異なる化合物における元素の質量比の関係「倍数比例の法則」を元塾講師がわかりやすく解説
今回も化学の基礎知識となる法則に関する内容です。前回解説した「定比例の法則」との違いを意識して考えてみよう。
それじゃあ化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。
ライター/Ayumi
理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。
1.「定比例の法則」をおさらい
オリジナルのアップロード者は英語版ウィキペディアのHappyAppleさん – en.wikipedia からコモンズに移動されました。, パブリック・ドメイン, リンクによる
まずは前回解説した「定比例の法則」について復習しておきましょう。
「定比例の法則」を考える際には、以下の2つに注意しましょう。
まずはここで関わってくるのは同じ物質について述べた法則であるということです。生成方法や採取・捕集方法に関わらず、水は H2O 、二酸化炭素は CO2 ですよね。このように、同一物質であるということが1つ目のポイントです。
2つ目に、当該物質を構成する各元素の質量比を考える必要があります。これは分子量計算の知識が必要になりますので、苦手な人はまずそこから復習しましょう。水の生成(2H2 + O2 → 2H2O)や金属の酸化(2Cu + O2 → 2CuO)のような複数の単体を反応物として1つの化合物を生成する反応では、反応物それぞれの質量比を各元素の質量比として考えられますよ。
2.「倍数比例の法則」とは
Henry Roscoe (author), William Henry Worthington (engraver), and Joseph Allen (painter) – Frontispiece of John Dalton and the Rise of Modern Chemistry by Henry Roscoe, パブリック・ドメイン, リンクによる
それでは「倍数比例の法則」について、詳しく見ていきましょう。
この法則は1802年、ジョン・ドルトンによって発見され、当時彼の考える「原子論」の有力な証拠であるとされました。分子や原子といった概念がまだ確定していなかった頃のこの発表は、世間に大きな衝撃を与えたことでしょう。
\次のページで「2-1.同じ元素からなる異なる物質」を解説!/