今回は「定比例の法則」について詳しく勉強していこう。

化学ではたくさんの法則が出てくるし、名前も覚えにくいものが多い。「定比例の法則」と「倍数比例の法則」の違いに悩むやつも多いでしょう。

そこで今回から2回に分けてその違いを学んでみよう。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.昔と今の認識の違い

まずは法則について知る前に、これらの法則が生まれた当時の状況について知っていきましょう。テストで出る内容ではありませんが、時代や歴史背景を知っておくことは決して損になりませんよ。

定比例の法則はジョゼフ・ルイ・ブルーストによって1799年に発見されました。これくらいは暗記しておくと点につながるかもしれませんね。

1-1.化学の基礎知識

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昔は今よりもずっと化学の知識が一般的ではない時代がありました。地球は四角く、海をずっと進んでいくと崖のようになっていて、違う世界に落ちてしまう。地球を中心に太陽や星が回っている。病気は呪いのせい。今となっては誰しもが間違いだと知っていることも、何百年も前は誰もが心から信じていたのです。

今回解説する法則は、ある程度化学を勉強していれば当たり前に感じてしまう内容かもしれません。しかしその当時は大きな発見であったに違いないでしょう。昔の偉人たちに感謝しろとまでは言いませんが、当たり前だと思える知識があるのであれば、テストのために自分なりにわかりやすく解釈して覚えることもできるはずですよね?

1-2.正確な実験の難しさ

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そもそも昔は今より技術的な部分で劣っていたのは確かです。立派な実験装置や試薬など、技術発展は現在でも大きく進化し続けています。純粋な単体・化合物そのものの入手は容易ではなく、精度を必要とする研究は困難であったに違いありません。

まだ原子や分子といった概念が確立していなかった当時、化学の発展に大きく貢献することになりました。

2.「定比例の法則」とは

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それでは実際にどのような法則かを見ていきましょう。

\次のページで「2-1.どこで採っても水は水」を解説!/

2-1.どこで採っても水は水

例えば普段あなたが飲んでいる水と、アメリカで飲む水は何が違うでしょうか。雨水と海水の違いは何ですか?

飲料水においては殺菌方法であったり、硬水・軟水といったミネラル含有量に差はあるかもしれません。採水方法によっては異物が混入していたり、塩分濃度が高いこともあるでしょう。しかし水は水、主成分の H2O はどこの水でも H2O に変わりありませんよね。同様に、ごみを燃やすことで生じた二酸化炭素も人の呼気の二酸化炭素も同じ CO2 です。H2O や CO2 だけを取り出してみればそれがわかることでしょう。

2-2.同じ物質であるということ

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大前提として「定比例の法則」は同一の化合物について述べたものであると理解しましょう。

先述したように、同じ物質であるということは同じ組成式(化学式)で表すことができるはずです。水は H2O であり、OH や H2O2 とはなりませんよね。(ただし、このような分子や組成式という考え方もこの法則が生まれたのちにわかったことです。)

また、雨水や海水のように様々な化合物や単体が混ざり合った混合物の場合も、今回の法則で扱うことができるのは化合物のみであることを理解しましょう。

2-3.物質の成分元素における質量組成比

物質の成分元素における質量組成比について、わかりやすく水で考えていきましょう。

物質の成分元素というのは H2O からわかるように、水素原子と酸素原子のことです。また、これらはそれぞれ異なる原子量を持っており、水素原子は1、酸素原子は16であることが知られていますね。このとき、水の分子内における質量比というのは、水素原子:酸素原子=1:8(=2:16)となります。このように化合物を構成する各元素における質量を比で表したものが物質の成分元素における質量組成比です。

\次のページで「3.実験で証明」を解説!/

つまり「定比例の法則」同じ物質において分子を構成する元素ごとの質量比は常に一定になるということを示したものなのです。

3.実験で証明

この法則を実験的に証明するには、金属の酸化反応を用いるのがいいでしょう。テストでもよく用いられる問題なので、酸化と還元をまとめて復習しておきたいですね。

今回は酸化銅を例に考えてみます。

2Cu + O2 → 2CuO

これはとそこに酸素を吹き込んで完全に酸化させたときの生成物(酸化銅)の質量の関係をグラフにしたものです。

image by Study-Z編集部

銅64gを用いたとき酸化銅が80gであることから、銅64gは酸素16gとぴったり反応するということがわかりますね。ここから、銅:酸素=4:1 という簡単な整数比が成り立ちます。

