について

RhyoliteUSGOV.jpg
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流紋岩は火成岩の一種で、二酸化珪素の含有量が70パーセント以上で斑晶構造がある岩石を指します。プレート収束境界の火山で安山岩に伴いよく見られる岩石です。斑晶は主に斜長石や石英になります。マグマが流れたときに形成される流れ模様(流理構造)の名前からこの名前がつけられたようです。

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