では酸化銅が200gできたとき、どれだけの酸素が反応しているかをグラフから読み取ってみましょう。

このときに反応した銅の質量が160gですから、酸素40g分が酸化により増えたことがわかりますね。すでに気づいた人もいるでしょう。ここでも 銅:酸素=4:1 という比が成り立っているのです。これはつまり酸化銅を構成する元素の質量組成比を意味しています。

このように、同じ物質においては必ず質量組成が一定になるのです。この法則があるからこそ、酸化や還元の問題では比を用いた解き方ができるというわけですね。

同じ化合物では成分元素の質量組成は常に一定である

雨も海水も富士山の雪解け水も、その中に含まれている水は H2O であることに変わりはありません。これはある程度化学を学んだ人であれば誰しもがわかるでしょう。しかし今のような化学の知識が乏しく、どんな実験をするのにも技術的な面で不足していたと言わざるを得なかった当時、これは大きな発見であったに違いありません。

「定比例の法則」は、水はどこで採取しても、どんな生成方法を使っても H2O であるように、同じ1つの物質について説いた法則です。化合物には複数の種類の元素が含まれていますね。同じ化学組成、化学式で表すことのできる化合物であれば、 分子を構成する元素ごとの質量比は常に一定になるというのがこの法則です。

次回解説する「倍数比例の法則」は、2つの異なる化合物について述べています。この点に注目しながらチェックしてみてくださいね。

" /> 化合物内における元素の質量組成「定比例の法則」を元塾講師がわかりやすく解説 – Study-Z
化学

化合物内における元素の質量組成「定比例の法則」を元塾講師がわかりやすく解説

今回は「定比例の法則」について詳しく勉強していこう。

化学ではたくさんの法則が出てくるし、名前も覚えにくいものが多い。「定比例の法則」と「倍数比例の法則」の違いに悩むやつも多いでしょう。

そこで今回から2回に分けてその違いを学んでみよう。化学に詳しいライターAyumiと一緒に解説していきます。

ライター/Ayumi

理系出身の元塾講師。わかるから面白い、面白いからもっと知りたくなるのが化学!まずは身近な例を使って楽しみながら考えさせることで、多くの生徒を志望校合格に導いた。

1.昔と今の認識の違い

まずは法則について知る前に、これらの法則が生まれた当時の状況について知っていきましょう。テストで出る内容ではありませんが、時代や歴史背景を知っておくことは決して損になりませんよ。

定比例の法則はジョゼフ・ルイ・ブルーストによって1799年に発見されました。これくらいは暗記しておくと点につながるかもしれませんね。

1-1.化学の基礎知識

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昔は今よりもずっと化学の知識が一般的ではない時代がありました。地球は四角く、海をずっと進んでいくと崖のようになっていて、違う世界に落ちてしまう。地球を中心に太陽や星が回っている。病気は呪いのせい。今となっては誰しもが間違いだと知っていることも、何百年も前は誰もが心から信じていたのです。

今回解説する法則は、ある程度化学を勉強していれば当たり前に感じてしまう内容かもしれません。しかしその当時は大きな発見であったに違いないでしょう。昔の偉人たちに感謝しろとまでは言いませんが、当たり前だと思える知識があるのであれば、テストのために自分なりにわかりやすく解釈して覚えることもできるはずですよね?

1-2.正確な実験の難しさ

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そもそも昔は今より技術的な部分で劣っていたのは確かです。立派な実験装置や試薬など、技術発展は現在でも大きく進化し続けています。純粋な単体・化合物そのものの入手は容易ではなく、精度を必要とする研究は困難であったに違いありません。

まだ原子や分子といった概念が確立していなかった当時、化学の発展に大きく貢献することになりました。

2.「定比例の法則」とは

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それでは実際にどのような法則かを見ていきましょう。

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